資産形成を始めようと思ったとき、「ETFと個人向け国債のどちらを選べばよいのだろう」と悩む人もいるでしょう。どちらも少額から始められる金融商品ですが、値動きや期待できる収益には違いがあります。今回はそれぞれの特徴などを初心者向けに解説します。※サムネイル画像:PIXTA

◆ETFと国債は目的が異なる金融商品

ETF(上場投資信託)と国債は、どちらも資産運用に利用される金融商品ですが、その役割は大きく異なります。ETFは株式や債券、REIT(上場不動産投資信託)などに分散投資できる商品です。

例えば、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、米国のS&P500指数に連動するETFなどがあり、値上がり益や分配金を期待できます。

一方、個人向け国債は日本国が発行する債券です。国にお金を貸し、その対価として利息を受け取る仕組みです。代表的な商品として「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3種類があります。

つまり、ETFは資産を増やすことを目指す商品であり、国債は資産を守りながら運用する商品と考えると分かりやすいでしょう。

◆ETFは長期の資産形成を目指す人向き

ETFの魅力は、少額から幅広い資産へ分散投資できることです。例えば、S&P500に連動するETFを購入すれば、米国を代表する企業へまとめて投資できます。個別企業を選ぶ必要がなく、初心者でも世界経済の成長を取り込むことが期待できます。

また、新NISAのつみたて投資枠や成長投資枠を活用することで、運用益や分配金が非課税になるメリットもあります。

ただし、ETFには価格変動があります。景気悪化や株式市場の下落局面では、保有資産の評価額が一時的に減少することもあります。そのため、数カ月後や1年後に使う予定のお金ではなく、10年、20年と長期で運用できる資金で取り組むことが基本です。

◆国債は安全性を重視したい人向き

一方、個人向け国債は安全性を重視したい人に向いています。日本国が元本と利払いを保証しているため、満期まで保有すれば額面金額が戻ってきます。また、発行から1年経過すれば中途換金も可能です。

特にこの1、2年は、日本銀行による利上げによって市場金利が上昇していることから、「変動10年」に注目する投資家も増えています。変動10年は半年ごとに適用金利が見直されるため、金利上昇局面では受取利息が増える可能性があります。

預金より高い利回りを期待できる場合もあり、「元本は守りたいが、少しでも利息を増やしたい」という人に適した選択肢といえるでしょう。

ただし、国債ですので、ETFのような大きな値上がり益を期待する商品ではありません。長期的な資産成長というよりは、安定的な運用を目的とする商品です。

◆迷ったら両方を組み合わせる方法も

ETFと国債はどちらが優れているという関係ではありません。例えば、生活費の半年分や急な出費に備える資金は預金や国債で保有し、老後資金や教育資金など長期間使わないお金はETFで運用するという考え方もあります。

実際、多くの投資家は安全資産と運用資産を組み合わせながら資産形成を行っています。大切なのは、自分がいつ使うお金なのかを考えることです。近いうちに使うお金であれば安全性を重視し、長期間使う予定がない資金であれば成長性も考えることができます。

ETFと国債は性格の異なる金融商品です。それぞれの特徴を理解し、自分の目的に合わせて活用することが、無理のない資産形成への第一歩といえるでしょう。

文:田代 昌之(金融文筆家)

新光証券(現みずほ証券)やシティバンクなどを経て金融情報会社に入社。アナリスト業務やコンプライアンス業務、グループの暗号資産交換業者や証券会社の取締役に従事し、2024年よりフリー。ラジオNIKKEIでパーソナリティを務めている。

文=田代 昌之(金融文筆家)