フジテレビは、3月11日に開催した番組審議会で、「若い世代とデザインするフジテレビの未来 ~若手社員が伝えたいこと・若手社員に伝えたいこと~」をテーマに議論を展開。公開された議事概要からは、若手社員たちの率直な問題意識と、それを受け止める委員たちの厳しくも期待を込めた提言が浮かび上がった。
若手社員からまず示されたのは、「面白いコンテンツとは何か」という根源的な問い。面白さを形づくる要素として「この時代に即しているか」と「新しいかどうか」の2点を重視し、作り手自身が“新しいポイント”をきちんと提示していくことが重要だと訴えた。これに対し委員側も、その視点に理解を示し、若い世代が新しいドラマを作ろうとしていること自体が重要だと応じた。
ドラマ制作をめぐっては、フジテレビならではの“枠のイメージ”の弱さが課題に。若手社員からは、ドラマ枠の個性が明確であれば、それ自体が視聴動機になり得るとの指摘があり、委員側からも、各枠をどう位置づけ、どんなカラーを打ち出していくのかを、若い世代が上層部に積極的に提案していく意義が語られた。
報道のあり方については、バラエティ色の強い局というフジテレビの個性を前提に、「どのような報道が求められているのか」「どうすればフジテレビの報道番組を見ようと思ってもらえるのか、その答えが見つからない」という若手社員の悩みが。これに対して委員側は、そもそも若い世代が報道番組そのものを見ない傾向があるとした上で、単に良い番組を作るだけでは届かず、視聴へどう誘導するかまで含めて考える必要があると提言した。さらに、ニュースを扱う際に“何が正解か”を番組側が背負い過ぎることへの違和感も示された。
委員からは、現在のフジテレビに対する厳しい声も上がった。「フジテレビが大好きな自分ですら、今好きな番組は何かと聞かれると固まってしまう」と指摘した上で、未来の視聴者を育てるには“攻めた企画”が一定数必要だとの意見が出された。ただし、その“攻め”を成立させる条件として挙げられたのが「知性」。単に刺激が強いだけではなく、知性が感じられるからこそ挑戦的な企画も成立する、という考え方が示された。
組織論に関する発言も。若手社員からは、「局が変われば会社が違うのではないか」と感じるほど文化の差が大きく、それぞれの原局が異なる方向を向くことで、本来避けられたはずの混乱を招くこともあるとの声が上がった。
そうした中で言及されたのが、社内で進むリブランディングプロジェクト。80年代に生まれた「楽しくなければテレビじゃない」に代わる企業メッセージなどを5月に発表予定だが、プロジェクトメンバーからは、この取り組みは単に外側を変えるものではなく、フジテレビが社会にどんな価値を提供できる会社なのかを改めて定義し、再び必要とされる存在になるための指針をつくる試みだと説明した。
同プロジェクトが実施した全社アンケートには、役職員約1,300人のうち1,000人が回答し、その“熱量”をいかに前向きな力へ変えていくかが重要だという認識も共有された。
若手社員の発言として重く響くのが、「一連の『事案』があって、なかなか胸を張ってフジテレビで働く“誇り”を言えなくなってしまった」という本音。委員側はこれに対し、テレビが今なお社会の中で果たす役割は大きいとした上で、「信じられ、愛される局」を目指す姿勢を忘れず、熱を持ち、心を合わせて進んでほしいとエールを送った。
出席した委員は、但木敬一委員長、岡室美奈子副委員長、井上由美子氏、小山薫堂氏、最相葉月氏、齋藤孝氏、サヘル・ローズ氏、三浦瑠麗氏。局側からは清水賢治社長をはじめ、各局・各部門の幹部や若手社員らが参加した。
