物価が上昇する局面では、低金利の預金だけではお金の価値が実質的に減る可能性があります。定期預金は安全性の高い資産として有効ですが、全てを預金に偏らせるのではなく、運用商品と組み合わせることが重要です。※サムネイル画像:PIXTA

日常生活を送るなか、スーパーの食料品や電気料金など、日々「値上げ」という文字を目にするようになりました。物価が上がる今のインフレ環境では、定期預金だけにお金を預けていると「実質的に損をする」可能性があります。

これは、定期預金を開始した時の預金金利よりも物価の上昇率のほうが高い場合に起こります。見た目の金額は変わらなくても、お金の価値が少しずつ下がってしまう状態です。

◆金利と物価の関係

例えば、定期預金の金利が年0.1%だったとしても、物価が2%上昇すれば、お金の価値は実質的に減っていることになります。同じ100万円でも、以前より買えるものが少なくなり、生活への影響が出てきます。

特に食料品や光熱費など日常生活に直結する支出は、値上がりの影響を強く受けやすいため、体感的な負担も大きくなります。

一方で、定期預金には元本保証という大きな安心感があります。預金保険制度により、万が一金融機関が破綻した場合でも、1金融機関ごとに元本1000万円までとその利息が保護されます。そのため、生活費や緊急資金、すぐに使う予定のあるお金を置いておく場所としては非常に適しています。

◆資産のバランスが大事

ただし、全ての資産を預金にしてしまうと、物価上昇に対応しにくくなります。特に長期間使う予定のない資金については、個人向け国債や投資信託など、物価の動きに応じて利回りが期待できる商品と組み合わせることが重要です。

資産を分けて持つことで、リスクを抑えながら運用することができます。

大切なのは、「安全性」と「増やす力」のバランスです。預金は安全性を確保する役割として活用し、それ以外の資金は目的や期間に応じて分けることで、無理のない資産管理につながります。物価の動きも意識しながら、自分に合った資産の持ち方を考えることが重要です。

文:田代 昌之(金融文筆家)

新光証券(現みずほ証券)やシティバンクなどを経て金融情報会社に入社。アナリスト業務やコンプライアンス業務、グループの暗号資産交換業者や証券会社の取締役に従事し、2024年よりフリー。ラジオNIKKEIでパーソナリティを務めている。

文=田代 昌之(金融文筆家)