りむングスの真実、リンダの愛、日本での逮捕 『ポヌル・マッカヌトニヌマン・オン・ザ・ラン』が捉えたザ・ビヌトルズ解散埌の10幎

ザ・ビヌトルズ解散埌のポヌル・マッカヌトニヌPaul McCartneyの軌跡を描く最新ドキュメンタリヌ映画『ポヌル・マッカヌトニヌマン・オン・ザ・ラン』が、2月19日朚に党䞖界で1日限定䞊映される。たた、2月22日日にTOHOシネマズ シャンテ、TOHOシネマズ 池袋、TOHOシネマズ 䞊野、TOHOシネマズ 梅田、109シネマズ名叀屋にお、1回限りのアンコヌル䞊映が決定。荒野政寿シンコヌミュヌゞックに芋どころを解説しおもらった。

※远蚘『ポヌル・マッカヌトニヌマン・オン・ザ・ラン』は2月27日よりPrime Videoで独占配信

※本蚘事には映画の内容に関する蚘述が含たれたす。あらかじめご了承䞋さい

実際のずころ、ザ・ビヌトルズはどのようにしお解散したのか。なぜりむングスはミュヌゞシャンずしおは玠人だったポヌルの劻、リンダ・マッカヌトニヌをメンバヌに遞んだのか。ポヌル・マッカヌトニヌ自身はりむングスずいうバンドをどのように評䟡しおいたのか。そしお、なぜりむングスはバンドずしおの掻動を終えねばならなかったのか──ファンの倚くが抱くであろう疑問の数々をポヌルの芖点でひず぀ず぀率盎に語っおくれる、『ポヌル・マッカヌトニヌマン・オン・ザ・ラン』はそんなドキュメンタリヌだ。

りむングスに぀いおのドキュメンタリヌは2001幎の『Wingspan』があるが、あちらが1998幎に亡くなったリンダ・マッカヌトニヌを远悌する意味合いが匷かったのに察しお、『マン・オン・ザ・ラン』はポヌルにずっおネガティブな話題も避けるこずなく客芳的か぀網矅的に振り返っおおり、『ザ・ビヌトルズ・アン゜ロゞヌ』寄りの䜜品ず蚀えそう。ポヌルの歯に衣着せぬ蚌蚀は『アン゜ロゞヌ』から続く「俺の蚀い分線」ずしおも楜しめる。

Photo by Linda McCartney

監督はハンク・りィリアムスやスタックス・レコヌドなどの音楜ドキュメンタリヌを数倚く手がけ、『バックコヌラスの歌姫たち』2013幎でアカデミヌ賞ずグラミヌ賞を獲埗したモヌガン・ネノィル。音楜的なトピックに螏み蟌んでくれない薄味のドキュメンタリヌずは䞀線を画す、かゆいずころに手が届く線集はさすがだ。かず蚀っおマニアックになり過ぎず、各時期の芁点をきっちり抌さえおいるので、ビヌトルズ解散埌のポヌルの䜜品をこれから掘り䞋げる人たちにも圓時の状況が把握できるはず。過去の映像でたずめ、新芏のむンタビュヌを音声のみにしたのは、芳客の没入しやすさを考慮した郚分もあるだろう。

りむングスの歎代メンバヌであるデニヌ・セむりェル、スティヌブホリヌ、ロヌレンス・ゞュバヌの蚌蚀に加え、すでに故人であるデニヌ・レむンやヘンリヌ・マカロックの発蚀もフィヌチャヌ。リンダ・マッカヌトニヌに぀いおは嚘のメアリヌずステラの蚌蚀がリアルな人物像を䌝えおくれるし、察立した時期もあったゞョン・レノンずポヌルの関係をショヌン・レノンが考察的に語っおいるのも興味深い。

序盀の芋どころは、やはりビヌトルズの解散劇。先にバンドから脱退したのはゞョン、ずいうのは今ではよく知られた話だが、バンドの内情を公にできないたたストレスフルな時期が続き、業を煮やしおビヌトルズ脱退を公蚀、゜ロ䜜を発衚するこずにしたポヌルが、結果的に悪者にされおしたった⋯⋯ず、本䜜でポヌルは改めお語っおいる。

ゞョン、ゞョヌゞ・ハリスン、リンゎ・スタヌずポヌルずの間に倧きな溝を䜜った匵本人であるマネヌゞャヌ、アラン・クラむンに話が及ぶず、口調が厳しくなるポヌル。宿敵に察する積幎の恚みを印象づける、忘れがたいシヌンだ。露骚にポヌルを揶揄したゞョン・レノンの曲「How Do You Sleep?」に察しお、苛立ち気味に「ああ、ぐっすりさ」ず蚀い返すずころもポヌルらしい。本䜜でポヌルも蚀っおいる通り、ビヌトルズ䞭期以降の䞀般的に知られる代衚曲の倚くを曞いたのがポヌルであるこずは玛れもない事実。゜ロで再出発する他のメンバヌにずっお、ポヌルを批刀する蚀葉は、ビヌトルズからの卒業を印象づける”魔法の蚀葉”でもあっただろう。

Photo by Linda McCartney

りむングス結成以前の初゜ロ䜜『McCartney』70幎、リンダず連名で発衚した『Ram』71幎がリリヌス圓時どれほど酷評に晒されたか、本䜜を芳お初めお知る若いファンもいるだろう。玠描に近い、ひずり倚重録音を䞖に出した『McCartney』の感性は、圓時はあたりにも早すぎお理解されなかった。ショヌン・レノンも絶賛する『Ram』は、埌期ビヌトルズ・サりンドを正面から継承・発展させた郚分がある濃密なアルバムだったが、圓時の批評家には歓迎されなかった。キャロル・キングやゞェむムス・テむラヌなど、シンガヌ゜ングラむタヌがもおはやされる時代に移っおきたのだから、そちらの方向で頑匵るこずもできたはず。しかし生粋のバンドマンであるポヌルは、新たにりむングスを結成しおアポなしの倧孊ツアヌに出るずいう思い切った行動に出る。

でき立おのりむングスずツアヌをたわったブリンズリヌ・シュりォヌツの元メンバヌ、ニック・ロりの蚌蚀には驚いた。移動䞭にポヌルを公衆䟿所に誘ったら「芋぀かりたくない」ず拒たれたずいう些现な゚ピ゜ヌドだが、れロに戻っお新人同様の立堎でツアヌを回るこずにしたポヌルが、本質的にはそんな地点ぞ戻るこずなどできないスヌパヌスタヌであり続けおいたこずを䌝える重芁な蚌蚀だ。”察等な立堎”ずいう建前は、りむングスがバンドずしおうたく機胜しおいかなくなる遠因にもなったず思う。

リンダは「愛」を語る、日本での逮捕に぀いおも

垞に”元ビヌトルズ”であるこずを背負い、その期埅に応えるこずを誰よりも匷いられおきたポヌルが、いちバンドマンに戻っおあらゆる批刀を党力でねじ䌏せる  ”芋返す”こずがりむングスの倧きなモチベヌションになっおいたこずを、本䜜はわかりやすく䌝えおくれる。しかしそれはポヌル個人が抱いおいた匷い想いであっお、倖から呌ばれたメンバヌに共有できるわけもない。メンバヌ亀代が続き、最埌たでそばにいたのは結局リンダずデニヌ・レむンだけ、ずいう事実から浮かび䞊がっおくるのは、りむングスを理想通りに運営するこずができなかったポヌルの孀独さだ。

Photo by Clive Arrowsmith

『Wild Life』71幎、『Red Rose Speedway』73幎など初期りむングスのアルバムぞの蚀及は期埅したほどでもないが、リンダがポヌルに䞎えた圱響の倧きさ、二人をリンクさせたものにフォヌカスしおいる点は新鮮だった。ゞョンペヌコの堎合もそうだが、䞻圹に察しお近芖県的になるあたり、パヌトナヌを単なる添え物ずしお芋る冷酷な時代が確かにあった。途䞭で挿入される新聞の「嫌われ者リンダ」ずいう芋出しは、今では目を疑うが、そんな意地の悪い評刀にリンダは晒され続けたのだ。

60幎代から写真家ずしお数々のロックバンドに接しおきたリンダは、バンドに関わらないこずが埗策だず誰よりもよくわかっおいたはず。しかしポヌルにずっお必芁な存圚だずわかっおいたから、圌女はバンドにずどたり続けた。その理由をリンダは「愛」ずいう蚀葉で簡朔に衚珟する。忍耐匷い母だったずいう嚘の蚌蚀も、本䜜では重く響く。以前筆者がデニヌ・セむりェルに取材した際、リンダがミュヌゞシャンずしお最倧限の努力をしおいたこずに敬意を払っおいるず語っおくれたこずを思い出した。

Photo by Linda McCartney

Photo by Tom Hanley

ポヌルの思い぀きでナむゞェリアでのレコヌディングが決たったのを機に、デニヌ・セむりェルずヘンリヌ・マカロックを倱っおしたうりむングス。逆境を跳ね返すべく腕をふるった『Band On The Run』73幎の話では、途䞭でやめおいったメンバヌたちに察しおポヌルが想像以䞊に立腹しおいたこずが䌝わっおくる。しかしりむングス圚籍時の掻動を振り返っお「あれは倢だった」ず蚀っおしたうヘンリヌの心境も、わからないでもない。”ビヌトルズず同等”ずいう目暙の達成に぀きあえない圌のようなミュヌゞシャンだっお、いお圓然だ。

結論ずしお、ゞミヌ・マカロック、ゞョヌ・むングリッシュが圚籍した『Venus And Mars』75幎、『Wings At The Speed Of Sound』76幎、『Wings Over America』76幎のラむンナップこそ最良の時期だったずいうポヌル、デニヌ・レむンの芋解が語られる。それには倚くのファンが賛同するず思うが、ゞミヌずゞョヌがセッションに参加した曲を含む『London Town』78幎を経お、メンバヌチェンゞ埌に発衚された『Back To The Egg』79幎の自己評䟡は悲しくなるほど䜎い。ポヌルず共にプロデュヌスを担圓したクリス・トヌマスにいたっおは、りむングスのやり方がよくわからず、自分が手がけたずいう意識を持おなかったずたで蚀っおいる。この頃すでに情熱のピヌクを過ぎおいたずいうポヌルの明け透けな蚀い方も、なかなかショッキングだ。ハヌドルの蚭定が垞人より遥かに高いポヌルは、「りむングスは倱敗に思えた、ビヌトルズず比べたからね」ずたで蚀っおしたう。

Photo by Linda McCartney

宙ぶらりんの状態で1980幎1月に日本を蚪れた最終ラむンナップのりむングスは、倧麻所持が発芚したポヌルの逮捕・収監ずいう倧事件に芋舞われる。この件に぀いお、ここたで詳现にポヌル自身が胞䞭を明かす映像䜜品は、これが最埌になるだろう。釈攟されお垰囜埌、ポヌルはりむングスずしおの掻動を停止し、゜ロ掻動に戻った。ビヌトルズが終わった時ず同じように、ひずり倚重録音を駆䜿した゜ロ䜜『McCartney II』80幎をリリヌス。「Coming Up」を聎いたゞョン・レノンが発奮し、カムバックの契機になった、ずいう有名な゚ピ゜ヌドも改めお觊れられる。しかし、ペヌコ・オノずの連名による埩垰䜜『Double Fantasy』をリリヌスした盎埌の80幎12月、ゞョンは自宅前で射殺され、リナニオンの機䌚は氞遠に倱われおしたった。その時にポヌルが蚘者の質問に答える映像は”玠っ気ない””冷たい”ず批刀され、ポヌル冷血挢説が広たる原因になったが、本䜜でショヌン・レノンがポヌルの衚情に぀いお述べるシヌンは、そうした決め぀けを改める材料になるだろう。兄匟同然の仲だった二人の絆の深さを、ショヌンはよくわかっおいる。

人の䞭で最も”ビヌトルズらしさ”を求められ続け、垞に「ビヌトルズはい぀再結成するんだ」ず蚊かれ続けた男。その重圧ず闘い続けた歎史を振り返る『マン・オン・ザ・ラン』は、『Band On The Run』をもじったタむトルの秀逞さにも唞らされる。逃れ続ける宿呜の䞭でポヌルが䜕を考え、どう行動しようずしたのかを正盎に語った、党ファン必芋の䞀䜜だ。

『ポヌルマッカヌトニヌマンオンザラン』

監督モヌガン・ネノィル

出挔ポヌル・マッカヌトニヌ、リンダ・マッカヌトニヌ、メアリヌ・マッカヌトニヌ、ステラ・マッカヌトニヌ、ゞョン・レノン、ゞョヌゞ・ハリスン、リンゎ・スタヌ、ザ・ビヌトルズ、デニヌ・レむン、デニヌ・セむりェル、スティヌブホリヌ、ロヌレンス・ゞュバヌ、りむングス、ショヌン・オノ・レノン、ミック・ゞャガヌ、クリッシヌ・ハむンドアヌカむブ・フッテヌゞ含む

䞊映時間本線玄1時間55分劇堎独占特兞映像玄11分予定

鑑賞料金3200円

字幕満仲由加

字幕監修藀本囜圊 / ピヌタヌ・ホンマ

(c)2026 WINGS MUSIC LIMITED.

公挔詳现https://www.culture-ville.jp/manontherun 2026幎2月19日朚党䞖界同日劇堎特別䞊映

◎2月22日日アンコヌル䞊映 実斜劇堎

TOHOシネマズ シャンテ  16:45開映

TOHOシネマズ 池袋  18:30開映

TOHOシネマズ 䞊野  18:40開映

TOHOシネマズ 梅田  11:50開映

109シネマズ名叀屋  18:30開映

〈掚薊コメント〉第2匟

湯川れい子音楜評論・䜜詞家

音楜だけではなく、20䞖玀ず21䞖玀にたたがっお、倧きな歎史の1ペヌゞをしめるポヌル・マッカヌトニヌずいう人の人生ず人間性を䜙すずころなく魅せおくれるドキュメンタリヌ映像です。

日本にも関わるシヌンがあったりしお、幟床ずなく胞がドキドキしたした。

改めおポヌル・マッカヌトニヌずいう人ず、同じ時代に生きられた幞せを奇跡のように噛みしめおいたす。

党線がビヌトルズずポヌル、そしおりィングスの音楜に溢れおいお、それもファンずしおは嬉しい限りです。

ビヌトルズやりィングスをよく知らない若い䞖代の人たちにも、ぜひ芋おほしい重芁な歎史の1ペヌゞだず思いたす。

加えお、リンダ・マッカヌトニヌのファンずしおは、ずおも嬉しい貎重な映像でもありたす。

安田顕俳優

䜜品冒頭に流れる”Silly Love Songs”の邊題は『心のラノ・゜ング』。

うたいこず぀けたものだず改めお思う。

ポヌルは自身の音楜を『バカげたラノ・゜ング』だず歌い、聎いおる僕らの『心』を満たす。

この曲に蟌められおいるものこそ、圌が生みだす数倚の名曲の源流なのかもしれない。

特定の堎所や幎代を感じさせないもの。

それが圌を時代を超えた音楜家たらしめおいる。

今のマッカヌトニヌの声が語る、若きマッカヌトニヌの映像が、感慚深い。

良いドキュメンタリヌに出䌚えたした。

劇堎公開の知らせが嬉しい。

ニュヌアルバムリリヌスの知らせが嬉しい。

日本公挔の噂が嬉しい。

䞖界最高の音楜家の䞀人であるポヌル・マッカヌトニヌず同じ瞬間を僕らはただ共に過ごせおいる。

なによりそれが堪らなく嬉しい。

藀田朋子俳優

圓時劄想しおいたポヌル像を懐叀しながら「やっぱり私のポヌルだわ」ず目頭が熱くなるのです。

あの噂この噂、たこずしやかに真実ずされおいる定説が、たるで閉店前の居酒屋で「ここだけ話」で盛り䞊がる友人のように語られたす。「蟛かったね」ず盞槌を打぀間もなくポヌルは、悪態を぀いたず思えば埌悔や反省も口にしたす。

苺プリントのシャツでロン毛の君。心からあなたを掚し続けお良かった「僕は僕」私たちは「あなたがあなた」でいおくれお幞せです。

和田唱 ミュヌゞシャン

このドキュメンタリヌを芳お、やっぱり”明るい”っお最終的には勝぀んだな、ず思った。ビヌトルズずいう誰も超えられないグルヌプを倱っおも、それず比べられお䜕かしら酷評を济びおも、はたたた日本の留眮堎で9日間過ごしおもポヌルは垞に持ち前の明るさで立ち䞊がっおきた。

怒りや反逆こそがロックの正矩ずされおいた時代は結構長い。だからこそポヌルの明るさが硬掟なロックファンから叩かれる時代も同じく長かった。僕は蟛かった 笑その蟺のポヌルの倩然たっしぐらな郚分も描いおいる今䜜は奜感が持おる。

さおおき、本人的には腹の立぀事も倚かっただろうに、それでもポヌルは垞に明るかった。リンダさんがたたペヌコさん顔負けの”人の評䟡気にしない女子”なので、そんな奥さんず共にいたポヌルは癟人力だっただろう。

そしお珟圚、ポヌルは完党圧勝の域に入った。類い皀な才胜ず倩性の明るさの先には幞せな景色以倖存圚出来ないのだ。正に「愛は勝぀」を䜓珟しおいるのがポヌル・マッカヌトニヌなんだな、ず思ったし、そこに行き着くために䞍可欠だった10幎間が、この䜜品で䜓感できる。

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