
3月21日(土)の放送では、三島食品株式会社 代表取締役社長の末貞操(すえさだ・みさお)さんをゲストにお招きして、人気商品「ゆかり」シリーズの開発エピソードについて伺いました。
(左から)アシスタントの俊山真美(広島FM)、三島食品株式会社 代表取締役社長 末貞操さん、パーソナリティの小堺翔太
◆誠実な商品開発が消費者の心を動かした
三島食品株式会社は、1949年の創業以来、赤しそふりかけの「ゆかり」で広く知られる食品メーカーです。素材選びから品質管理、販売方法に至るまで一切の妥協を許さず、独自性と品質を兼ね備えた商品を世に送り出してきました。代表取締役の末貞さんは、その歩みの背景にある理念と歴史を語ります。
三島食品は創業当初、唐辛子粉や桜でんぶの販売からスタートしました。創業者の三島哲男は、乾物問屋での丁稚奉公を通じて商いを学び、戦後にその経験を活かしてメーカーへと方針転換。「乾き物の経験を活かしてメーカーになりたい」という思いが、ふりかけ事業の原点となりました。当時の広島では後発の立場でしたが、だからこそ他社との差別化を強く意識していたといいます。
その戦略の軸となったのが「高級路線」でした。「いい海苔を使ったり、鰹節でも粉じゃなくてちゃんと削ったような、しっかりしたものを使いたいという思いがあったようです」と、末貞さんは説明します。そうした姿勢のもと、1970年に看板商品「ゆかり」が誕生しました。
一方で、販売当初は苦労の連続だったといいます。末貞さんが「いきなり出したからパッと売れるわけではない」と語るように、試行錯誤と失敗を重ねる日々が続きました。それでも創業者が貫いたのは、「ごまかしのないもの」を作るという信念でした。安価な原料を混ぜる業界の慣習を目にしてきた経験から、正直な商売を徹底。良質な素材だけを使い、誠実な商品づくりにこだわり続けたのです。
その結果、派手な広告に頼らずとも、「三島食品の商品はおいしい」「ごまかしがない」という評価が口コミで広がっていきました。「みなさんからコマーシャルしていただいています」という言葉の通り、消費者の信頼がブランドを育ててきました。地道ながらも揺るがない姿勢が、今日の三島食品を支えています。
◆「ゆかり」の名前の由来は恋の和歌
三島食品の代表商品「ゆかり」は、その味わいだけでなく、印象的なネーミングでも多くの人に親しまれています。実はこの名前は「古今和歌集」に収められた「紫の 一本(ひともと)ゆえに 武蔵野の 草はみながら あはれとぞ見る」という、恋の歌に由来しているといいます。「恋する人がいることで、その人に関わるすべてが愛おしく見える」という情景から着想を得て、「ゆかり」と名付けられました。その由来は、企業のホームページにも公開されています。
その後、青じその「かおり」、ピリ辛たらこの「あかり」といった商品が登場し、シリーズは広がっていきました。さらに近年では、SNSをきっかけに「ゆかり・かおり・あかり」が“三姉妹”と呼ばれるようになり、思いがけない形で注目を集めます。これには社内も驚き、「三姉妹だったのか」とあらためて気づかされる出来事だったといいます。
その流れを受けて誕生したのが、第四の商品「うめこ」です。商品企画の責任者との何気ない昼食の場で、「カリカリ梅で四姉妹目を」というアイデアが持ち上がり、「名前は『うめこ』しかない」という直感から決定。末貞さんが「2人で決めた」というエピソードの通り、自然な発想から生まれたネーミングでした。こうして誕生した「うめこ」は見事にヒット。伝統的な和歌の美意識から、現場のひらめきまで、三島食品のネーミングには親しみやすさと物語性が息づいています。
◆大ヒットした「ひろし」の誕生秘話
三島食品の人気シリーズに、新たな話題をもたらしたのが「ひろし」です。その誕生の裏側には、ユニークな経緯がありました。もともと「ひろし」は、広島菜を使った炊き込みご飯の具材としてラインナップに含まれていた存在でした。いわば脇役的な立ち位置でしたが、その完成度の高さから「バックダンサーだったものをソロデビューさせたい」という発想が生まれ、商品化が検討されることになります。
ネーミングの決定には、社内で多くの意見が交わされました。最終的な会議では「ひろこ」という名前が最多票を集め、一度はその案で決定します。しかし、末貞さんのなかで別の案が引っかかり続けていました。それが、候補のひとつにあった「ひろし」でした。
これまでの女性シリーズという流れから外れることもあり、当初は選ばれなかったものの、「どうしても気になる」という直感が拭えなかったといいます。やがて末貞さんは、「ひろし」に変えてもらうことを決断します。すでに決まっていた案を覆す異例の判断でしたが、「他の人は誰も文句を言わず、特に抵抗もなくスルッと決まった」と振り返ります。
その結果は、予想を大きく上回るものでした。発売前からSNSで話題となり、注文が殺到。多くの支持を集めました。ふりかけ業界では1億円規模でヒットといわれるなかで、「ひろし」は4億円を超える売上を記録。直感を信じた一手が、大きな成功へとつながったのです。末貞さんは「バックダンサーだったひろしをソロデビューさせるべく、世間がSNSを使ってものすごく応援してくれました」と喜びを語りました。
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<番組情報>
番組名:となりのカイシャに聞いてみた!supported by オリックスグループ
放送エリア:TOKYO FMをのぞくJFN全国22局ネット
パーソナリティ:小堺翔太
番組Webサイト:https://jfn.co.jp/lp/tonarinokaisha/