「死ぬかもしれないと思った」“ラブソングの女王”シェネルを襲った激痛と診断…当時を振り返る
アーティストの「こっちのけんと」がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「G-SHOCK presents THE MOMENT」(毎週金曜17:00~17:25)。さまざまなゲストをお迎えし、生まれてからこれまでの時間のなかで、人の心に刻まれている「人生が変わった瞬間」=“MOMENT(モーメント)”を探ります。

今回のゲストは、オーストラリア出身の歌手・シェネル(Che’Nelle)さん。これまでの人生の転機などについて伺いました。

(左から)こっちのけんと、シェネルさん

◆「世界で一番孤立した街」からの脱出…シェネルを救った運命の1冊

こっちのけんと:本日のゲストは、オーストラリアのアーティスト、シンガーソングライター、シェネルさんです! 2007年に世界デビューされて、日本では「ベイビー・アイラブユー」や「ビリーヴ」など、数々のヒット曲でお馴染みです。

僕も小さい頃からずっと聴いていたので、今日はお会いできて本当に嬉しいです。初の海外ゲストということで緊張しておりますが、よろしくお願いします!

シェネル:よろしくお願いします!

こっちのけんと:以前「CDTV」でご一緒した際、赤いドレスが本当に素敵で……。ずっとお話ししたかったので、今日は通訳のフォーンクルック幹治(ミキヒロ)さんと一緒にじっくり伺いたいと思います。早速ですが、シェネルさんの人生が変わった最初の「モーメント」を教えてください。

シェネル:2005年、初めて出会った自己啓発本です。私が21歳くらいの時、母の友人が1冊の本をくれたんです。なぜ彼がその本を私に渡したのか、理由は思い出せないのですが、だからこそ何か「運命」のようなものを感じています。神様は、必要なタイミングで必要な人を人生に送り込んでくれる。彼が持ってきてくれたその本が、私に「アウト・オブ・ザ・ボックス(既存の枠の外)」を考えるきっかけをくれました。

こっちのけんと:その本には、具体的にどんなことが書かれていたのですか?

シェネル:ブルース・ウィルキンソンの『夢を与える人(ザ・ドリーム・ギバー)』という本です。当時はオーストラリアのパースにいたのですが、パースは世界で一番孤立している街と言われていて、どこにも行けない、抜け出せないという感覚に陥っていました。でもこの本が、常識にとらわれている人がそこから抜け出す姿を教えてくれたんです。もっと広い世界があるんだと学んで、「何かになりたい」「夢を追いたい」という強い原動力になりました。

こっちのけんと:20歳前後の多感な時期に、その考え方に出会えたのは大きいですね。

シェネル:そう、19歳~21歳くらいの頃で、本当にがんじがらめな感じがしていたんです。その本は考え方を変えるだけでなく、自分の夢に対する「障壁」が、実は家族から来ることもあると教えてくれました。

こっちのけんと:家族から、ですか?

シェネル:ええ。家族の「愛」が「心配」に変わって、自分を止めてしまうことがあるんです。もちろん全ての家族がそうではありませんが、私がニューヨークへ行こうとした時も、両親はものすごく不安がっていました。でも、もしその心配の声に従って歩みを止めていたら、今の私は存在しません。たとえ愛から来る言葉であっても、時には不快な一歩を踏み出す決断が必要なんです。

こっちのけんと:僕自身も家族の愛を感じつつも、自分のやりたいことにストップをかけていた時期があったので、すごく共感します。その当時、本以外にシェネルさんの背中を押してくれた音楽はありましたか?

シェネル:2000年代初頭のR&Bやヒップホップをよく聴いていました。ミッシー・エリオット、ティンバランド、TLC……。特にブランディのアルバム『Full Moon』はめちゃくちゃ聴きましたね。ティンバランドのプロデュースワークは、自分が作曲を始める時にもすごく参考になりました。私の音楽の原点と言えるかもしれません。

◆「道端で倒れてた」!? NY時代の壮絶な生活と、病が教えてくれたこと

こっちのけんと:続いて、シェネルさんの人生2つ目のモーメントを教えてください。

シェネル:2008年、潰瘍性大腸炎と診断されてライフスタイルを大転換したことです。

こっちのけんと:えっ、大丈夫だったんですか!?

シェネル:今はもう大丈夫!でも当時は、自分のことを全くケアしていなかったんです。健康の重要性なんて誰も教えてくれませんでした。ニューヨークにいた20歳くらいの頃は、毎晩のように飲んで、好きなものを食べて、寝ない生活。20歳の若者がやりがちなことをずっと続けていたんです。

こっちのけんと:あのシェネルさんが、ニューヨークでそんな生活を……(笑)。

シェネル:もちろんストレスや感情的な要因もあったと思います。あるとき、オーストラリアに帰国して、そのあとクアラルンプールに行った際に発症しました。あまりの激痛で病院に入院したのですが、原因が判明するまで数日間かかり、ニューヨークへ帰る飛行機にも乗れませんでした。あの時は本当に「死ぬかもしれない」と思うほどの恐怖と痛みでした。

こっちのけんと:その経験が、今の健康的なシェネルさんを作るきっかけになったんですね。

シェネル:はい。それを機にフィットネスや食事、何が健康的かを必死に勉強しました。潰瘍性大腸炎は完治しないと言われていますが、私は何年もかけて自分の体を癒やし、何度も検査をして、今はもう何もありません。健康が一番だと身をもって知りました。

こっちのけんと:その頃、すでに音楽活動はスタートしていたんですよね?

シェネル:ニューヨークのヴァージン・レコードと世界契約を結んだ頃でしたね。当時はお酒をセーブするなんて発想は全くなくて……(笑)。

こっちのけんと:勝手なイメージですが、もっと優等生というかエリートな方だと思っていました。僕らと同じような若者らしい青春を歩んできたと聞いて、なんだか安心しました。

シェネル:私、あの頃は日本の「サラリーマン」みたいだったんですよ。

こっちのけんと:シェネルさんが道端に!? それはすごいエピソードですね(笑)。でも、日本で「ラブソングの女王」としてヒットを出す前に、そんな泥臭い時代があったからこそ、聴く人の心に寄り添えるのかもしれません。

シェネル:そうですね。私の声に乗っているのは、単なる歌詞やメロディだけではありません。ステージでパフォーマンスする以上の「エネルギー」が大事なんです。これまでの経験すべてが、今の私の歌に繋がっています。

こっちのけんと:本当に貴重なお話をありがとうございました。シェネルさんのパワーの源に触れられた気がします!

<番組概要>

番組名:G-SHOCK presents THE MOMENT

放送日時:毎週金曜 17:00~17:25

パーソナリティ:こっちのけんと

番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/moment/

番組公式X:@TFM_THEMOMENT