生理の痛みや不快感は人それぞれ。学校で体について学んでいても、生理や生理痛を詳しく理解できていないという若い世代も少なくない。
こうした中、生理痛についてできるだけ早い段階から学び、理解を深めることを目的に、第一三共ヘルスケアは「みんなの生理痛プロジェクト for TEEN」を実施している。2026年3月9日には、東京・鷗友学園女子中学高等学校で1~2年生を対象に、「生理痛について“学び・考える授業”」が開催された。
「みんなの生理痛プロジェクト」とは?
授業の冒頭では、第一三共ヘルスケアの鈴木ひかるさんが「みんなの生理痛プロジェクト『生理痛について“学び・考える授業”』」の概要を説明した。
第一三共ヘルスケアの調査によると、1年以内に生理痛を経験した女性は73.1%。また、生理痛でつらい症状を感じることがある人は約3人に1人にのぼるという。さらに、生理痛を我慢した経験がある女性は91.7%に達した。
「こうした生理に伴う不調を我慢しないで、より快適に過ごしていただきたいという思いから、私たちは『みんなの生理痛プロジェクト』を立ち上げました」と鈴木さんは続けた。 「2024年からは10代の方々を中心に、できるだけ早い段階で生理や生理痛について学び、考える機会を提供できるよう、プロジェクトを展開しています」。
学校アンケートの結果とクイズで楽しくアイスブレイク!
次に、保健委員会の委員長・副委員長から、鷗友学園女子中学高等学校の生徒を対象に行われた事前アンケートの結果が紹介された。
『生理に関して経験したイヤなこと』として最も多かったのは、「生理用品がなく、トイレットペーパーや他のもので代用したこと」。わずかな差で2番目に多かったのが「トイレに生理用品を持っていくことを忘れ、生理用品の交換を我慢したこと」だ。
「その他にも、『外出中に洋服に血がついてしまった』『生理による体調不良で学校を遅刻・欠席した』『学校に言えずに我慢した』という声がありました。生理不順やPMSで悩む人もいるようです」という結果も報告された。
その後、アイスブレイクとして、生理痛や鎮痛薬などについての〇×クイズが実施された。生徒たちは楽しそうに手を挙げ、答えを選んでいた。
産婦人科医・高尾医師が登場。生理と生理痛が起こる仕組みとは?
続いて、産婦人科医・高尾美穂医師によるセミナー「生理・生理痛の仕組み」が行われた。
「子宮のサイズは意外と小さく、鶏の卵ほどの大きさです」と高尾医師。子宮につながる卵巣で作られたホルモンが排卵を引き起こすことや、赤ちゃんを迎える準備として子宮内には子宮内膜が作られることも説明された。
「排卵から1週間ほどたった時期に、この子宮内膜を手放していくのが生理です」と、生理の仕組みもわかりやすく解説した。
生理が続く期間は3~7日、生理周期は25~38日であることにも触れながら、「3カ月くらい生理の間隔があいたら、一度相談した方がいいかもしれません」と高尾医師はアドバイスした。
続いて説明されたのが、月経前症候群(PMS)だ。
「女性ホルモンのプロゲステロンが作られる時期は、調子が悪く感じることもあります。むくみや便秘、お腹の張り、頭痛などの体の不調のほか、イライラや涙もろくなる、緊張感が強くなる、うつっぽくなるなど、精神面にも影響します。これがPMSです」。
さらに、生理痛の仕組みについても解説された。
「子宮をぎゅっとつぶすことで、中身が押し出されて生理の経血が出ます。この握りつぶす(収縮する)力が強すぎると、お腹や腰などに痛みが出て、生理痛が起こります」。
生理の痛みや症状は一人ひとり異なる。
「生理がつらくて学校を休んだり、休みたいと思ったら、日常生活に支障が出ているということ。痛みで集中できず、ドリルを解くのに時間がかかった時もそうですね」。
月経の痛みやつらさで日常生活に支障をきたすのが月経困難症だ。月経困難症の一つである器質性月経困難症は、子宮内膜症や子宮筋腫が原因となることもあるという。
「こうした痛みやつらさなどで困ったら、自分だけで抱え込まず、同級生や保健の先生、お母さんなど誰かに相談していいと覚えておいてください」と高尾医師は締めくくった。
体を温める、動かす、薬を飲む…生理痛の対処法とは
続いて、生理痛の対処法についてのセミナーも行われた。
生理痛の主な対処法として紹介されたのが、「お腹を温める」「血行を良くする飲み物を飲む」「半身浴+お腹のマッサージ」などだ。そのほか、ストレッチやウォーキング、座りっぱなしを避けるなど、体を動かす方法も挙げられた。
「もう1つの方法として、皆さまからよく聞くのが鎮痛薬です。使う時のポイントは、早めに服用することです」。
痛み始めの段階で鎮痛薬を服用すると、子宮を収縮させる働きをする体内の成分プロスタグランジンの生成を抑えるとされている。痛みが本格的になる前に鎮痛薬を服用した方が、このプロスタグランジンを早く抑えられ、より効果が得られやすいとされているという。
「鎮痛薬を飲みすぎるとだんだん効きづらくなるのではないか、と思う方もいるかもしれませんが、決められた量と用法を守っていれば効きづらくなることはありません」と高尾医師。鎮痛薬の選び方や使い方に悩んだ場合は、ドラッグストアや薬局で薬剤師に相談したり、婦人科を受診したりするのもおすすめだという。
友達が生理痛でつらそうだったら、どうする?
生徒たちから高尾医師への質疑応答を経て、最後にワークショップが行われた。
お題は「自分と仲のいい友人が、教室で生理痛でつらそうにしているのを見かけました。あなたならどうしますか?」。生徒たちは席を離れてグループごとに輪になり、どう対応するのがよいかを話し合った。
「『大丈夫?』って聞くよね」「保健室に連れて行く!」「修学旅行とか合宿とかだとさらに困るよね」と口々に、自分なりの解決策が挙げられ、とりまとめ用の紙に書き込まれていく。
話し合いがまとまると、指名されたグループが発表を行った。
「『大丈夫?』と聞いて、ブランケットを持っていって貸してあげます」
「教室移動があったら荷物を持ってあげて、ホッカイロがあれば渡します」
「気分がまぎれる楽しい話をしたり、一緒に体を動かしてストレッチします」
と、普段の生活に沿ったさまざまなアイデアが挙げられた。
今回の授業後、全体のファシリテーターを務めた保健委員会・委員長の笹川華怜さんに感想を聞いた。
「これまで生理に関することを話すのに抵抗感がありました。でも今回の授業を受けて、周りの人が気遣ってくれることもあるんだ、もっと生理のことを気軽に話していいんだという気持ちになれました」。
体の仕組みを知り、生理や生理痛に関する病気、生理痛への対処法などを学んだ今回の授業。痛みやつらさをただ耐えるのではなく、自分の体とどう向き合い対処すればいいのかを学び、考えるきっかけになったようだ。
高尾美穂医師 プロフィール

産婦人科医・医学博士・産業医。女性のための統合ヘルスクリニック「イーク表参道」副院長。婦人科診察を通し、女性の健康を幅広くサポート。働く女性のための産業医として企業を支える傍ら、内閣府男女共同参画局、人事局などで教育講演を担当。婦人科スポーツドクターとして日本スポーツ協会ではスポーツドクターの養成に携わるほか、骨盤底筋トレーニングヨガ、アスリートヨガをはじめ、ヨガ指導者を育成するセッションも積極的に行っている。また、X、YouTube、stand.fmなど、SNSでの発信にも力を入れている。