
ハンブレッダーズのロックンロールと共に、遥かなる銀河へ。「地球から銀河系をドライブし、帰ってくるまでの車内で流れるプレイリスト」というコンセプトを掲げた5thフルアルバム『GALAXY DRIVE』を1月にリリースしたハンブレッダーズ。彼らは、2月から、全国10都市の"惑星"を巡る初の全国ホールツアー『ハンブレッダーズ ワンマンツアー ”2026年 銀河の旅”』に繰り出し、3月18日、ツアーファイナルの舞台である東京ガーデンシアターに無事に"着陸"した。コンセプトアルバム『GALAXY DRIVE』を軸に据えたコンセプチュアルなライブではあったが、逆説的に、いつもハンブレッダーズが歌い届けているメッセージ&いつも鳴らしているロックサウンドの一貫性が改めて浮き彫りになった公演だったと思う。順を追ってレポートしていく。
壮大なSE、また、映画『未知との遭遇』を彷彿とさせる電子音が響き、車窓から見える東京の街並みがスクリーンに映し出される中、ムツムロ アキラ(Vo・G)、ukicaster(G)、でらし(B・Cho)、木島(Dr)がステージイン。そして、発射直前のロケットのコクピットに流れるアナウンスが響きわたり、いよいよ『GALAXY DRIVE』が始まる。1曲目は、アルバムのオープニングナンバー「プレイリスト」。歌い出しの歌詞〈月面〉に合わせて月が、その後も、楽曲の展開に合わせて、人工衛星や流れ星、UFOが次々とスクリーンに映し出されてゆく。続けて、「銀河の旅へようこそ。気に入るといいけど」とムツムロが呟き、4人で向き合い激烈なキメを何度も重ね、「⚡️」へ。次に、プレイリストを組む感覚で今回のセットリストを組んだことを明かしたムツムロが、「どういうことか分かりますか、全て、皆さんのフェイバリットソングというわけですね」と告げ、「フェイバリットソング」へ繋ぐ。みんなの大好きな歌に、メンバーの熱唱が、そして、一人ひとりの観客の合唱が分かち難く重なる。その熱い光景を前に、序盤から胸が高鳴る。
ukicaster(G)Photo by マスダ レンゾ
その後も、「オカルティック・ラブ」をはじめとした最新アルバム曲を軸に次々と楽曲が披露されてゆく。その中でも、ひときわ凄まじい存在感を放っていたのが、獰猛なバンドセッションから雪崩れ込む形で披露された「アイズワイドシャット」だった。ukicasterによる鋭利なギターリフが容赦なく轟き、激烈な気迫を放つバンドサウンドを推進力にしたムツムロが矢継ぎ早に言葉を放っていく。ロックバンドとしての野性を極限解放したかのような、あまりにも熱烈な名演だった。

でらし(B・Cho)Photo by マスダ レンゾ

木島(Dr)Photo by マスダ レンゾ
ここまでの展開について、「上がり下がりの激しい曲の惑星群を抜けてきましたけども」と振り返ったムツムロは、続けて、今回のツアーファイナル公演に至るまでの旅路を回想し始めた。栃木(トチギンガ)、宮城(ミヤギンガ)、福岡(フクオカセイ)、広島(ヒロシマーズ)、北海道(ホッカイドセイ)、京都(キョウトロメダ)、香川(サヌキンセイ)、愛知(カナヤマーキュリー)、石川(ニホンカイオウセイ)を巡ってきた上で、最後に戻ってきた東京をどう呼ぶか、という問いに対して、観客から「ガーデンシアタイヨウ」という案が出て、それに対して、ムツムロが「トウキョウトロメダ」、木島が「エドセイ」という案を挙げる。結果的に、観客の拍手の大きさによって「エドセイ」が採用され、続けてムツムロが、銀河のことを教えてくれるAI・ブレッピーを紹介する。ムツムロが、「次の曲に最適なものを教えて」と質問すると、ブレッピーが「次の曲に最適なものが分かりました。跳びたい人は一緒に跳んでね」と答え、「SUPER TOMODACHI」からライブが再開。ダイナミックに躍動するハードな轟音に合わせ、自由に身体を動かしたり、手を上下にバウンスさせる観客。次に、ムツムロが、「あれ、ブレッピーがなんか喋ってます」と呟きながら手元のパッドを操作すると打ち込みのビートが流れ始め、その上に生のバンドサウンドが重なり、「MUSIC」へと繋がってゆく。そして、ダンサブルな展開は次の「DANCING IN THE ROOM」へと引き継がれる。今回は、"銀河ver."としての披露。ギターを下ろしたハンドマイクのムツムロが、深いオートチューンの効いた声で熱唱する姿が非常に新鮮だった。

ムツムロ アキラ(Vo・G)Photo by マスダ レンゾ
ここでムツムロが、ルーティンの繰り返しの日々の中で思うことを語り始める。人生は一つの旅。ルーティンに身を委ねていれば、怖いことを避けられるし、安心できるかもしれない。それでも、ほんのわずかでも、ドキドキワクワクしたい。心に生まれる、そのほんのちょっとのバグを、見逃さず、育てていきたい。そう語ったムツムロは、続けて、「皆さんのルーティンの中で、そのバグが修正されてしまいそうになった時、大丈夫って言ってあげられるのが自分の曲だったらと思います」と告げ、「バタフライエフェクト」へ繋ぐ。〈生きたいように生きていいんだよ〉という自由のメッセージが、先のムツムロの言葉と相まって音源で聴く時以上に深く胸に響く。そして、文字どおり「やばすぎるスピード」で爆速で銀河のハイウェイを駆け抜け、「ちょっとロンリー」へ。〈誰もが皆 ちょっとロンリー 集団的ひとりぼっち〉というラインに、メンバーの、そして、一人ひとりの観客の歌声が重なる。一人ひとりが、一人ひとりのまま、〈音楽〉を介して〈ちょっとロンリー〉なフィーリングを分かち合う。なんて美しい光景だろう。〈音楽〉の根源的な可能性に改めて触れるような感動的な時間・空間だった。
気付けば、銀河の旅も終盤に差し掛かり始める。ムツムロは、地球での暮らしの中には、「ふざけんなよ」と思うこともあると赤裸々に告げた上で、「時には誰かに立てたくなるぜ中指 だけど俺も君も笑った顔がラブリー ここにいる誰の人生だってたった一つの作品 それじゃこのへんで一休み」とライムを刻み、「着陸」へと繋いだ。音源以上にエモーショナルに紡がれてゆくムツムロのポエトリーリーディング。やがてスクリーンに陽が昇り始め、終盤にかけて4人の全身全霊のバンドサウンドが際限なく極まり続けてゆく。圧巻の展開を経たムツムロは、「地球に戻ってきたみたいです。ありがとう」と感謝を告げた上で、「17年ぐらい曲作ってきて、その中で一番いいなと思えるものが完成しました」と前置きし、「恋の段落」を披露する。凛と研ぎ澄まされた歌の力、丹精に磨き込まれた言葉の力、そして、それらを最大出力させるバンドサウンドの力。渾身の愛の歌にして、ハンブレッダーズの真髄が凝縮された珠玉のロックアクトだった。

Photo by マスダ レンゾ
「これからも、混迷する時代の中で、俺たちだけは最後の一人になっても純愛を歌い続けます」。ムツムロがそう語った後に披露されたのは、「ピース」。愛の歌、自由の歌、そして、平和の歌。ラブ&ピース&フリー。それは、ロックンロールの根源的な理念であり、ハンブレッダーズが一貫して歌い鳴らし続けている信念そのものだ。とめどなく胸が熱くなる中、いよいよ本編最後の一曲へ。ムツムロは、「いつだって同じことを歌っています。この星の重力が苦しくなったら宇宙に飛んでいけばいいって、そういうことを初めて歌った曲をやります」と告げ、初期曲「逃飛行」を披露。〈夜が怖いなら 自転しない星を探して ドライブするんだ〉という歌詞を替えて〈ドライブしようぜ〉とムツムロが呼びかけると、観客がめいっぱいのコールを重ねて応え、最後には会場に紙吹雪が舞う。万感のクライマックスだった。

Photo by マスダ レンゾ
アンコールは、お馴染みのオープニングSE、また、お馴染みの言葉「スクールカーストの最底辺から青春を歌いに来ました。日本のハンブレッダーズです」から幕を開け、まず、「みんながどうせ一番好きな曲をやります」という前置きを経て、「銀河高速」を披露。そして、「今回、コンセプチュアルなツアーやったんで、ピンボで歌った曲もあったけど、やっぱ、あると落ち着きますね……この……」と告げ、ラストナンバー「ギター」へ繋ぐ。間奏では、ムツムロとukicasterが床に寝そべってギターを弾き倒しまくり、でらしがドラムセットの木島のマイクに首を傾けて熱唱。ギターロックバンドとしての気概と矜持を東京ガーデンシアターに深々と刻み付けてみせた熱烈な大団円だった。
ロックンロールを聴けば、ギターを鳴らせば、僕たちは、いつだって宇宙へ飛び立つことができるし、または、この地球で強く生きていくことができる。ハンブレッダーズが一貫して歌い鳴らし続けるそのメッセージは、時代がどれだけ変わろうとも、どれだけ混迷を極めようとも、やはり揺るぎない。だからこそ、信頼できる。改めて、そう強く感じた一夜だった。

Photo by マスダ レンゾ
セットリスト
1. プレイリスト
2. ⚡️
3. フェイバリットソング
4. オカルティック・ラブ
5. スローモーション
6. わっか
7. ワールドイズマイン
8. アイズワイドシャット
9. SUPER TOMODACHI
10. MUSIC
11. DANCING IN THE ROOM
12. バタフライエフェクト
13. やばすぎるスピード
14. ちょっとロンリー
15. 着陸
16. 恋の段落
17. ピース
18. 逃飛行
EN1. 銀河高速
EN2. ギター
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