モバイルバッテリーシェアリングサービス「CHARGESPOT」。今やコンビニや駅など、街中のいたるところで見かけるこのサービスから、ついに初の公式マスコットキャラクターが誕生した。その名も「Chapopo(以下、チャポポ)」である。

スマホ時代の社会的インフラとして確固たる地位を築いたCHARGESPOTが、なぜ今“キャラクター”という新たな価値を必要としたのか。開発チームの中心人物である莫緯彦さんに、その経緯と舞台裏を詳しくうかがった。

  • (INFORICH ・チャポポ開発チームの莫緯彦さん)

    (INFORICH ・チャポポ開発チームの莫緯彦さん)

ブランドの理念を担う「自前の資産」が必要だった

――「CHARGESPOT」として初の公式キャラクターを立ち上げることになった経緯や目的について教えてください。

莫さん:これまでCHARGESPOTは「どこでも借りられて便利」という機能面での発信を続けてきました。もちろん、これからも機能面についてはアピールを続けていきますが、これからは「充電を気にしなくていい自由」というブランドの理念を届けていくフェーズでもあります。そのためにも「キャラクターが必要だよね」という話が2年ほど前から出ていました。

ーーなぜキャラクターが必要なのでしょうか?

莫さん:タレントさんや外部のIP(キャラクターなどの知的財産)の力をお借りするメリットももちろん大きいのですが、どうしてもコスト面や表現の制約、活用できる範囲に限界があるんです。であれば、自社でコントロールできて、価値を積み上げていけるオリジナルのキャラクターを育てたい。そうした思いから生まれたのが「チャポポ」です。

――「チャポポ」という名前はどのように決まったのですか?

莫さん:名前の検討も、実はかなり紆余曲折ありました(笑)。最初は「“チャ”ージス“ポ”ット」だから「チャポ」にしようと考えていたんです。でも、海外では別の意味合いに取られてしまう可能性があることがわかって、「それはちょっとマズいな」と(笑)。

CHARGESPOTは香港や台湾、中国などアジア圏でも展開しているので、どの言語でも発音しやすくて、かつテンポが良くて親しみやすい響きを……と考え、「チャポポ」に辿り着きました。

苦労した「エイリアン」と「ウサギ」の融合

――チャポポは「充電という不自由から地球人を解放するウサギ型エイリアン」というコンセプトですが、これはどのように生まれたのでしょう。

莫さん:実は開発期間中に一番時間がかかったのが、この「コンセプト作り」の部分です。デザインに着手する前の段階だけで2~3ヵ月くらい、ずっと「この子は何者なのか」を議論し続けていました。

最初は動物をベースにする案が有力だったのですが、他社さんとの差別化やCHARGESPOTらしさも表現したいと考えたときに、「エイリアン」という要素を掛け合わせるアイデアが出たんです。

――エイリアンは国籍も関係ないグローバルな存在ですしね。

莫さん:そうですね。ただ、エイリアンだけだとどうしても少し怖い印象を与えてしまうリスクもあったので、世界中で愛されている「ウサギ」をモチーフとしてかけ合わせたんです。

でも、このフュージョンにかなり苦労しました。独自性を出そうとして宇宙人に寄せすぎると可愛さが消えてしまうし、可愛くしすぎると普通の動物キャラになってしまう。この絶妙なバランスを追求するために、20案から30案くらいはボツにしました。

――デザインのディテール面でこだわったポイントはどこでしょう?

莫さん:まずは配色ですね。ベースは白とライトグレーですが、これには視認性という部分で意味があって、街中のCHARGESPOTのデバイスや筐体と並んだときに、キャラクターが埋もれずにパッと目を引くように計算しました。ブランドカラーである「CHARGESPOTブルー」はあえて限定的に使う程度にしています。

耳はエネルギーの象徴である「イナズマ」、尻尾は「充電ケーブル」になっています。

――社内での反応はどうでしたか? 議論が分かれたところはありますか?

莫さん:実は、社内アンケートでは「もっと普通のエイリアンがいい」という意見もありました。でも、最終的には今のデザインが圧倒的に人気でしたね。リリース前から「早くグッズが欲しい!」という声が社内でも上がったのは嬉しかったです。

あと、お腹周りをあえてシンプルに保っているのもこだわりです。今後、他の企業様やキャラクターとコラボしたときに、衣装を着せたりロゴを入れたりできる“余白”として残してあるんです。

デバイスだけじゃない! “人の心”もチャージするブランドへ

――キャラクターを形にする過程で、印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

莫さん:ぬいぐるみ制作のプロセスですね。僕が中国の工場まで行って、現場の職人さんとやり取りしてきたのですが、最初に出てきたサンプルは今よりだいぶ筋肉質で触り心地も硬く、正直、「イメージと全然違うじゃん……」と震えました(笑)。そこから「もっと柔らかくして」「表情をこう変えて」と何度も調整をお願いして……。

  • (イメージと全然違って戦慄したというプロトタイプ)

    (イメージと全然違って戦慄したというプロトタイプ)

――大変な調整をしてきたんですね……!

莫さん:この尻尾も実は苦労していて、デザインでは上を向いているんですが、芯材を入れると安全性(ST認証)の基準に引っかかってしまうんです。芯を使わずにどうやって形を保つか、縫い方から試行錯誤しました。他にも座った状態を維持できる構造に変えたり、タグを「宇宙からのパスポート」っぽくしたり、いろんなこだわりを詰め込んでいます。

  • (タグはチャポポが「地球に“入国”した際のパスポート」風の作りを採用。随所にこだわりが光る)

    (タグはチャポポが「地球に“入国”した際のパスポート」風の作りを採用。随所にこだわりが光る)

――今後、チャポポを通じてユーザーとどのようなコミュニケーションを生み出していきたいですか。

莫さん:アプリを開くたびにチャポポがいて、ユーザーの皆さんの日常に寄り添う存在にしていきたいですね。すでに相模鉄道のキャラクター「そうにゃん」とコラボも決まっていますし、今後は鉄道やコンビニなど、生活のいたるところでチャポポと出会える機会を増やしていきます。このぬいぐるみも、キャンペーンやポイント交換などで、みなさんの手に届くようにしていきますので、ぜひ身の回りに置いてほしいですね。

――最後に、チャポポを通じて「CHARGESPOT」をどのようなブランドに育てていきたいか教えてください。

莫さん:チャポポをきっかけに、“元気をチャージできる”ような、気持ちまでちょっと前向きになれる体験を届けたいと思っています。そのためにも、チャポポには常にユーザーの皆さんのそばで寄り添ってくれるような、ポジティブで親しみやすいキャラクターになっていってほしいですね。

そして、ゆくゆくはCHARGESPOTが「ただ便利だから使う」だけではなく、「充電の不自由から人を解放する存在」になっていくのが目標です。