
3月29日(日)の放送は「村上RADIO~ジャズで聴くクラシック音楽~」をオンエア。今回の放送は、ショパンとバッハを中心に、クラシック音楽をジャズアレンジで聴く、村上RADIOならではの特集。村上さんが選んだ、とっておきの「ジャズ+クラシック」をお届けしました。
この記事では、中盤2曲について語ったパートを紹介します。
「村上RADIO」
◆Eugen Cicero「Cicero's Air」
次はあまりにも有名なバッハの「G線上のアリア」です。この曲、おととし小澤征爾さんが亡くなったとき、サイトウ・キネン・オーケストラがステージで演奏して、演奏のあとにしばしの沈黙があり、その静けさがじんと胸に浸みたことを覚えています。「管弦楽組曲第3番」の中の曲です。ルーマニア生まれのオイゲン・キケロが、ピアノ・トリオで演奏します。ルーマニアという国は多くの名ピアニストを産み出しています。リパッティとかハスキルとかルプーとか。
僕はこのバッハの「管弦楽組曲」が好きで、10代の頃からずいぶんよく聴いてきました。僕が最初に買ったのはジャン=フランソワ・パイヤール指揮のパイヤール室内管弦楽団のエラート盤で、2番と3番が裏表にカップリングされていました。いかにもフランス風の優しくて、ふくよかな演奏でした。ランパルがフルートを吹いていてね。だからそのパイヤールの演奏が今でも、僕のこの曲のメートル原器みたいになっています。この曲のことを考えると、そのサウンドが頭にすっと浮かんできます。ドイツ風のきりっとしたバッハとは肌触りがかなり違います。最初に巡りあう音楽ってけっこう大事なんですね。
これはアナログLPなのでちょっとプチプチが入りましたね。すみません。
◆Bud Powell「Bud On Bach」
バッハはバッハでも、息子のカール・エマニュエル・バッハが作曲した「ソルフェージェット」ハ短調を聴いてください。演奏するのはなんと、バド・パウエル。本人の言によれば「子どもの頃、練習でよく弾かされた曲なんだよ」ということです。昔を思い出して、ぱらぱらと弾いちゃったんですね。しかしいったんバド・パウエルの手にかかると、練習曲が実にがらりと鬼気迫るものに変身します。
これも古いアナログLPで僕が店をやっていたころにかけてたレコードですね。だからちょっと傷が入ってました、すみません。
<番組概要>
番組名:村上RADIO~ジャズで聴くクラシック音楽~
放送日時:3月29日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/