コンカーによる世界最大級のバックオフィス部門向けイベント「SAP Concur Fusion Exchange 2026」が7月16日、都内で開催された。会場を訪れた経営層やマネージャー、リーダー層の参加者たちは、経費・出張・請求管理といった領域における課題を解決するAIソリューションの説明に耳を傾けていた。
経費管理を経営変革に活かす
今年度のイベントは「AIが拓くNext Journey - スマート経営の一歩。意思決定が変わる、その瞬間へ。-」と題し、各企業がブースを出展。基調講演には、AI時代のバックオフィスをいち早く経営変革に活かしている先進企業の担当者と有識者が登壇した。
Uber Japanのブースでは、事業者向けサービス「Uber for Business」においてコンカーの提供する経費管理クラウド「SAP Concur」との連携を強化し、対象となるUber for Businessの利用に関する適格請求書(インボイス)とE-Receiptを1つのPDFファイルとして自動添付する機能に対応したことを紹介していた。
これによりSAP Concurを利用する企業は、経費明細上でE-Receiptと該当する適格請求書をまとめて確認・管理しやすくなった。担当者は「従業員による手動添付作業の削減や、経理・財務部門における確認業務の効率化が期待されます」と説明する。
Visaのブースでは、経費管理の効率化に最適なコーポレートカード、B2B決済に特化したパーチェシングカードが購買・経費管理プロセスを効率化し、ガバナンス強化、キャッシュフロー最適化にも貢献することを紹介。担当者は「コーポレートカードをConcurと紐づけることで手入力や紙の申請が不要になり、経費管理の完全自動化が実現します。ぜひご活用いただき、経理部門の負担を減らしてもらえたら」と訴求する。
クレディセゾンでは展開する各種コーポレートカードとConcur expenseとの連携事例を含めた活用法を案内。
JTBビジネストラベルソリューションズでは、Concur製品とシームレスに連携するJTB-CWTが出張に関わる一連のプロセスを最適化すると説明していた。
NTTデータ・ウィズでは「経理の現場で本当に使えるAI活用」をテーマに掲げ、経理・経費精算の審査業務をAIがどう変革するかについて紹介していた。
AIは経理処理の手間をどれだけ減らせるか
なおUber Japan Uber for Businessカントリーマネージャーの深野雄二氏、ビザ・ワールドワイド・ジャパン 法人ソリューションズ ディレクターの岡田大介氏は、「経費処理をどう変える ― AI最前線とグローバル潮流 ―」のセッションにも登壇。Uber for BusinessとVISA、各々の取り組みを紹介しながら「AIの活用法」「未来の経費管理」といったテーマで語り合った。
近年、経費処理に関しては支払い時点からデータ化され、リアルタイムに管理されることも珍しくなくなった。このような流れの中でAIはどのように関与し、活用されていくのだろう?
このテーマについて深野氏は「少し前であれば、従業員はタクシーの運転手からもらったレシートを写真に撮って経費精算システムにアップロードする、ということをしていました。やがて企業側は『支出が発生する前から会社としてルールを定めておきたい』と考えるようになりました」と指摘。
そのうえで「さらには経費処理の実態から、どこのチームがどのような活動をして経営にどのようにプラスに働いているか、そのあたりまで分析するニーズも出てきました。入り口のデータ整備を私たちのサービスが担うことで、綺麗なデータを昨今のさまざまなAIに読み込ませることが可能です。異常検知の高度化、ポリシー作成の改善、承認の優先順位付けなども行えます」と解説した。今後はAIを用いた完全自動化により、人手を介さずに決済や経費精算が可能になる、との見方を示す。
具体的なユースケースとしては「たとえば、ある社員が出張に出かけるとき、企業側では社内の規定に照らしてAir fare(航空運賃)はいくらまで、ホテルだったら何ドルまでは許容します、といったことをAIエージェントにインプットしておきます。すると社員には旅費規程に基づいたレコメンデーションが提示されるので、それをクリックすることで簡単に予約でき、出張経費もシームレスに自動的に申請できるようになります」(深野氏)。
Uber for BusinessではConcur、旅行代理店といったエコシステムと協業し、そうしたシステムを近いうちに開発していくと説明した。
経費精算におけるコーポレートカードの必要性とは
これからの経費処理は、どうなっていくのだろうか。ビザの岡田氏は「データの利活用が非常に大事になっていきます。誰がどこで使っても同じように情報化されてデータが保管される、それがあるべき姿です。そのためにはコーポレートカードの利活用が必須で、実際に米国では経費精算の約7割がコーポレートカードを経由しています。ただ日本ではコーポレートカードを使っている人は10%くらいにとどまり、中には『持ってはいるけれど自身のカードを使ってポイントを貯めたい』という人もいます。今後、この割合を20~30%まで引き上げることがAIを活用したエージェントコマースが発展する前提条件になっていくのかな、と思っています」と説明した。
企業は「ルールに沿わない利用ができない環境」を整えるべき
最後に深野氏は経費精算の現場について「今後は法人管理が進んでいきます」との展開を予想したうえで、「企業がすべきことは、あらかじめ従業員がルールに沿わない利用ができない環境を整えるということです。レシート、インボイスがSAP Concurと連携されることで、経費処理は『申請されたものを単純に処理する業務』から、『支出を継続的に改善していくための材料』に変わっていきます」と締めくくった。







