ピン芸日本一決定戦『R-1グランプリ2026』。過去最多6,171人のエントリーの中から決勝戦(カンテレ・フジテレビ系、21日18:30~生放送)に駒を進めたのは、しんや、今井らいぱち、ドンデコルテ 渡辺銀次、ななまがり 初瀬、さすらいラビー 中田、真輝志、ルシファー吉岡、九条ジョー、トンツカタン お抹茶の9人だ(※決勝戦ネタ順)。

ファイナリスト9人へのインタビューを、決勝戦前日まで紹介。8度目の決勝進出を果たしたルシファー吉岡は、変化したレギュレーションや大会全体の厳しさを踏まえながら、今年も頂点を目指す――。

  • ルシファー吉岡

    ルシファー吉岡

「『R-1』はアメリカですね」

決勝進出が決まった瞬間について、「今回は割としんどかったのでホッとしました」と振り返るルシファー。今大会から3回戦がなくなり、2回戦の次が準々決勝となったことで、ネタを仕上げる時間や配分の難しさが増したという。どの段階でどのネタを出すべきか、勝負ネタを温存するかどうか、その判断がこれまで以上にシビアだった。

年々、新しい出場者が増え、参加人数も拡大する中で、大会そのもののレベルも確実に上がっていると感じている。「このくらいで大丈夫かな」と見積もって臨むと落ちてしまう。そんな緊張感の中でつかんだ決勝進出だった。

ファイナリスト9人の顔ぶれについては、「知り合いがいなくなりましたよね」と苦笑しつつ、「みんなデカい」という独特の視点で分析。体格の大きい出場者が目立つ今大会では、自分が舞台に立ったときに小さく見えてしまうのではないかという不安すらあるという。

「今回の平均身長は170センチ台後半くらいあるんじゃないですか。そうなると、アメリカの平均身長とほとんど一緒ですから。つまり『R-1』はアメリカですね」

そんな中で意識する存在として名前を挙げたのが、ドンデコルテ・渡辺銀次だ。決勝会見で同期だと分かり、ライバル心が芽生えたという。長年大会に出続ける中で、また新たな“仲間”を見つけた感覚もあるようだ。

芸歴制限期は「しばらく動けなくなった」

ルシファーが、自分の強みとして挙げるのは、演技力と一人コントの技術、そして「おじさんとしての悲哀」だ。

「悲哀は、このメンバーの中でも群を抜いているんじゃないかな」

そては一朝一夕で身につくものではなく、年齢や経験の積み重ねによってにじみ出るものだという。シミの一つひとつにまで積み重ねがある、と自虐を交えて語るあたりにも、ルシファーらしい視点がにじむ。

そんなルシファーにとって、『R-1グランプリ』とは何か。返ってきた答えは、シンプルだった。

「ぜんぜん優勝できないじゃん、ですね」

これまで何度も決勝に進みながら、あと一歩で届かなかった。2021年から2023年まで導入されていた芸歴制限によって出場できなかった期間には、大会の方向性が変わったことに衝撃を受け、しばらく動けなくなったという。

その間は単独ライブに集中するなど気持ちを切り替えたが、2024年に芸歴制限が撤廃され、再び出場資格を得たときは、うれしさと同時に複雑な思いもあった。

それでも再挑戦を続け、こうして決勝の舞台に戻ってきた。ままならなさも含めて、それが『R-1』であり、自分の実力でもあると受け止めている。

その上で、心の中にある思いは明確だ。

「今年こそ念願の優勝を勝ち取ってやるぞと思っています」

幾度も挑み、幾度も届かなかった頂点へ。ルシファー吉岡は今年もまた、自身の武器を携えて『R-1』決勝の舞台に立つ。