今、大ブームの「リカバリーウェア」。着るだけで血行を促進し、疲労回復を目的にしたウェアで、2026年はさらにさまざまなブランドやアイテムが新しく登場する予感だ。
2025年にリカバリーウェアのトレンドを牽引したブランドの一つが、MTGの新ブランド「ReD(レッド)」。2025年7月にローンチし、わずか5カ月でシリーズ累計出荷数100万枚を達成するほど人気を博した。なぜReDはこんなにも短期間で大ヒットしたのか、その理由をReD VITALWEARブランド本部 本部長の竹中淳也さんに伺った。
欠品が続くほど大人気に - 手に取りやすい「価格」と「信頼」を勝ち取る戦略
ReDは8種の天然鉱石を配合しMTGが独自に開発した特殊繊維「VITALTECH」をコアテクノロジーとしたリカバリーウェアブランド。「血行促進」をテーマに掲げ、血流の"赤"を連想させるブランド名にもその想いが込められている。
1年前を思い返すと、リカバリーウェアブランドはほかにも存在した。しかし、ReDが他社と大きく違う点は「価格」と、特殊繊維「VITALTECH」だ。それまでリカバリーウェアといえば睡眠用のパジャマがメジャーで、価格は2万5,000円前後。しかし、ReDは3,960円のインナーウェアを発売、リカバリーウェアの概念が変わった瞬間だった。
「当時、リカバリーウェアはバイタルテックという新しい技術で、手に取りやすい価格で勝負しよう、と決めました。大泉洋さんを起用したCMでも、MTGとしては珍しく価格をあえて強調しました。リカバリーウェアが3,960円でも買えることを伝え、その上で商品の良さを知ってもらえたら、と考えました」(竹中さん)。
今までの主流はスリープウェアが中心。薄手のインナータイプのリカバリーウェアは市場ではほぼ出回っておらず価値があった。しかし、問題は1mm以下の厚さのインナーウェアの繊維に、血行促進の効果をもたらす天然鉱石を配合しなくてはいけない、という点だ。厚さのある布には十分な量の天然鉱石が配合でき、遠赤外線を多く放出できるが、薄い布でそれを実現するには、高度な技術が必要だという。
「⼀般医療機器として認められるためには、インナーウェアの半袖とパンツを着⽤し、⾎流量を5%以上上げるという臨床試験をクリアする必要がありました。条件は、安静状態で約1時間、23度の環境下。インナーウェアの生地は薄く、ほとんど裸に等しいような状態です。その臨床試験をクリアするためには、ただ8種の天然鉱石を配合すれば良い、というものではなく、それぞれどれだけ入れることがベストなのかの配合率を見つける作業が必要で、その作業が本当に大変でした。VITALTECHの完成までにかかった年数は、延べ8年。日本発の企業として、世界で戦える技術だと思っています」(竹中さん)。
夜間だけでなく日中も含めて、一日中着用できるリカバリーウェアというのも、ReDならではのコンセプト。日中はインナーウェア、夜はスリープウェアで、常に疲労回復を目指せるイメージだ。一般的にスリープウェアの所有枚数は2着程度が平均的だが、インナーウェアは7着程度で、買い替え需要も高く、複数枚購入につながりやすい。結果として、ReDで最も多い販売枚数となったのは男性用の「ReD バイタルテック Vネックインナー半袖」だ。
「寝る時だけではなく、日中もインナーウェアを着用いただくことで、みなさまの健康に寄与できるのではないかと考えました。インナーは3枚セットで16%オフの9,990円でも販売していて、これも販売枚数を伸ばせた大成功の施策でした」(竹中さん)。
ブランドアンバサダーの大泉洋さんのCMの効果もあり、2025年7月のローンチ後の結果は"大成功"。チャレンジングな生産量にしたものの、ブランド初の店舗であるReD 渋⾕ヒカリエ ShinQs店の棚からは商品が消え、欠品が続くほど人気を博した。
手に取りやすい価格で、華やかなプロモーションに力を入れるーーこれだけでは、もしかしたらReDの成功は1〜2カ月で終わっていたかもしれない。しかし、"確かな品質"が成功を加速させた。その裏付けとして立てた戦略が「病院」や「調剤薬局」での取り扱い。ブランドが今のように認知される発売前から品質のみで勝負し、全国47都道府県942の病院内ショップと全国1,007 の調剤薬局(発売当初の7月時点)での取り扱いを実現させた。
「キャスティングやマーケティングなどのプロモーション以上に、私たちが最も重視しているのは『本物であること』です。本物とは、確かなエビデンスに基づいた商品であること。その確かな品質こそが、販路開拓における最も強力な武器になっています。
病院への営業で最も質問されたのは、"安全なのかどうか"。エビデンスの提出や法律上の基準を満たした書類などの提出を繰り返し、ようやく病院や調剤薬局で取り扱っていただきました。現在では患者さんはもちろんのこと、自分のことは後回しになりがちな医師のみなさまにも愛用いただいています」(竹中さん)。
秋冬はスリープウェアやソックスを強化 - 2025年12月に100万枚突破
インナーウェアで大成功を収めたあと、2025年秋冬は「スリープウェア」に注力。リカバリーウェアはクリスマスシーズンのギフト需要とも相性がよく、結果としてインナーウェアに次いで「ReD バイタルテック スリープ プルオーバー長袖」が販売枚数2位となった。価格は7,700円。上下セットで購入しても1万5,400円で、一般医療機器のスリープウェアとしては破格の値段だった。
「インナーウェアのCMを3本リリース後、スリープウェアの認知向上が急務と感じ、11月にCM『スリープウェア愛用 篇』をリリースしました。その後、著名人にも実際にご購入いただきSNSで発信いただいたことで認知が広がり、今でも特定のスリープウェアのサイズ・色が欠品となるほど好評を得ています。スリープウェアをはじめ、弊社製品は誕生日などギフトにぴったりと思っていただけるようで、今後も母の日、父の日に向けて強化していきたいです」(竹中さん)。
インナーウェア、スリープウェアに続き、ReDが仕掛けたのは「ソックス」。それまでリカバリーウェアのソックスといえば自宅で履くルームソックスのイメージが強かったが、ReDはファッションに合わせて着⽤しやすいシンプルな「ReD バイタルテック ソックス[クルー丈](非一般医療機器)」を2025年11⽉に発売した。
ソックスはVITALTECHを使用しているものの、リカバリーウェアが一般医療機器として認められるためには上半身用もしくは、下半身用のアイテムである必要があり、ソックスはそれに該当しない。しかし、ソックスは⼀般社団法⼈⽇本ホームヘルス機器協会の「健康増進機器」の認定製品であることが大きなポイントだ。「⾎⾏促進による保温効果」および「リラックス効果」があることが明確に認定されている。リカバリーウェアは効果を示せるかどうかが売上を左右するため、これも重要な戦略の一つだろう。
目指すは業界ナンバーワン - さらなる認知度向上を図る
リカバリーウェアの風雲児として、目まぐるしいスピードで成長を遂げているMTGの「ReD」。しかし、今はまだリカバリーウェア市場の土俵に上がった段階。さらなる成長を目指し、2026年もさまざまな仕掛けを展開する予定だ。2026年春夏の新商品として登場したのは「ReD バイタルテック HARAMAKI(非一般医療機器)」。洋服の邪魔をしない薄手の生地で、朝晩が冷え込む春に活躍するアイテムとなっている。
「目指すところは、業界ナンバーワン。ただ、まだ全国的なReDの認知が不足していると感じています。エリア調査をした結果、東京・大阪・名古屋・北海道以外ではReDを知らないという人がまだまだ多いです。地方の中で、別格に北海道だけは、大泉洋さんの効果で認知されています。そのほかの地方での認知向上、そして大都市へ向けたさらなる成長を見込み、新しい商品を展開していきます」(竹中さん)。
ローンチ前からの入念な仕掛け、価格設定、クオリティーーあらゆるパズルが組み合わさり、成功を収めているMTGの「ReD」。特に「ReD バイタルテック Vネックインナー半袖」はReDの中で最も手に届きやすい一般医療機器であり、日本人のタンスにしまわれているインナーウェアのブランドがガラリと変わる可能性すら感じる。競合を抑え、業界の頂点に立てるのか、期待とともに今後も注目したい。




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