日本イーライリリーと田辺ファーマは3月3日、肥満症の理解促進を目的とした「その肥満、肥満症かも!」プロジェクトの発表記者会見を開催した。

日本肥満症予防協会 理事長の宮崎滋氏が登壇したほか、ゲストとしてお笑いコンビ・見取り図も登場。肥満と肥満症の違いや社会的な誤解について語られ、肥満症への理解を深めるための〇×クイズや川柳企画が実施された。

医師が解説――肥満と肥満症はどう違う?

イベントではまず、日本肥満症予防協会 理事長の宮崎滋氏が登壇し、「肥満」と「肥満症」の違いについて解説した。

  • 宮崎滋氏

    宮崎滋氏

宮崎氏によると、肥満は体格指数(BMI)が25以上の状態を指す。一方で「肥満症」は、肥満に加えて糖尿病や高血圧、脂質異常症などの健康障害を伴う、あるいはそのリスクが高い状態を指し、医学的な治療が必要とされる疾患だという。日本では2000年に日本肥満学会がこの概念を提唱し、肥満と肥満症を区別する診断基準が定められた。

宮崎氏は、「BMIが25以上の人は日本では約2800万人といわれ、4人に1人が肥満の状態にあります。しかし、そのすべてが治療対象というわけではありません」と説明。そのうえで、内臓脂肪の蓄積や合併症の有無が重要な判断基準になると語った。

また、肥満の原因については生活習慣だけでなく、遺伝的要因やホルモンバランス、睡眠不足、心理的要因などさまざまな要素が関係していると指摘。肥満は自己管理の問題だと考えられがちだが、実際には環境要因と遺伝的要因がそれぞれ約半分ずつ関わっているという。

さらに、「肥満症は糖尿病や高血圧、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群など多くの健康障害と関連し、重症化すれば心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気につながる可能性もある。肥満症は単に太っている状態ではなく、治療が必要な病気です」と強調。生活習慣の改善に加え、薬物療法や外科療法などの治療法もあると紹介し、「まずは医療機関に相談することが重要」と呼びかけた。

また、肥満の人に対する偏見や差別、いわゆる「オベシティ・スティグマ」も大きな課題だと指摘する。

「肥満は自己責任だという社会の認識が、治療を受ける機会を奪っている可能性があります。肥満症は治療が必要な疾患であるという理解を広げていくことが大切です」と警鐘を鳴らした。

見取り図・盛山が語る減量経験 体重管理の難しさとは

  •  お笑いコンビ・見取り図の2人

    お笑いコンビ・見取り図の2人

続いて登場したのは、お笑いコンビ・見取り図の盛山晋太郎とリリー。盛山はこれまでの体重の変化をグラフで振り返りながら、肥満と向き合ってきた経験を語った。盛山は過去に体重が125kgまで増えたことがあり、昨年は仕事の企画で「3カ月間で約20kgの減量」に挑戦したという。

「肥満とは長い付き合いですね。125kgのときは、立ったまま靴下はもちろんズボンも履けませんでした。電車や飛行機など、移動中も周りに迷惑をかけているんじゃないかと気になってしまい、外に出るのも億劫になることがありました」

体重が増えることで精神面にも影響が出ると感じていたといい、「自分に自信が持てなくなる」と振り返る。これに対し宮崎氏は、「肥満の方は自己肯定感が低くなりがちです。疲れやすくて外に出たくなくなるなど、生活の質にも影響が出ることがあります」と指摘。 また、急激な減量はリバウンドのリスクが高いことにも言及し、一般的には、半年で2kg程度の減量が推奨されていると説明した。

盛山は、「今、若干リバウンドしています」と苦笑い。「太った? と言われるとやっぱり傷つきます。だから自分は他人に対して“少しふくよかになったな”と思っても、言わないようにしています」と続ける盛山に対して、リリーが「少し太ったな」と言い放つ。盛山は驚きを隠せず、「最悪や! 話、聞いてた? こんな邪悪な奴がいるんですよ」と叫び、会場を笑いで盛り上げた。

〇×クイズや川柳企画で「肥満症」への理解を深める

トークセッションのあとは、肥満症に関する知識を楽しく学ぶ○×クイズも実施された。

  • 答えは……×!

    答えは……×!

また、肥満症をテーマに募集した川柳の受賞作品も発表され、最優秀作品は、「肥満症 ミカタ次第で 光差す」に決定。「見方」を変え、専門家を「味方」につけることで改善への光が差すことを表現した内容がわかりやすいと、審査を務めた宮崎氏に評価された。

最後に宮崎氏は、「肥満症は自己管理だけで対応できる問題ではなく、複合的な要因が関わっています。1人で悩まず、医療機関に相談してほしい」と呼びかけた。 盛山も、「肥満と肥満症の違いがもっと知られるようになってほしい。熱が出たら病院に行くのと同じように、肥満症でも病院に相談するという考え方が広がれば」とコメント。リリーは、「身近な人だけでなく国民みんなの味方でいられるように、今日学んだことを広めていきたい」と語り、イベントを締めくくった。

肥満症への誤解をなくしたい――日本イーライリリー・野村氏に聞く

イベント終了後、日本イーライリリー 執行役員 コーポレート・アフェアーズ本部長の野村律心氏に、本プロジェクトに込めた思いや狙いについて話を伺った。

――なぜ今、肥満症の啓発が必要だと考えたのでしょうか?

野村:肥満症は2000年に病気として定義されましたが、25年たった今でも、なかなか浸透していません。その背景には、肥満は自己責任、あるいは努力不足だとする偏見、いわゆるスティグマが根強くあると感じています。治療の選択肢があるにもかかわらず、そうした認識があることで治療にたどり着けない方も少なくありません。肥満症を正しく理解していただき、治療すべき病気だと知ってもらうことが製薬企業としての使命だと考え、本プロジェクトの立ち上げに至りました。

――肥満症を取り巻く現状を、企業としてどう変えていきたいですか?

野村:私たちは製薬企業として、病気の方を支えることを使命としています。肥満症は、糖尿病・高血圧・心疾患など、さまざまな病気の入口として捉えられているため、できる限り早い段階で適切な治療にアクセスしていただくことが大切です。本プロジェクトを通じて、肥満症に対する正しい知識を届け、必要な方が適切な治療法を選べるような環境づくりにつなげたいと考えています。

――このプロジェクトによって、社会全体がどう変わっていくことを期待していますか?

野村:まずは認知を広げること、そして肥満や肥満症に対するスティグマを解消することが大きな目標です。肥満の方の中には、何度ダイエットに挑戦しても体重を維持できず、自己肯定感が低くなってしまう方も少なくないでしょう。しかし、それは本人の努力不足ではなく、遺伝的な要因なども含めた病気としての側面があるからです。そうしたことを社会全体に知っていただくことで、当事者の方も周囲の方も、もっと前向きに肥満症と向き合えるようになると思います。その結果、誰もが生き生きと活動できる社会になってほしいですね。

――最後に、「肥満」や「肥満症かも?」と悩んでいる方へメッセージをお願いします。

野村:「人生100年時代」といわれている今、健康寿命を延ばすためには、さまざまな慢性疾患を防いだり適切に治療したりすることが大切です。肥満症と向き合うことで、他の疾患の重症化を防げる可能性があることも、ぜひ知っておいてもらいたいですね。また、治療の選択肢が限られていた時代と違い、現在は新しい治療法も出てきました。もし「肥満症かもしれない」と感じている方がいたら、ぜひ一度、医療機関に相談していただきたいです。医師のサポートを得ながら向き合うことで、これまでとは違う、新しい人生につながるかもしれません。