日銀の利上げによって、家計では住宅ローンの負担増などが注目されています。一方で、金利の上昇を追い風にできる企業もあります。今回は9月に配当権利を迎える高配当株の中から、金利上昇の恩恵が期待される3銘柄を紹介します。※サムネイル画像:PIXTA

◆金利上昇は「マイナス」だけではない

日本銀行が長く続けてきた金融緩和政策を見直し、日本は「金利のある世界」へと少しずつ戻りつつあります。6月には政策金利が1.0%台に乗りました。

金利が上昇すると、住宅ローンやマイカーローンなどの返済負担が増えるため、「利上げ=家計にとってマイナス」というイメージを持つ人も多いでしょう。

しかし、企業の立場で見ると、必ずしもそうとは限りません。例えば銀行は、貸し出し金利と預金金利の差が利益の源泉の1つです。金利が上昇すれば、この差が広がり、収益改善につながる可能性があります。

また、生命保険会社は契約者から預かった保険料を債券などで運用しています。長期金利が上昇すると、新たな運用資金をより高い利回りで運用できる場面もあります。

リース会社も企業向け設備投資との関わりが深く、金利だけでなく企業の設備投資意欲が高まる局面では事業環境が改善することがあります。

もちろん、利上げだけで業績が決まるわけではありません。それでも、金利の変化によって収益環境が改善しやすい業種があることは知っておきたいポイントです。

今回は、9月に配当の権利確定がある銀行、保険、リースという3つの業種から、それぞれ代表的な高配当株を紹介します。

◆三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>

三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>は、国内最大の金融グループです。銀行だけでなく、信託銀行、証券、カード事業など幅広い金融サービスを展開しています。

銀行にとって、貸出金利と預金金利の差は収益を左右する重要な要素です。超低金利が続いた時代は、この差を広げることが難しい環境でした。しかし、金利が正常化に向かえば、貸出金利の改善が期待されます。

もちろん、景気や企業の資金需要なども業績に影響しますが、「利上げ関連銘柄」として名前が挙がることの多い企業です。日本の金利正常化を考えるうえで、まず注目したい銘柄の1つといえるでしょう。

◆第一ライフグループ<8750>

第一ライフグループ<8750>は国内を代表する生命保険会社です。国内だけでなく海外でも保険事業を展開し、世界各国で収益基盤を広げています。

生命保険会社は、契約者から預かった保険料を長期間運用しています。そのため、長期金利が上昇すると、新たな運用資金をより高い利回りで運用できる可能性があります。

もちろん保険販売や市場環境など、業績を左右する要因は数多くあります。それでも、金利上昇局面では保険会社全体が注目されやすく、金利の動きを投資のヒントとして考えるなら、一度は確認しておきたい企業です。

◆東京センチュリー<8439>

東京センチュリー<8439>は総合リース会社大手です。設備機器のリースに加え、自動車、航空機、不動産、環境・再生可能エネルギーなど幅広い分野で事業を展開しています。

リース会社は企業の設備投資を支える役割を担っています。景気回復によって設備投資が活発になれば、新たなリース需要につながる可能性があります。

また、契約期間が長い事業が多く、安定した収益を積み重ねやすいことも特徴です。派手さはありませんが、着実に利益を積み上げながら株主還元にも力を入れており、高配当株として注目する投資家も多いでしょう。

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文:田代 昌之(金融文筆家)

新光証券(現みずほ証券)やシティバンクなどを経て金融情報会社に入社。アナリスト業務やコンプライアンス業務、グループの暗号資産交換業者や証券会社の取締役に従事し、2024年よりフリー。ラジオNIKKEIでパーソナリティを務めている。

文=田代 昌之(金融文筆家)