エム・ピー・ソリューションは5月12日、同社が実施した「キャッシュレス決済」に関する5つの調査レポートをもとに、未導入によって事業者が直面する「機会損失」の実態や、導入によるメリット、さらに現場で生じている新たな課題について解説した。
飲料自販機、約6割がキャッシュレス非対応で購入断念
2025年2月7日~2月14日、過去1年以内に飲料自販機利用経験がある九州在住の15歳~69歳の男女595名、および東京都在住の同597名を対象に、飲料自販機の決済状況に関する調査が行われた。
その結果、東京都在住者の70%以上、九州在住者でも50%以上が飲料自販機においてキャッシュレス決済をメインに利用していることが分かった。理由は「決済がスムーズだから」が最多で、年齢層が高くなるほどポイント還元を重視する傾向にある。注目すべきは、東京・九州ともに、キャッシュレス決済をメインで利用する人の約60%が「キャッシュレス非対応が要因で購入を諦めた経験がある」と回答している点。地域を問わず、キャッシュレス非対応は事業者にとって明確な販売機会の損失となっている。
医療機関、7割超がキャッシュレスを希望
2025年4月18日~4月22日に行われた、関東圏の医療機関受診者500名を対象にした調査では、直近の支払いでは現金(51.8%)とキャッシュレス(48.2%)が拮抗しているものの、「すべての決済が使えるのであればキャッシュレス決済を希望する」と答えた人は全体の75.8%となった。特に、直近の支払いで現金を利用した人に至っては半数以上の54.9%が「キャッシュレスを希望する」と回答し、実際にはキャッシュレス派が多くを占めることが明らかになっている。
また、現金のみの対応により、約4割が「会計時に現金の持ち合わせがなかった・足りなかった」経験があり、その多くが体調不良の中でATMへの移動などを強いられている。さらに、キャッシュレス決済を希望する人のうち27.6%が「受診先がキャッシュレス非対応であることを理由に受診を諦めた・受診先を変えた」と回答しており、受診先を決める際にも支払いの利便性が重要な判断材料となっていることが明らかになった。
導入事業者の45%が「売上増加」を実感
2024年7月16日~7月22日に実施したキャッシュレス決済を導入している事業者473名(20代~50代の男女)を対象にした調査では、約7割が「社会的風潮」から導入を決めたと回答しているが、導入に際しては「経済的・心理的な障害」が大きいことが分かった。しかしながら、こうした背景で導入した事業者も、結果として、45%が売上の増加を実感していることが明らかになった。また、「釣銭準備の手間削減(32%)」など店舗運営の効率化の面でもメリットを感じており、特に「キャッシュレス対応の券売機」や「自動釣銭機」といった自動機を導入した事業者では、70%以上が売上増加の効果を感じるなど、期待以上の成果に繋がっている。
飲食店におけるクレジットカード決済の課題
2025年4月より、クレジットカード決済時の暗証番号(PIN)入力が必須化された。
2025年9月20日~10月3日に行われた、クレジットカード決済を導入している全国の飲食店経営者および従業員268名を対象にした調査によると、72%が「顧客体験に影響が出ている」と回答。従来のサインによる本人認証(PINバイパス)ができなくなったことで、店舗の運営負担が生じており、約3割が「決済端末のデザインや操作性によりお店の雰囲気が損なわれ、洗練されたサービスの提供に影響が出た」と感じていることが分かった。また、現在導入している決済端末についても、64.6%が「改善の余地がある・お店の雰囲気やサービス水準に合致していない」と不満を抱えていることが明らかになった。
一連の調査から、キャッシュレス決済は既に消費者の生活に深く根付いており、導入していないことが事業者の機会損失に直結することが明らかになった。一方、導入に際して「経済的・心理的な障壁」を感じる事業者も多いことに加え、飲食店などでは店舗の雰囲気やサービス水準に合致した洗練された決済端末が求められるなど、事業者それぞれのニーズに寄り添った細やかなサポートが求められている。



