第45回JAIA輸入車試乗会|オクタン日本版編集部が乗った9台の「ここが良かった!」

2月3日~5日の3日間にわたって、神奈川県の大磯プリンスホテルロングビーチ第1駐車場にて、第45回JAIA輸入車試乗会が開催された。日本自動車輸入組合(JAIA)は海外の自動車メーカーと直接輸入契約を結ぶインポーター(輸入業者)によって構成される非営利法人。毎年2月上旬に開催される試乗会では、JAIA加盟各社の最新モデルが一堂に集まる。メディアの関係者や自動車ジャーナリストにとって、さまざまな輸入車の魅力を体験するとても貴重な機会だ。

【画像】ポルシェ911カレラT、キャデラック リリック スポーツほか、JAIA輸入車試乗会で編集部がテストドライブした9台(写真18点)

今回、オクタン日本版編集部からは3名が参加。テストドライブした9台の車両についてレポートする。

ポルシェ 911カレラ T

現行911のなかでも軽快さとドライバー中心の思想を際立たせたモデルだ。遮音材の簡素化や装備の見直しで軽量化を図り、より純粋なスポーツドライビングを志向。水平対向6気筒ターボの鋭いレスポンスと、路面と対話するようなハンドリングが魅力で、現代における”素”の911像を体現する1台である。過剰な演出を排し、操る歓びそのものを磨き上げた硬派な仕立てが印象的だ。【堀江】

●ここが良かった!

希少になりつつある6段MTを設定している。節度あるストロークと滑らかな操作感で、エンジンとの一体感を存分に味わえる。回転上昇に合わせて正確に決まるシフトは、ドライバーの意思をそのまま駆動力へと変換する感覚が濃く、スポーツカー本来の醍醐味を堪能できた。

シートはリアシートを省いた2シーター仕様。軽量化とともにスポーティな世界観を強調し、走りに集中できる潔さが際立つ。後方スペースを割り切ることでキャビン全体の一体感が高まり、エンジンサウンドや挙動の変化がよりダイレクトに伝わってきた。

チェック柄ファブリックのバケットシートはレトロな趣と高いホールド性を両立。視覚的にも走りの高揚感を高めてくれる。コーナリング時の身体のブレを抑えつつ長距離でも疲れにくく、クラシックな意匠が911の伝統を静かに物語っていた。

ヒョンデ インスター クロス

「オールマイティ・スモールEV」がキャッチフレーズのスモールEV。カジュアル、ボヤージュ、ラウンジ、クロスの4グレードがあり、インスター クロスは2025年9月に発売されたアウトドアテイストのアクティブグレード。前後のバンパーやサイドシルプロテクターが専用デザインになっているほか、大型ルーフバスケットを装備。外装色は専用色の「アマゾナスグリーンマット」「ダスクブルーマット」「アンブリーチドアイボリー」など5色が用意されている。【渡瀬】

●ここが良かった!

個人的にEVは近距離の普段使いにこそ向いている乗りものだと考えているが、インスターはまさに日本でそういった使い方をするための1台という印象。全幅1610mmと軽自動車より大きいけれど、狭い路地を苦にしないボディサイズは運転がラク。輸入車としては珍しくヒョンデはウィンカーレバーが右側なのも、国産車からシフトする人には好都合だ。

インスター クロスの外観上における最大のインパクトは、やはりルーフバスケット。これが標準装備というのが強烈で、アウトドア派の人には想像力が大きく膨らむポイントだろう。前後バンパーや17インチホイールもアウトドアを強く意識したデザイン。愛犬家のユーザーには、犬の足跡をモチーフとしたデカールやラゲージマットなどの純正オプションが用意されている。

デザインや装備に目が向きがちだが、走行性能も上々。他グレードよりインチアップしているにも関わらず、乗り心地は快適で、段差や高速道路の継ぎ目もしなかやにいなす。BEVならではの静粛性も高く、一充電走行距離(WLTCモード)も396kmと普段使いには十分な距離だ。日本の軽自動車やコンパクトカーを十分に研究して投入されたモデルだと実感した1台だ。

アルファロメオ ジュニア イブリダ プレミアム

アルファロメオのBセグメントSUV。日本に導入されたラインアップは「エレットリカ」と「イブリダ」で、前者は電気、後者はハイブリッドという意味。パワートレインは1.2Lの3気筒ターボと48Vのモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドで、最高出力は145ps。上級グレードの「プレミアム」はブラックルーフの2トーンカラーを選択可能で、ファブリック/テクノレザーシートなどが標準装備となっている。【渡瀬】

●ここが良かった!

外見的には「ジュニア」という車名とは相反して、迫力満点の雰囲気。特徴的なフロントマスクに戦前の6C 1750あたりを想起させるグリルの筆記体ロゴなど、初対面ではなかったら仰天していただろう、強烈なインパクトだ。見た目で買う!と決断する人が続出しても、何の疑問も持たない。

もっともカテゴリとしてはBセグメントのSUVで、全長も4195mmとコンパクト。エンジンにいたってはわずか1.2Lの3気筒ターボだが、これに48Vのモーターと6速のeDCTが組み合わさったステランティスお得意のマイルドハイブリッドになるため、乗り味はかなり軽快。エントリークラス故に抜群の加速性とはいかないが、高速道路を安定して走るに十分すぎる運動性能だ。

特にハンドリングは実にアルファロメオらしい。古きイタリア車の「ユルさ」は感じられず、最新のスポーツSUVらしいシャープな応答性で、スムーズにコーナーへ入っていく。1990~2000年代のモデルのシートは、高級感こそあれど率直なところ「合わない」と感じることが多かったが、ジュニアはザ・日本人体形の自分にもマッチ。遠くへ出かけたくなる1台だ。

メルセデス・ベンツ CLE 53 4MATIC+ Cabriolet

AMGが手掛ける4座オープンのハイパフォーマンスモデル。直列6気筒ターボに電動アシストを組み合わせ、余裕あるトルクと伸びやかな加速を実現する。電動ソフトトップを開けば、上質なクルージングと刺激的な走りを同時に味わえる贅沢な1台だ。快適装備も充実し、日常からリゾートまで幅広いシーンに応える完成度を備えている。【堀江】

●ここが良かった!

AMG製エンジンがもたらす力強い加速は爽快だ。胸をすくような伸びとサウンドが、オープンドライブの高揚感を一層引き立ててくれる。中速域からの分厚いトルクにより追い越し加速も余裕があり、高速巡航時でも常にパワーを秘めた安心感がある。

295/30R20タイヤを履きながら乗り心地は良好で、しなやかな足まわりで街乗りから高速まで快適性を保つ。路面の凹凸を巧みにいなし、ボディ剛性の高さと相まってオープンモデルとは思えない安定感を実現している。

室内は大人4人がしっかり座れるパッケージ。後席の実用性も確保しており、スポーツとラグジュアリーを両立している。長距離移動でも窮屈さを感じにくく、風の巻き込みを抑える装備により快適な会話空間が保たれている。

ランドローバー ディフェンダー トロフィーエディション キュレイテッド フォー ジャパン

日本市場のために特別に仕立てられたディフェンダーの限定仕様。往年のトロフィーラリーを想起させる専用カラーと装備をまとい、伝統的なタフネスと現代的な快適性を融合させる。悪路走破性はそのままに、日常での扱いやすさも磨き込まれ、唯一無二の存在感を放つモデルに仕上げられている。【堀江】

●ここが良かった!

限定カラーと専用ディテールが生む特別感、所有する喜びを強く意識させる仕立てが魅力だ。細部に至るまで世界観が統一されているため、通常モデルとは明確に異なる個性を感じ取ることができる。

広大なカーゴスペースと堅牢なルーフキャリアは、アウトドアギアを余裕で積み込める実用的な仕様だ。長尺物や大型荷物にも対応し、キャンプや遠征など多彩なアクティビティに柔軟に応える。

横方向に広がるインパネデザインと高い機能性で、先進装備が整理され、視認性と操作性に優れている。タッチスクリーンや各種スイッチの配置も合理的で、オフロード走行時でも直感的に扱えるのがうれしい。

マセラティ グレカーレ エッセンツァ

先日の記事でも紹介した、マセラティのミッドサイズSUV「グレカーレ」の戦略的エントリーモデル。基本性能はそのままに、なおかつプレミアムレザー、シートヒーター、アンビエントライトなどの高品質な装備は残しながらも、外装色は4色のみ、サンルーフの設定を省くなど、オプション選択数を限定することで1000万円を切る価格帯を実現した。グレード名の「エッセンツァ」は、イタリア語で「本質」を意味する。【湯淺】

●ここが良かった!

結論から言うと、あらゆる意味で「ちょうどいい」。全長4845mm、全幅1950mmというサイズ感はミッドサイズ輸入車SUVの中ではやや大きめにも思えたが、実際に乗車すると数値よりも体感値は小さめで、取り回しに苦労することはない。パワートレインは直列4気筒2.0リッターターボエンジンに8段ATの組み合わせで、最高出力は300馬力。必要に応じて力強く、軽やか、そして滑らかな安心感を与えてくれる。

エントリーモデルといえども、マセラティらしさを表すディテールへの妥協はなし。フルプレミアムレザーのシート、センターコンソールのウッドトリムなど、視覚や触感に訴えるマセラティのエレガントで上質な世界観は健在だ。

ボディカラーは標準カラーのソリッドペイント「ビアンコ」に加え、メタリックペイントの「グリージョ ラバ」「ビアンコ アストロ」「ネロ テンペスタ」の3色(各カラーともオプション価格21万円・税込)が選択可能。左ハンドル(受注生産)が選べるのも魅力。

大き過ぎず、小さ過ぎず。猛々しさはないが、操る悦びはある。豪奢ではないが、簡素ではない。自己主張し過ぎないのに、たしかな存在感がある。そして990万円という価格。すべてにおいて「ちょうどいい」、そんな1台だ。

ルノー ルーテシア エスプリ アルピーヌフルハイブリッド E-TECH

5代目となるルノー伝統のコンパクトカー。2025年10月にマイナーチェンジされ、フロントマスクなど内外装が変更されたほか、スポーティグレードのみのモノグレードとなった。パワートレインはF1技術を反映させたE-TECHフルハイブリッドシステムで、1.6Lの直4エンジンにメインとサブのモーターを組み合わせ、最高出力は143ps。25.4km/l(WLTCモード)の燃費は輸入車ではトップだ。【渡瀬】

●ここが良かった!

以前のレポートでも紹介したが、ルノーのフルハイブリッドは、いま個人的にもっとも好ましく思っているハイブリッドだ。F1の技術を転用したドッグクラッチは実にスムーズで、シフトチェンジのもたつきや違和感は一切ない。むしろ注意深く探っても、変速タイミングを察知できないほどなめらか。しかも高燃費。

構造的にはシンプルなギアなので、ルーテシアのようなコンパクトで軽量なモデルには実にフィットする。マイナーチェンジでフロントマスクが大きく変わり、グレードはアルピーヌの名前が入ったスポーティグレードに1本化されたが、乗ってみるとまあ相変わらず軽快で楽しい。コーナリングは笑っちゃうほどシャープだ、というか笑った。

インテリアでは、センターコンソールにスマートフォンのミラーリング機能がついたタッチスクリーンが目立つ。ナビレスだが、Apple CarPlayとAndroid Autoに対応する割り切り方も、自分としては好ましい。装備面ではBoseのサウンドシステム、360度カメラなど要所をきちんと押さえているのも嬉しいところだ。

キャデラック リリック スポーツ

キャデラックブランドの電動化戦略を象徴するラグジュアリーEV。全長約5mの堂々たるボディに、滑らかなラインを描く未来的デザインを融合する。静粛性と力強さを兼ね備え、アメリカンラグジュアリーの新章を告げる存在だ。上質な乗り味と先進技術を高次元でまとめあげ、日常を静かに格上げする。【堀江】

●ここが良かった!

伸びやかなプロポーションが最大の魅力だ。大径ホイールと相まって堂々たる存在感を放つ。ワイドなスタンスと流麗なルーフラインが調和していて、街中でもひと目でEV時代のフラッグシップと分かる佇まいを形成している。

加速性能はEVならではで、力強く滑らか。航続距離は約510km前後と実用域も広く、ロングドライブにも安心感がある。アクセル操作に対する反応が俊敏なため、静かさのなかに確かなパフォーマンスを感じられる。

モダンな室内の核は33インチの湾曲ディスプレイ。先進性と温かみを併せ持つ最新アメリカンテイストで、上質な素材使いとアンビエントライトが調和し、夜間にはラウンジのような雰囲気を演出する。

ヒョンデ アイオニック 5 N

ヒョンデ初の電気自動車専用車種・アイオニックのスポーツバージョン。前後にモーターを搭載する4WDモデルで、合計すると最高出力は650ps、トルクは770Nmに達するハイパワーモデルだ。ボディサイズは車高が下がり、一回り大きくなっており、全長4715×全幅1940×全高1625mmとワイド&ローで、車両重量は2210kgに達する。【渡瀬】

●ここが良かった!

2022年に日本へ再上陸したヒョンデのファーストモデルであるアイオニック5だが、実はタクシーの後部座席以外で触れたことはなかった。今回はメルセデスなら「AMG」、BMWなら「M」に相当するだろう「N」にいきなり遭遇するわけで、なにもかもが新鮮。存在感のある外観とボディカラー、メカニカルなコクピットと、実に個性的だ。

EVらしい、を通り越した爆発的な出足を警戒してペダルをそろりと踏み込んでみたが、思いのほかナーバスなタッチではない。もちろん踏み込めば想像通りのドカン!というインパクトが得られるものの、ハンドリングもピーキーとはいえず、扱いやすい印象だ。

驚いたのがコーナリングで、ロールしている感覚がほとんどない。カーブなのに水平に移動しているような、未知の体験だった。乗り心地も決して悪くなく、重心が低く感じられて走行安定性も高い。コクピットで操作可能な多彩な機能はあまりにも多岐に渡るため、試乗時間では十分に試すことはできなかったのだが、完全に従来とは違った新しいテイストのスポーツカーだと感じた。

文・写真:オクタン日本版編集部 Words and Photography: Octane Japan