![日本代表MF久保建英 [写真]=Getty Images](index_images/index.jpg)
FIFAワールドカップ2026が11日に開幕。同じアジア勢の韓国代表がチェコ代表を撃破して白星発進したこともあり、日本代表もオランダ代表との初戦に勝ってスタートしたいところだ。
マジョルカ時代に共闘した盟友・イ・ガンインが奮闘する姿を、久保建英も目に焼き付けていたはず。自身も2度目の大舞台。日本代表を勝たせられる選手にならなければいけないと、新たな決意を固めたのではないか。久保は5月からスタートした国内合宿スタート以降、着実に調子を上げている印象だ。メキシコ・モンテレイでの事前合宿ではメキシコメディアに囲まれ、流暢なスペイン語で取材対応。注目度を引き上げた状態で、ベースキャンプ地のアメリカ・ナッシュビル入りし、持ち前の明るさでチームを盛り上げている。
11日にはキャプテン遠藤航が無念の離脱。チーム全体が激震に見舞われる中、久保は普段通りの様子を見せていた。「僕のような一選手がコメントすることではないですし、いろいろな人が話し合って決めたこと。当事者みんなの気持ちを尊重して、僕ら残された選手は頑張るだけかなと思います」と遠藤の思いを背負って、ワールドカップを戦い抜く覚悟を決めたという。
25歳になった久保に託されるのは、シャドーの主軸としてチームをリードすること。21歳で初参戦したカター大会は役割を果たせず、ラウンド16のクロアチア代表戦は発熱で欠場した。不完全燃焼感が色濃く残っているに違いない。「前回は何もかもが新しい部分で“はじめまして感”がありましたけど、今は対戦している選手も増えて、相手の国の主軸もよく一緒にやっている選手がいたりする。自分もW杯に出て当たり前くらいの選手にはなっているので。前回は肩に力が入っていた? それで言うと、前回は脱臼していたので、力が入らなかったんですけど(笑)。こんな軽口を言えるくらいにはリラックスしていると思います」と本人もマインド的に全く違う状態になれていることをアピール。余裕をもってオランダ戦に向かうことができそうだ。
「前回は個人的に飲まれたところもありましたね。ワールドカップっていろいろな国の人が入り乱れて、笑って盛り上がっているのが、ちょっと普段の試合とは違う気がしたので。試合というよりは、大規模なお祭りみたいな感覚になって、ちょっと戸惑いというか雰囲気に見とれてしまったみたいな感じがあった。それが初戦で悔やまれたところなので、今回初めて出る選手にはミーティングとかで伝えられたらいいと思います」
久保はこんな反省も口にした。小学生の頃からバルセロナのカンテラ(育成組織)で育ち、U-15日本代表の頃から海外遠征を繰り返した百戦錬磨の久保建英でも、ワールドカップの特別な空気感を前にして、力が出しきれなくなってしまったというのだ。それは驚きの出来事ではあったが、4年の月日が経過した今は全く違う。キャリアの円熟期で迎える今大会では、日本代表の絶対的主軸アタッカーとして攻撃陣をけん引していくはずだ。
「ピッチ内で引っ張って、辛い時に力になれるような選手になりたいなというのは、昔からどのチームにいてもありました。日本代表に入って、改めて日本代表で戦える幸せ、喜びを感じられるいいタイミングが今回のような大会だと思います」と本人も神妙な面持ちで話したが、普段通り試合に入り、伸び伸びと躍動感あふれるパフォーマンスを示せれば、オランダだろうが、チュニジア、スウェーデンだろうが決して怖くない。今の久保ならできるはずだ。
さしあたってオランダ戦だが、4−3−3をベースにするオランダはフィルジル・ファン・ダイクを中心とした堅守が売りのチーム。高さでは日本が劣勢ではあるが、久保や堂安律、伊東純也といった機動力あるアタッカー陣が流動的に動いて相手守備陣をかく乱すれば、必ずスペースは空いてくる。そこで久保の左足が爆発すれば、早い時間帯に先制点を奪うことも可能だろう。
それに久保にはリスタートという大きな武器がある。モンテレイ合宿中にも名手・中村俊輔コーチから直々に指導を受けていたが、直接FKを決められるだけの能力を備えた選手。10年前になるが、2016年9月のAFCU-16選手権の初戦・ベトナム代表戦では久保の直接FK弾から快進撃が始まっている。当時を思い出して、今回も大舞台で見る者を驚かす一撃をお見舞いしてほしいところ。南アフリカ大会のデンマーク代表戦の本田圭佑、遠藤保仁以来の傑出した存在になってくれれば、日本代表にとってもプラスだろう。
いずれにしても、南野拓実、三笘薫という攻撃のキーマン、そしてキャプテン遠藤を欠く苦しい状況の中、過去最高のベスト8以上に到達しようと思うなら、久保ら20代半ばの面々が目に見える仕事をしなければならない。ともに年代別代表から上がってきた中村敬斗、瀬古歩夢、菅原由勢と力を合わせ、その下の世代を引き上げるようなアクションを久保が起こしてくれれば理想的だ。
「今大会は個人として入りからプレーで見せたい」と意気込む日本代表の新背番号8。久保建英が異彩を放つ時はもうすぐだ。
取材・文=元川悦子
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