シチズン時計は6月9日、"時間感覚"に関する意識調査の結果を発表した。調査は2026年4月3日~4月6日、全国のビジネスパーソン(給与所得者)400名を対象にインターネットで行われた。

"時間語"の受け止め方の変化を調査

6月10日は「時の記念日」。1920年(大正9年)に生活改善同盟会によって制定された。"天智天皇が671年6月10日に漏刻(水時計)を設置し、初めて人々に時を知らせた"という『日本書紀』の記載が由来とされている。

日常には、「未明」「午前様」「ちょっと一杯」など、具体的な時間や時刻を示しているようで、人によって捉え方・感じ方が異なる曖昧な"時間語"が数多く存在する。こうした言葉は、現代の人々にどのような時間感覚で捉えられているのか。

本調査では、同社が2006年(20年前)に実施した同様の調査との比較を通じて、"時間語"の受け止め方がこの20年でどのように変化したのかを探った。

時(とき)に関する言葉の感覚

"時(とき)"に関する言葉について、「何時頃」を指すと考えるかを尋ねた。

「未明」0時54分~3時06分、"0時台"へ全体的に前倒し

  • "時(とき)"に関する言葉について、「何時頃」を指すとお考えですか。あなたの感覚でお答えください【未明】

    "時(とき)"に関する言葉について、「何時頃」を指すとお考えですか。あなたの感覚でお答えください【未明】

広辞苑では「夜がまだすっきり明けきらない時」とされているが、今回の調査では平均で0時54分頃~3時06分頃という結果だった。2006年(1時24分~4時12分)と比べると、開始は約30分、終了は約1時間早まり、現代では"日付変更直後に近い時間帯"として認識されていることが分かる。

年代別では、20代(0時42分)、30代(0時36分)、40代(0時48分)と、いずれも深夜1時前を起点と捉える傾向が強く、幅広い世代で前倒し傾向が見られた。一方、50代以上は「1時24分頃」からと相対的に遅く、"従来型の深夜イメージ"に近い認識が残っているようだ。

「早朝」4時42分~6時42分、20年経ってもほぼ変化なし

  • "時(とき)"に関する言葉について、「何時頃」を指すとお考えですか。あなたの感覚でお答えください【早朝】

    "時(とき)"に関する言葉について、「何時頃」を指すとお考えですか。あなたの感覚でお答えください【早朝】

広辞苑では「あさはやいうち」とされている「早朝」は、今回4時42分頃~6時42分頃という結果だった。2006年(4時36分~6時24分)と比べても大きな変化はなく、20年間ほぼ一定の共通認識が維持されている。

男女差を見ると、男性はやや遅め、女性はやや早めに捉える傾向があるものの、いずれも大きな差ではない。今回の調査では、他の時間語で世代差や前後の変化が見られた一方で、「早朝」は最も安定した概念であることが分かる。

「宵の口」"18〜20時"が最多、時間感覚は大きく分散

  • "時(とき)"に関する言葉について、「何時頃」を指すとお考えですか。あなたの感覚でお答えください【宵の口】

    "時(とき)"に関する言葉について、「何時頃」を指すとお考えですか。あなたの感覚でお答えください【宵の口】

広辞苑では「日が暮れて、まもない時」とされる「宵の口」だが、今回の調査では「18~20時」(22.5%)が最多で、"夕方から夜へ移るころ"という認識がうかがえた。一方で、「15~17時」(21.3%)や「21~23時」(21.3%)も同程度で、「0~11時(深夜~朝)」とする回答も3割超にのぼり、時間感覚は大きく分散した。

年代別では、20代は「15~17時」(26.0%)が比較的高く"夕方寄り"、40代は「18~20時」(27.0%)や「21~23時」(25.0%)が高く"夜寄り"の傾向が見られた。また、40代・50代では「0時~5時(深夜~早朝)」も2割超となり、世代によって解釈の幅が広がる結果となった。全体として、回答は15時台から翌朝5時台まで広く分散しており、「宵の口」は今回の調査の中でも最も時間間隔の統一性が低い言葉だった。かつて一般的だった"夜の始まり"という意味合いは残りつつも、世代を問わず認識が揺らぎ、曖昧化が進んでいることが浮かび上がった。

「真夜中」23時18分~2時00分、"23時台前半"へシフト

  • "時(とき)"に関する言葉について、「何時頃」を指すとお考えですか。あなたの感覚でお答えください【真夜中】

    "時(とき)"に関する言葉について、「何時頃」を指すとお考えですか。あなたの感覚でお答えください【真夜中】

広辞苑では「真のよなか。深夜」とされる「真夜中」は、今回23時18分頃~2時00分頃という結果だった。2006年(23時42分~2時18分)と比べると、始まり・終わりともにやや早まった。特に20代・30代では、始まりが「23時12分頃」と、"日付が変わる少し前から真夜中"と感じる傾向が強まっている。

「夜更かし」23時54分以降、"0時以降"から"日付変更前"へ前倒し

  • "時(とき)"に関する言葉について、「何時頃」を指すとお考えですか。あなたの感覚でお答えください【夜更かし】

    "時(とき)"に関する言葉について、「何時頃」を指すとお考えですか。あなたの感覚でお答えください【夜更かし】

「夜更かし」と感じる基準は23時54分以降となった。2006年(0時12分以降)と比べると、全体としてやや前倒しとなっている。

年代別では、20代が「0時18分」と最も遅く、年代が上がるほど"日付変更前"から夜更かしと感じる傾向が強く見られた。2006年調査では"0時以降"が夜更かしの中心だったが、今回は平均値が日付変更前に入り、夜更かしの起点そのものが前倒ししている。生活リズムや就寝意識の変化により、"夜遅い"と感じる時間帯が全体的に早まっていると考えられる。

「午前様」3時48分以降、"終電帰宅"から"始発時間帯"へ

  • "時(とき)"に関する言葉について、「何時頃」を指すとお考えですか。あなたの感覚でお答えください【午前様】

    "時(とき)"に関する言葉について、「何時頃」を指すとお考えですか。あなたの感覚でお答えください【午前様】

広辞苑では「帰宅が深夜の零時過ぎになること。また、その人」とされている「午前様」は、今回3時48分以降という結果だった。2006年(1時18分以降)から約2時間半後ろ倒しとなっている。

年代別では、20代は「5時48分」、30代でも「4時42分」と、若い世代ほど始発時間帯に近い帰宅を「午前様」と認識する傾向が見られた。また、次項の「朝帰り」の時間帯とも近接しており、両者の境界が曖昧になりつつあることも特徴だ。

かつては"日付をまたぐ深夜の帰宅"を指していた「午前様」だが、若い世代を中心に"始発が動き出す早朝に近い帰宅"へと認識がシフトしている様子がうかがえる。

「朝帰り」5時12分~7時36分、"始発~通勤時間帯前後"が現代感覚

  • "時(とき)"に関する言葉について、「何時頃」を指すとお考えですか。あなたの感覚でお答えください【朝帰り】

    "時(とき)"に関する言葉について、「何時頃」を指すとお考えですか。あなたの感覚でお答えください【朝帰り】

「朝帰り」は5時12分頃~7時36分頃。2006年(4時24分~7時18分)と比べると、後ろ倒しとなっている。

特に40代は「5時30分頃~8時00分頃」と、他の年代より遅めの時間帯を「朝帰り」と捉える傾向が見られた。全体としては、"始発が動き出す時間帯から朝の通勤時間帯前後"が、現代における「朝帰り」の中心的な認識と言えそうだ。

「朝イチ」7時12分頃、20年前より約40分早まる

  • "時(とき)"に関する言葉について、「何時頃」を指すとお考えですか。あなたの感覚でお答えください【朝イチ】

    "時(とき)"に関する言葉について、「何時頃」を指すとお考えですか。あなたの感覚でお答えください【朝イチ】

"朝イチでミーティング"などで使われる「朝イチ」は、今回7時12分頃という結果だった。2006年(7時54分頃)と比べると、約40分早まっている。

年代別では20代が「6時42分」と最も早く、若い世代ほど朝の時間を早く捉える感覚が強いことが分かる。リモートワークやフレックスタイム制度の浸透など働き方の多様化を背景に、朝の時間の使い方そのものが変化している可能性がうかがえる。

ビジネス・生活シーンの時間の長さ

ビジネスや生活のさまざまな場面で使われる言葉や状況について、どのくらいの長さだと感じるかを尋ねた。

「小一時間」"ほぼ1時間"感覚は変わらず

  • 下記の言葉や状況は、どのくらいの長さだと感じますか。あなたの感覚に最も近いものを選択肢の中から1つお選びください【小一時間】

    下記の言葉や状況は、どのくらいの長さだと感じますか。あなたの感覚に最も近いものを選択肢の中から1つお選びください【小一時間】

「小一時間」は、「1時間」(47.0%)と「50分」(40.5%)に回答が集中し、約9割が「50分~1時間」と回答した。平均は55.8分で、2006年(53.5分)よりわずかに長くなったものの、"小一時間=ほぼ1時間"という感覚は20年間変わらず定着しているようだ。

「(残業で)ちょっと遅くなる」20年前より約15分短縮

  • 下記の言葉や状況は、どのくらいの長さだと感じますか。あなたの感覚に最も近いものを選択肢の中から1つお選びください【(残業で)ちょっと遅くなる】

    下記の言葉や状況は、どのくらいの長さだと感じますか。あなたの感覚に最も近いものを選択肢の中から1つお選びください【(残業で)ちょっと遅くなる】

「(残業で)ちょっと遅くなる」は、「1時間」(60.3%)が最も多く、全体の約8割が「1時間~1時間30分」の範囲に収まった。平均は78.8分と、2006年(94.1分)から約15分短縮している。

代別では、20代(73.5分)・30代(74.4分)は全体より短く、50代以上(86.1分)が最も長い結果だった。40代も81.3分と全体平均よりやや長めだった。また、「1時間~1時間30分」と回答した割合は、40代で約8割、50代以上でも約7割にのぼり、全世代で"ちょっと遅くなる"の基準が以前より短くなっていることが分かる。

働き方改革やワークライフバランス意識の浸透により、"軽い残業"の時間イメージそのものがコンパクト化している様子がうかがえる。

「(電話で)少々お待ちください」は「30秒」が最多

  • 下記の言葉や状況は、どのくらいの長さだと感じますか。あなたの感覚に最も近いものを選択肢の中から1つお選びください【(電話で)少々お待ちください】

    下記の言葉や状況は、どのくらいの長さだと感じますか。あなたの感覚に最も近いものを選択肢の中から1つお選びください【(電話で)少々お待ちください】

最も多かったのは「30秒」(38.3%)だった。平均は32.9秒で、2006年(26.6秒)から約6秒増加している。全体の約6割が「30秒~1分」を想定しており、"短時間なら待つ"という許容感覚が広がっているようだ。自動音声やチャット対応の普及など、"一定時間待つ"ことを前提としたコミュニケーションが一般化したことも影響していると考えられる。

折り返し電話は「10分後」が最多も、30分~1時間待てる人が増加

  • 下記の言葉や状況は、どのくらいの長さだと感じますか。あなたの感覚に最も近いものを選択肢の中から1つお選びください【折り返し電話】

    下記の言葉や状況は、どのくらいの長さだと感じますか。あなたの感覚に最も近いものを選択肢の中から1つお選びください【折り返し電話】

折り返し電話の最多は「10分後」(28.3%)となった一方で、「30分後」(23.0%)や「1時間後」(12.8%)も一定数を占め、折り返しを待てる時間には幅があることが分かった。平均は20.1分で、2006年(13.8分)から約6分延びている。チャットツールやステータス表示などコミュニケーション手段の多様化により、"電話=すぐつながるもの"という感覚が緩和しているのかもしれない。

「すぐ対応します」"30分以内"が約8割

  • 下記の言葉や状況は、どのくらいの長さだと感じますか。あなたの感覚に最も近いものを選択肢の中から1つお選びください【すぐ対応します】

    下記の言葉や状況は、どのくらいの長さだと感じますか。あなたの感覚に最も近いものを選択肢の中から1つお選びください【すぐ対応します】

最も多かったのは「10分」(47.8%)で、全体の約8割が「30分以内」を想定していた。一方で、平均は24.1分と、2006年(22.5分)よりやや長くなっている。回答は10分に集中しつつも、「1時間」(8.0%)や「2時間」(2.0%)を想定する人も一定数存在し、"すぐ"に含まれる時間の捉え方に幅が生まれていることがうかがえる。

「軽く打ち合わせ」平均19分、20年前より約4分短縮

  • 下記の言葉や状況は、どのくらいの長さだと感じますか。あなたの感覚に最も近いものを選択肢の中から1つお選びください【軽く打ち合わせ】

    下記の言葉や状況は、どのくらいの長さだと感じますか。あなたの感覚に最も近いものを選択肢の中から1つお選びください【軽く打ち合わせ】

最多が「15分」(32.8%)で、次いで「30分」(25.3%)、「10分」(22.0%)が続いた。平均は18.8分と、2006年(22.4分)から約4分短縮している。

全体の約6割が「15分以内」を選択しており、"軽く"に対する時間感覚はよりコンパクトになっている。年代別では20代が17.6分と最も短く、若い世代ほど簡潔なコミュニケーションを求める傾向が見られた。オンライン会議やチャット文化、事前資料共有の定着などにより、打ち合わせの役割が"情報共有"から"確認・意思決定"へと変化していることも背景にあると考えられる。

「ちょっと一杯」20年間変わらない"1時間超"文化

  • 下記の言葉や状況は、どのくらいの長さだと感じますか。あなたの感覚に最も近いものを選択肢の中から1つお選びください【ちょっと一杯】

    下記の言葉や状況は、どのくらいの長さだと感じますか。あなたの感覚に最も近いものを選択肢の中から1つお選びください【ちょっと一杯】

「ちょっと一杯」は平均79.2分。2006年(78.9分)とほぼ同水準だった。最も多かったのは「1時間」(43.5%)で、次いで「1時間30分」(23.8%)、「2時間」(18.8%)。全体の約9割が「2時間以内」を想定しており、"軽く飲む=1時間超"という感覚は20年間ほぼ不変だった。

効率化が進むビジネスシーンとは対照的に、飲食の場では一定の時間を共有する価値観が維持されている様子がうかがえる。

「近いうち食事」"1カ月後"が約半数

  • 下記の言葉や状況は、どのくらいの長さだと感じますか。あなたの感覚に最も近いものを選択肢の中から1つお選びください【近いうち食事】

    下記の言葉や状況は、どのくらいの長さだと感じますか。あなたの感覚に最も近いものを選択肢の中から1つお選びください【近いうち食事】

最も多かったのは「1か月後」(49.0%)で、約半数が「近いうち」を1か月程度と捉えていた。一方で「実際にはしない」(18.0%)も一定数存在し、約5人に1人は"社交辞令"として受け止めている可能性が示された。

年代別では40代で「実際にはしない」が22.0%と最も高く、関係性を円滑にするための"言葉としての機能"が強く表れていると考えられる。

動画広告の「長い」と感じる時間は「30秒」が境界線

  • 下記の言葉や状況は、どのくらいの長さだと感じますか。あなたの感覚に最も近いものを選択肢の中から1つお選びください【動画広告の「長い」と感じる時間】

    下記の言葉や状況は、どのくらいの長さだと感じますか。あなたの感覚に最も近いものを選択肢の中から1つお選びください【動画広告の「長い」と感じる時間】

最も多かったのは「30秒」(39.5%)で、平均は28.2秒だった。全体としては、"30秒前後"が動画広告を「長い」と感じ始める境界線となっているようだ。

年代別では、20代・40代で「15秒」(それぞれ26.0%)の割合が比較的高く、"15秒を超えると長い"と感じる層が一定数存在した。短尺動画コンテンツに触れる機会が増えていることもあり、"短く要点を知りたい"という感覚が広告視聴にも反映されていると考えられる。

LINEの返信が「遅い」と感じる時間、"翌日まで"が最多

  • 下記の言葉や状況は、どのくらいの長さだと感じますか。あなたの感覚に最も近いものを選択肢の中から1つお選びください【LINEの返信が「遅い」と感じる時間】

    下記の言葉や状況は、どのくらいの長さだと感じますか。あなたの感覚に最も近いものを選択肢の中から1つお選びください【LINEの返信が「遅い」と感じる時間】

最も多かったのは「翌日まで」(30.3%)で、次いで「当日中」(27.3%)だった。全体では、約6割が「当日中~翌日まで」を許容範囲と捉えており、「すぐ返ってこない=遅い」とは必ずしも感じない状況がうかがえる。

年代別では、20代(38.0%)・30代(34.0%)で「翌日まで」が最多となり、若年層ほど返信までの時間に余裕を持つ傾向が見られた。一方、40代・50代以上では 「3時間以内」 を許容する割合が相対的に高く、世代によって"返信スピードの期待値"に差があることが分かる。

SNSやメッセージアプリが日常化する一方で、即時返信を前提としないコミュニケーション感覚も広がっているようだ。

(待ち合わせで)ちょっと遅れる、「10分」が最多

  • 下記の言葉や状況は、どのくらいの長さだと感じますか。あなたの感覚に最も近いものを選択肢の中から1つお選びください【(待ち合わせで)ちょっと遅れる】

    下記の言葉や状況は、どのくらいの長さだと感じますか。あなたの感覚に最も近いものを選択肢の中から1つお選びください【(待ち合わせで)ちょっと遅れる】

最も多かったのは「10分」(43.5%)で、次いで「30分」(26.3%)が続いた。平均は20.9分となっており、"ちょっとの遅刻=10~20分前後"が中心的な感覚となっている。

スマートフォンでリアルタイムに連絡が取れるようになったことで、遅刻そのものの長さよりも、事前連絡の有無が重視される傾向も背景にあると考えられる。