MJ、ジャミロクワイ、エル・デバージの歌声を継ぐ才人 Gareth Donkinが語るドリーミーソウルの軌跡

ロンドンに暮らす20代の白人青年がエル・デバージのような甘くクリスタルな美声でヨットロック風味の清涼感あふれる曲を歌う。2023年にリリースした1stアルバム『Welcome Home』で注目を浴び、国内外でファンを増やしたガレス・ドンキン(Gareth Donkin)は、ヒップホップが標準装備となる世代らしい感覚でジャズやソウルを捉え直してモダンに表現する若きシンガー・ソングライター/マルチ・プレイヤーだ。

ベッドルーム・ポップを経由したドリーミーなソウルといった印象も受ける楽曲は、聴き手がリファレンスを言い当てたくなるマニアライクな要素も含みながら屈託がなく、その歌声も相まって愛おしさを覚える。トレンドに擦り寄ることもなく、新旧ジャンル問わず好きな音楽に情熱を傾ける打算のないピュアなマインドは、ただただ清々しい。現在ヤヤ・ベイやアナスタシア、セイ・シー・シーなどが籍を置くNYブルックリンの新興レーベル〈drink sum wtr〉(2022年設立)と成長をともにするような姿もフレッシュだ。

フル・アルバムとしては約3年ぶりとなる今回の新作『Extraordinary』では、これまでの美点はキープしつつ、ディスクロージャーのハワード・ローレンスとの共同作業などでダンス・ミュージックにも接近。キーファーやジャジー・ジェフの息子UHMEERなどゲストとの絡みもある。外部でもプロデュースや客演をこなし、昨年はデ・ラ・ソウルの新作に客演したことでも話題を集めた若き才人に話を聞いた。

〈drink sum wtr〉との出会い、クリスタルな美声の背景

―最初にリリースしたシングルは2019年の「Catharsis」でしょうか? 当初はマスター・ソウル・ボーイ(Master Soul Boy)というアーティスト・ネームで活動されていたと記憶していますが、その後、ガレス・ドンキン(Gareth Donkin)にしています。名義を変更した理由を教えてください。

ドンキン:ああ、2019年の「Catharsis」が僕の最初の公式リリースだ。確かに当時はマスター・ソウル・ボーイという名義で音楽を発信していた。これはキャリアのかなり早い段階、まだクリエイティブな面で自分を模索していた時期に思いついた名前なんだ。その後、時間が経って人間としてもアーティストとしても成長していくなかで、本名で活動を続けていくほうが自然だと感じるようになった。ガレス・ドンキンは僕の出生名。この名前を使うことが、今の自分自身、そして僕が今生み出している音楽にとって、より誠実でオーセンティックなあり方だと感じている。

―2022年に設立されたNYブルックリンの〈drink sum wtr〉と契約していますが、このレーベルと契約した経緯、またここに所属していることのメリットを教えてください。

ドンキン:マネージャーのスコット・バーカムがレーベルの代表兼創設者のナイジェル・マックに繋いでくれたんだ。2022年の1月頃にオンラインで面談をしたんだけど、お互いのビジョンを深く理解し合えているという確信が持てた。インディペンデント・レーベルの基盤があることは、多くの面で極めて有益だね。僕ひとりでは到底たどり着けなかったであろうコネクションや、リーチの広さを持っている。個人でのリリースには少し限界を感じ始めていた時期だったけれど、〈drink sum wtr〉は、僕のサウンドや芸術的な方向性を変えたり干渉したりすることなく、強固な戦略を築く手助けをしてくれた。

〈drink sum wtr〉近年の代表的リリース、ヤヤ・ベイ『FIdelity』(2026年)、アナスタシア『Tether』(2025年)

―レーベルはNYですが、活動拠点はロンドンですか?

ドンキン:今の拠点も変わらずロンドンだよ。

―ロンドン出身で、フランスで一時過ごして再びイギリスに戻ってきたというあなたは、お母様がバイオリンの先生、お父さんがクワイアで歌うシンガーという音楽一家に育ち、絶対音感を持っていると聞きました。こうしたバックボーンは、あなたの音楽にどんな影響を与えていますか?

ドンキン:両親の音楽への深い愛情には本当に感謝している。彼らのそうしたアティテュードは、僕が手掛けるあらゆることのなかに、ごく自然に息づいているから。幼い頃は転居を繰り返す生活だったこともあって、僕はどこか”永続的なもの”をずっと探し求めていたような気がする。そして、最終的にそれを見出した場所が音楽制作だった。プロとして作品を発表するずっと前から、音楽は僕の人生において常に変わることのない唯一の安息地だったんだ。

特定の場所やサウンドに縛られない感覚は、今の僕の音楽への向き合い方を形作っていると思う。それから、絶対音感については作詞や作曲をする上で間違いなく助けになっているよ。ただ、僕は理論やテクニックを重視する環境にいたわけではないから、表現の多くは本能的なもの。その”直感”こそが、僕のクリエイティブにおける極めて重要なプロセスなんだ。

―現在26歳のあなたは、8歳でクラシック・ピアノ、11歳でジャズ・ピアノを学んで、ドラムに熱中した後にAbletonを使って音楽を作るようになったと聞きました。高校時代にはDJも始めて、リーズ音楽大学に進学して音楽制作の学位を取得したそうですが、これらの経験は今のあなたの音楽にどう生きていますか?

ドンキン:初期の経験のすべてが、今の僕の聴覚や音楽の作り方を形作っている。まずクラシック・ピアノで基礎を固めてメロディの美しさを学んだ。その後、ジャズに触れたことで、リズムやハーモニーの自由な広がりを知ったんだ。同じ時期にドラムにも夢中になったけれど、それが楽曲のグルーヴやフィールを考える上での大きな糧になっているのは間違いないね。

楽曲制作に目覚めてAbletonを使い始めたとき、バラバラだったすべての要素が一つに繋がったような感覚があった。高校時代のDJ経験も大きな影響を与えているよ。ダンスフロアで音楽がどう機能するのか、異なるサウンドがどうやって人々と共鳴するのかを、常に肌で感じながら考えていたから。リーズ音楽大学に進む頃には、これまでのあらゆる影響を統合して、自分自身の世界観といえるものをどう構築するかに没頭していた。

―具体的にどんなミュージシャンを目指していたとかはあるのでしょうか?

ドンキン:当時は「こういうミュージシャンになりたい」といった具体的な理想像があったわけじゃない。それよりも、自分にとって誠実だと感じられるサウンドを探索して、見つけ出すことに興味があったんだ。振り返ってみれば、こうした多様なバックグラウンドが混ざり合っているからこそ、僕の音楽は複数のジャンルが交差する独特な場所に位置しているんだろうね。

―その中でも、特にソウル、ヨットロック、ヒップホップから影響を受けていて、好きなアーティストとして、ダフト・パンク、ディスクロージャー、スティーヴィー・ワンダー、クインシー・ジョーンズ、マイケル・ジャクソン、プリンス、ジャミロクワイ、トム・ミッシュ、ジョーダン・ラカイなどを挙げていますが、彼らの音楽から得たものは何でしょう?

ドンキン:僕が心を動かされ、活動のすべての指針としているのは、彼らが打ち立ててきた抗いがたいグルーヴや音楽性、そして確固たるソングライティングだ。それに加えて、彼らの楽曲が持つ圧倒的な構成の美しさにも強く惹かれる。僕は常に彼らの作品を研究しているんだ。ただ、それと同時に、自分を何らかの枠に閉じ込めるつもりはまったくない。あらゆる種類の音楽に対して常にオープンでいたいと思っているよ。

―あなたの歌声はマイケル・ジャクソンと比較されることもありますが、甘く繊細でクリスタルな美声はエル・デバージを強烈に連想させます。ボーカル面で影響を受けたアーティストがいましたら、どんな部分に影響を受けたかも含めて教えてください。

ドンキン:MJ(マイケル・ジャクソン)からはもちろん大きな影響を受けているし、ジョージ・マイケル、ジェイ・ケイ(ジャミロクワイ)、スティング、プリンス、そしてジョージ・ベンソンも同様だ。エル・デバージに関しては20代前半に知ったばかりだから、比較的最近の影響といえるね。僕の歌声は彼らと同じテノールの音域にあるから、どうしても似たレンジを持つシンガーに惹かれてしまうんだと思う。ただ、最近は自分の声のより低いレジスター(音域)も、もっと積極的に取り入れていこうと試みているところだよ。

ジャミロクワイ「Space Cowboy」のカバー動画(2021年)

デビュー作が導いたデ・ラ・ソウルとの邂逅

―曲作りから演奏までマルチにこなすあなたですが、制作のプロセスにおいて決まったやり方はあるのでしょうか? 

ドンキン:決まったやり方というのは、まったくない。僕の音楽作りは常に変化しているから。ドラムのプログレッションから始める伝統的なビートメイカーのようなアプローチもあれば、ピアノの前に座ってシンガー・ソングライター的な手法をとることもある。鼻歌やコードの進行をボイスメモに記録しておくことも多いね。歌詞については、大抵の場合、プロセスの最後の方に出来上がることが多いかな。

―曲を作る際の機材や楽器はどんなものを使っていますか?

ドンキン:シーケンスと作曲にはAbleton Liveを使っている。楽器としては、フェンダー・ローズや(ヤマハの)CP-70、DX7のサウンドにどうしても惹かれてしまうんだ。あと(ローランドの)JUNO-106も所有していて、今回の新作『Extraordinary』でもいたるところで使っているよ。

―あなたの音楽はノスタルジックであると同時に現代的だと感じられます。2023年のデビュー・アルバム『Welcome Home』はそれまでに出したシングルの延長線上にありながらも洗練が加わり、ベッドルーム・ポップ経由のドリーミー・ソウルといった印象を受けました。エル・デバージの「Someone」やブレンダ・ラッセルが作った「Its Something」などAOR寄りの80sソウル・ミュージックに通じる感覚もありましたが、デビュー・アルバムはどんなことを意識して作りましたか?

ドンキン:そう言ってもらえるのは本当に光栄だし嬉しいよ。ありがとう。挙げてもらった二人のアーティストは僕も大好きなんだ。正直なところ、デビュー・アルバムでは、ただ僕自身の世界をみんなに紹介したいという思いがあった。さっきも話したけれど、幼い頃に転居を繰り返していた僕にとって”ホーム(家)”という概念は少し特殊なものだったんだ。僕にとっての”ホーム”とは、自分の人生において唯一変わることのなかった、自らが生み出す音楽そのものの中にある。そんな実感を込めて作ったよ。

―『Welcome Home』ではラストに「De La Soul」というタイトルの曲が収録されていました。音楽ファンは否応なくヒップホップ・グループのデ・ラ・ソウルを連想してしまうわけですが、これはどういう動機で作ったのですか?

 

ドンキン:おかしな話なんだけど、あの伝説的なヒップホップ・グループ(デ・ラ・ソウル)とは全く関係がなかったんだ。「De La Soul」は(フランス語で)”魂から”という意味で、メロディを口ずさみながらその曲が自分に与えてくれる感覚を考えていたとき、その言葉がしっくりきた。フランスとは個人的に深い繋がりもあるしね。 『Welcome Home』のために作った最初期の曲のひとつだったから、当時の僕は若くて少し世間知らずだった。その名前から彼らを連想させるなんて、当時は全く気づいていなかったんだよ。

―デ・ラ・ソウルの最新アルバム『Cabin In The Sky』に収録された「Just How It Is(Sometimes)」にあなたがゲストで参加していて、やっぱりあの曲(「De La Soul」)はデ・ラ・ソウルへのオマージュだったんだと勝手に納得していたのですが、違ったのですね。

ドンキン:だから、デ・ラ・ソウルの最新アルバムに参加できたことは、とてつもなく光栄だった。DJジャジー・ジェフが主催する「PLAYLIST Retreat」でポスとメイスの二人と繋がることができてね。2025年の8月にポスからInstagramでメッセージをもらったんだ。「Just How It Is (Sometimes)」という曲のために書いたフックを歌ってくれないか、って。もちろん、持てる力のすべてを注ぎ込んだよ。今でも、あんなことが起きたなんて信じられないくらいだ。

―『Welcome Home』の後、2024年にはEP『Suite Escape』をリリースしていますが、これはどういった意味合いを持つ作品でしょうか?

ドンキン:アルバム制作の合間にも、その勢いを止めることなく音楽を届けたいと思っていたんだ。そこで『Suite Escape』という、夢のような隠れ家的ホテルを中心とした世界観を作るというアイデアを思いついた。実は当時、メンタルヘルスに関してかなり辛い時期を過ごしていたんだ。だから、どこか牧歌的で夢のような逃避場所を想像しつつ、その感情を音楽へと注ぎ込んだ。それと同時に、僕が愛してやまないヨット・ロックやAORの要素を全面的に取り入れた初めての作品でもある。リスナーのみんなにも、すごく好意的に受け止めてもらえたと感じているよ。

新作『Extraordinary』が映し出す現在地

―今回の新作『Extraordinary』に関して、過去のスタイルから解放されたという情報を得ました。前作『Welcome Home』と違う点、反対に変わらない点はどこでしょう?

ドンキン:新しいプロジェクトに取り組むたびに、僕はプロダクションやソングライティング、そしてストーリーテリングの質を向上させようと努めている。『Welcome Home』と今回の『Extraordinary』の決定的な違いは、プロダクションにおいてもアーティストとしてのあり方においても、自分自身に対してより確かな自信を持てるようになったことだと思う。

『Welcome Home』を作っていたのは19歳から22歳の頃で、アーティストやプロデューサーとして以前に、一人の人間として自分が何者なのか、何が好きで何が嫌いなのかをまだ模索している最中だった。制作は長期間にわたる断続的なプロセスだったから、書き終える頃には、書き始めたときとは別の人間になっていたよ。それに比べて今回の『Extraordinary』は、僕の人生と音楽の旅路における「現在地」を、より正確に、そしてリアルタイムに表現できていると感じているんだ。

―「Never Gonna Break Your Heart」は”幼少期に自分を傷つけ混乱させた恋”をピアノに向かって書いたそうですが、アルバム全体を通して何をテーマにどんなことを書いているのか教えてください。

ドンキン:このアルバムは僕が20代の前半から半ばにかけて、どう歩んできたかを反映している。実家を離れ、この世界における自分の居場所を見つけようともがく、不確かで目まぐるしく変化するあの数年間のことだ。そこには、心の痛みや、トンネルの先に光を見出すこと、再び恋に落ちること、そして自分に自信を持ち、自己を確立していく過程が綴られている。「Please Dont Give Up!」や「Dont Be So Hard On Yourself」のような曲は、自分自身に向けた備忘録のようなものだけど、同時に他の誰かの助けになればという願いも込めている。僕は時として、かなり自虐的になってしまうことがあるから、こうした自分を律する言葉が本当に重要なんだ。シンプルだけど意味のあるメッセージを通じて、僕の音楽が聴く人の心を少しでも浮上させることができたら嬉しいね。

―新作には、これまでの作品と同じく80年代ソウルやヨット・ロック、ディスコのグルーヴを現代的に再現したような曲があり、心地よい転調もあなたらしいなと思いましたが、サウンドが少しダンサブルになった印象を受けました。

ドンキン:今回のアルバムでは、間違いなく以前よりダンスフロアを意識したスタイルに踏み込んでいる。僕は昔からダンス・ミュージックが大好きだったんだ。ディスクロージャーやダフト・パンク、ブレイクボット、それにファットボーイ・スリムといったアーティストを聴いて育ったから、いつか自分でも深く掘り下げてみたいとずっと思っていた領域なんだよ。リスナーのみんなが驚いてしまうんじゃないかという不安も少しはあったけど、最終的には自分のためにこの形を選んだ。これからもキャリアを通じて、ハウスやダンス・ミュージックの可能性をもっと追求していきたいと思っているよ。

―「Running Away」はディスクロージャーのハワード・ローレンスとの共作・共同プロデュースでハウス・ミュージックの要素も感じられます。ハワードとはどういう経緯で曲を作ることになったのでしょう?

ドンキン:ハワードは2023年頃、InstagramとSpotifyを通じて僕のことを見つけてくれたんだ。彼がInstagramのストーリーで、僕の「Whenever」をピアノで弾きながら紹介してくれたのがきっかけで、すぐにやり取りが始まった。僕は子どもの頃からディスクロージャーの熱狂的なファンで、彼らの作るコード進行には、いつも打ちのめされていたよ。ハワードとは、ハーモニーの感覚や、お互いに聴いて育ったアーティストが共通していたことで、すぐに意気投合したんだ。セッションでは「一風変わったコード進行の曲を作ろう」という話になってね。二人とも納得のいく進行が見つかったときは、パッと顔が輝いたよ。本当に楽しいセッションだったし、その後のプロダクションの仕上げを僕に任せてくれたハワードには感謝している。また近いうちに彼と一緒に何かやれたらいいなと思っているよ。

―「Dont Be So Hard On Yourself」ではアース・ウィンド&ファイアー風のスキャットが飛び出したり、「Half Shuffle」はTOTOのジェフ・ポーカロのようなハーフタイム・シャッフル(ドラムパターン)そのものをテーマにしているようにも感じられたのですが、どうでしょう?

ドンキン:その通り! 鋭いね。アース・ウィンド&ファイアーはアルバム全体に大きな影響を与えているし、MJやジョージ・マイケル、スティーヴィー・ワンダー、ジャミロクワイといったアーティストのエッセンスも随所に散りばめている。「Dont Be So Hard On Yourself」で取り入れた、ヒップホップにインスパイアされたDJのスクラッチも気に入っているんだ。今の時代において、すごくユニークな響きをもたらしてくれていると思う。「Half Shuffle」に関しては、徹頭徹尾TOTOからの影響だね。ああいうスタイルは本当に大好きなんだ。

―新作では、あなたがシンセサイザーやキーボード、ドラムを演奏している以外に、元ヤクールのジェイムス・バークリーなど複数のミュージシャンが参加しています。特に親密なメンバーがいたら教えてください。

ドンキン:ソングライティングやプロデュースの際、僕はいつも決まった顔ぶれと一緒に仕事をすることが多いんだ。長い時間をかけて築かれる信頼というものがあると思う。数年にわたって密接に活動を共にしていると、お互いへの深い理解が生まれるんだ。ダニエル・デッソイとは18、19歳の頃からの付き合いで、思考のプロセスや何にインスパイアされるかといった部分で、本質的な繋がりを感じている。今回の『Extraordinary』はもちろん、僕が発表してきたほとんどの楽曲に彼の指紋が刻まれていると言ってもいい。ジェイムス(・バークリー)はずっとコラボレーションしてみたいと思っていた相手だったから、「Out Here」で共演できたことは本当に嬉しいよ。彼は最高のパートナーだね。何より素晴らしいのは、僕らが無二の親友だということだ。仕事仲間の大半を親しい友人だと思える僕は、とても幸運だよ。それが僕にとって最も理想的な仕事のあり方なんだ。

―今回はゲストも賑やかです。「Where Did We Go」ではキーファー、「Play The Game」ではラッパーのUHMEER(DJジャジー・ジェフの息子)、「I Need You」では女性シンガーのESMEを迎えています。いずれもアメリカを拠点にするミュージシャンですが、彼らをゲストに迎えた理由は?

ドンキン:キーファーとUHMEERに関しては、DJジャジー・ジェフが主催する「PLAYLIST Retreat」で幸運にも繋がることができた。二人とも参加する前から大ファンだったんだ。ESMEとはマネージャーを通じて知り合った。彼女は信じられないほどの才能の持ち主で、その独特なフローや歌詞のスタイルにはいつも驚かされてばかりだよ。3人とも音楽への深い造詣を持つ素晴らしいアーティストだし、何より僕たちは、自分たちの活動に対して同じような情熱を共有している。最終的に、その情熱こそがこのプロジェクトにおいて輝きを放っている部分だと思う。彼らが参加してくれたことを本当に幸運に感じているよ。

―新作ではシャーン・ラマプラサドによるストリングスも美しいです。シャーンに依頼した理由と、ストリングスを楽曲に取り入れることのメリットは?

ドンキン:シャーン(・ラマプラサド)は本当に素晴らしいよ。彼はバイオリン、ビオラ、チェロを自ら演奏して録音し、それらを幾重にもレイヤー化することで、たった一人でフルオーケストラのような響きを作り出してしまうんだ。まさに驚異的だね。あと、彼の仕事に対する姿勢や情熱からも多大なインスピレーションを受けている。ストリングスは楽曲を一段上のステージへと引き上げ、感情の揺らぎや深みを与えてくれる。僕は昔からディズニーのクラシックなサウンドトラックや古い映画音楽に心を動かされてきたのだけど、シャーンはそのあたりのリファレンスを完璧に理解してくれた。これほど優秀な才能を放っておく手はないだろう? ここ数年のいくつかのプロジェクトで彼と共作できたことは、僕にとって真の喜びだよ。

―最近ではリリー・アグネスの「been a minute」(2025年)でプロデュース/ソングライティングを手掛け、客演もしていましたが、ジャンルを跨いでの外部コラボレーションも多いですよね。その中で特に印象に残っているのは誰との曲か、また、こうしたコラボがあなたの音楽にどうフィードバックされていくのかも気になります。

ドンキン:僕が初めて経験したコラボレーションはフーリエ・サーフィンとジャス・ラブホールとの「TROPICS」(2019年)だった。その一点においても、僕にとって永遠に特別な楽曲だよ。リリー・アグネスとの「been a minute」やUNCOMMENNとの「Selfish」も大好きな作品だ。自分とは異なるアーティストやプロデューサーとの仕事は昔からずっと楽しんできたことだし、これからももっと増やしていきたい。音楽業界のあちこちに、できる限り僕の”指紋”を残していきたいといつも言っているんだ。『Extraordinary』がリリースされたら、今後はさらに多くのアーティストのプロデュースを手がけていく予定だよ。

ガレス・ドンキン

『Extraordinary』

発売中

CD : ¥2,750 (税込)

LP(限定Solar Flare Vinyl) : ¥5,500(税込)

詳細:https://www.inpartmaint.com/site/42438/

>>>記事の本文に戻る