
新たなスタートの象徴のような4月1日、名誉伝説にとって初のワンマンライブ「ディア・ライフ」が東京キネマ倶楽部で開催された。この日、彼女たちが示したのは、2023年の春に「ラヴィング」をリリースして以降の約3年間の集大成、そして、ここからさらにダイナミックに開花していくであろう新しい可能性の萌芽。多様で多彩な全16曲を通して、名誉伝説の"これまで"の歩みを辿りながら、"これから"の歩みへの期待が胸の内で際限なく高まり続けてゆく、そんな豊かな充実感に満ちた時間だった。2人にとってメモリアルな一夜となった同公演の模様を、順を追ってレポートしていきたい。
開演が数分後に迫ったタイミングで、スピーカーから、こたに(Vo)とけっさく(G)の会話が、まるでラジオのトーク番組のように流れ始める。2人の語り口はカジュアルだが、けっさくの「全力で」という言葉、また、こたにの「絶対いいライブしよ」という言葉には、揺るぎなく深い覚悟が滲んでいるように感じられた。いよいよ開幕の刻。フロアから温かな拍手が送られる中、ヴァイオリニストを含む5人のサポートメンバー、けっさく、こたにが一人ずつステージイン。オープニングを飾ったのは、原点の1曲「ラヴィング」。豊潤な響きを放つバンドサウンドに、キーボードとヴァイオリンの調べが流麗な彩りを添えてゆき、そしてその上に、こたにの歌声がとびっきり晴れやかに響きわたる。ラストの〈僕からの愛の歌〉という一節に、ひときわ力がこもっているように聴こえた。続いて、「feat. あなた」へ。ダイナミックに躍動するバンドサウンドを推進力にして、こたにの歌声がさらにめいっぱい響きわたり、観客が高く上げた手を左右にウェーブさせながら彩りを添えてゆく。瞬く間に会場全体に満ちてゆく多幸的なフィーリング。次に、こたにが「名誉伝説より愛を込めて」と告げつつ、「ポルトロン」を披露。こたには、左手の人差し指を天高く突き上げながら伸びやかな歌声を届け、観客も同じように人差し指を突き上げながら懸命にステージから届けられる愛に応えてゆく。まだ冒頭3曲にもかかわらず、音楽を介したコミュニケーションの充実感で既に胸がいっぱいになった。
Photo by Takeshi Yao
最初のMCパートで、こたには、今回の「ディア・ライフ」と題したライブについて、一人ひとりの観客にとって、日々の中にある愛や感謝の気持ちを思い出したり、気付いたりする時間になったら嬉しい、と語った。そして、「あなたが、もし間違った道を選んでも、私が正解に導けるように、想いを込めて歌います」と宣誓し、「ブルーモーション」からライブを再開させる。ステージの縁まで繰り出しながら、一人ひとりの観客と親密なコミュニケーションを重ねていくこたに。手を上下にバウンスさせながら全身全霊で応えていく観客。なんて熱く温かな応酬だろう。続いて、ロックモード全開の2曲「remember」「トランスファー」を通して会場全体の高揚感と一体感がさらに高まり、次の「BABY POWDER」では、こたにが「みんな一緒に踊れますか?」と問いかけつつ、自らサイドステップを刻みながら歌う。豪華絢爛なサウンドが放つ極上のダンスグルーヴを受け、クラップを重ねたり、自由に身体を動かしていく観客。続く「共犯者」では、高速ビートに合わせて、歌とサウンドが豪快にロールしていき、「みんな、まだまだいけますか?」というこたにの問いかけと共に披露された「地獄でスキップ」では、トリプルギターの轟音が遺憾無く轟き、熱烈、いや、猛烈なロックバイブスが会場を支配してゆく。一転して、ジャジーなセッションからの流れで「What is x?」へ。続く「さよならワルツ」では、会場全体を再びダンスステージへと変えてゆく。まるで、万華鏡のような変幻自在な展開に圧倒されたし、何より、名誉伝説が誇る表現の幅と奥行きに何度も驚かされた。まさに、ワンマンライブだからこその贅沢な体験だ。

こたに(Photo by Takeshi Yao)

けっさく(Photo by Takeshi Yao)
けっさくを交えたMCパートでは、まず、こたにの「鼻(嗅覚)がいい」というエピソードが届けられ、けっさくが「今日来てくれているみんなは、どんな匂いがしますか?」と質問、それに対してこたにが「愛の匂いがします」「愛の歌をやりましょう」と返し、「シャバイライ」からクライマックスパートへ突入する。さらにグッと気迫を増して響くカラフルでゴージャスなバンドサウンド。間奏では、こたにが観客と共に何度も一斉ジャンプを繰り返し、それを受け、けっさくのギターソロがひときわエモーショナルに昂る。「ルビを振れ」では、こたにの歌がとびっきり情熱的に響きわたり、「今晩の喧嘩」では、こたにと観客が、高く上げた両手でクラップを重ね合ってゆく。そしてここで、最新曲「ギューアグ」がサプライズ披露される。眩しいほどにエネルギッシュなポップチューンで、ライブ時点では未リリースであったにもかかわらず、ライブで非常によく映えていた。ラストのサビでは、煌びやかな紙吹雪が高らかに舞い、会場全体の多幸感がさらに極まってゆく。いよいよ残すところあと1曲。こたにが、「持ち合わせる愛を全部出し切って帰ろうと思います」と告げ、「プロポーズ文句」を披露。力強く、逞しく、何より優しく響きわたるこたにの歌。けっさくの渾身のギターソロ。溢れんばかりの多幸感の中で迎えた万感の大団円。最後にこたには、「また会おうね」と再会の約束を結び、ステージを去っていった。

Photo by Takeshi Yao
セットリスト
1. ラヴィング
2. feat. あなた
3. ポルトロン
4. ブルーモーション
5. remember
6. トランスファー
7. BABY POWDER
8. 共犯者
9. 地獄でスキップ
10. What is x?
11. さよならワルツ
12. シャバイライ
13. ルビを振れ
14. 今晩の喧嘩
15. ギューアグ
16. プロポーズ文句
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