NTT東日本は2月27日、横浜市役所アトリウムで開催された「資源循環ビジネスネットワーキング2026」に登壇し、食品残渣の資源循環に向けたソリューションを紹介した。同社は、通信事業で培ってきたデジタル技術を活用することで、地域課題の解決と持続可能な社会の実現を目指す。

  • 横浜市役所アトリウムで開催された「資源循環ビジネスネットワーキング2026」の会場の様子。多くの関係者が参加した。

    横浜市役所アトリウムで開催された「資源循環ビジネスネットワーキング2026」の会場の様子。多くの関係者が参加した。

横浜市「資源循環ビジネスネットワーキング2026」とは

同イベントは、横浜市内の廃棄物処理業者7社と発足した「横浜市資源循環推進プラットフォーム(YRCプラットフォーム)」の取り組みの一環として開催。市内の資源循環産業の活性化と資源循環施策の推進を目的に、行政・企業・関係団体が集まり、事例紹介や事業者間の交流が行われた。

食品リサイクル法では、食品製造、卸売、小売、外食といった業種に対して再生利用の努力義務が課されており、リサイクル率の目標が設定されている。食品製造業では高いリサイクル率を達成している一方、小売や外食分野では約6割にとどまり、焼却処理の方がコスト面で有利という構造的な課題があるという。

こうした背景から横浜市は循環型社会の実現に向け、製造・販売を担う「動脈産業」と、廃棄物回収やリサイクルを担う「静脈産業」をつなぐ場として同プラットフォームを位置づけ、企業間の協業を通じて持続可能な循環型社会の実現を目指している。

  • イベントでは資源循環をテーマにしたパネルディスカッションが行われた

    イベントでは資源循環をテーマにしたパネルディスカッションが行われた

NTT東日本のパーパス「地域循環型社会の共創」

NTT東日本は、これまでの情報通信事業者としての枠を超え、地域の価値創造事業者(ソーシャルイノベーション事業者)を目指した取り組みを進めており、その考え方を示すパーパスとして「地域循環型社会の共創」を掲げている。

同イベントに登壇したNTT東日本 ビジネスイノベーション部 まちづくり推進グループ シニアコンサルタントの米木津孝輝氏は、同社が掲げるパーパスの背景について次のように説明した。

「通信インフラの提供にとどまらず、地域の皆様の課題を一つずつ解決しながら、選ばれ続ける事業者を目指しています。地域の過疎化や人口減少が進む中、それぞれの分野で地域の資源を循環させる仕組みづくりによって、地域存続に貢献したいと考えています」

  • NTT東日本 ビジネスイノベーション部 まちづくり推進グループ シニアコンサルタントの米木津孝輝氏

    NTT東日本 ビジネスイノベーション部 まちづくり推進グループ シニアコンサルタントの米木津孝輝氏

NTT東日本はこれまで、通信ネットワークを通じて長年にわたり地域と関わりを築いてきた。全国各地に拠点を持つ同社にとって、こうした関係性が現在の資源循環分野への取り組みの基盤となっている。

NTTグループによる食品残渣の資源循環ソリューション

イベント内のパネルディスカッションでは、NTT東日本が取り組む2つの食品残渣の資源循環ソリューションが紹介された。

1.堆肥型生ごみ処理機(コンポスト) - 循環の仕組みまで提供

1つ目のソリューションは堆肥型生ごみ処理機(コンポスト)だ。微生物の働きにより、業務用食品の残渣を発酵分解し、堆肥へと再資源化する。食品残渣は24時間で体積が約10分の1、数日から1週間で約20分の1まで減少するという。

  • 堆肥型生ごみ処理機(コンポスト)

    堆肥型生ごみ処理機(コンポスト)

さらに、NTTグループが提供する同商材は生成された堆肥を回収し契約農家に提供する流れを構築している。米木津氏は、「一般的なコンポストでは、生成後の堆肥の扱いが課題になることが多い」と述べ、こうした仕組みによって処理後の行き先に悩む事業者の負荷軽減にもつながっていると説明した。

  • NTT東日本が示した食品残渣の資源循環モデルのイメージ(登壇資料より)

    NTT東日本が示した食品残渣の資源循環モデルのイメージ(登壇資料より)

このコンポストの活用事例として、給食センターでの導入も紹介された。自治体のSDGs推進に寄与する取り組みとして位置づけられており、シルバー人材センターとの協業によって、地域における雇用創出にもつながっているという。

2.超小型バイオガスプラント - 都市部の課題に対応

2つ目に紹介されたのは、超小型バイオガスプラントだ。食品残渣を発酵させてバイオガスを生成し、再生可能エネルギーとして活用する仕組みで、発酵後に残る残渣は液体肥料として利用できる。

従来のバイオガスプラントは大規模な設備や広い設置スペースが必要であったが、NTT東日本グループではコンテナサイズまで小型化を実現した。あらかじめ製作したコンテナプラントを現地に搬入する可搬型のため、短期間での設置・稼働が可能だ。

また、日量1トン程度の食品残渣でも運用できる設計となっており、大量処理を前提としない点も特徴の一つだ。こうした小型化と可搬性によって、都市部においても導入しやすい仕組みとなっている。

  • 超小型バイオガスプラント

    超小型バイオガスプラント

さらに、NTT東日本がこれまで培ってきた通信技術やIoTを活用した自動制御・遠隔監視システムを導入することで、各種センサーによって稼働状況を遠隔から把握できるほか、運転管理の自動化により無人運転も可能としている。

この超小型バイオガスプラントの取り組みは、2025年大阪・関西万博のNTTパビリオンでも出展された。会場では同プラントを設置し、生ごみをオンサイトで処理。再生可能エネルギーと液体肥料を創出し、パビリオン内の一部電力として活用するなど、資源循環の仕組みが紹介された。

今後の展望

NTT東日本は、今後も横浜市との連携をより深めながら、食品残渣の資源循環の取り組みを広げていく考えだ。米木津氏は、「横浜市の小中学校などで出る食品の食べ残しや調理くずを堆肥化し、それを市内の農家へ循環させるなど、さらなる地域の食品循環モデルを築いていきたい」と説明。

さらに「そうした循環の輪が広がることで、いわゆる思いのつながりのようなものも実現できるのではないか」と展望を語った。

ネットワーク・デジタル技術を基盤とし、人と地域を結びつける資源循環の仕組みづくり。NTT東日本は、ソフトとハードの両面から、地域循環型社会の実現を目指している。