日本テレビ系ドラマ『冬のなんかさ、春のなんかね』(14日スタート、毎週水曜22:00~)の完成披露試写会がこのほど、都内で行われ、舞台挨拶に杉咲花、成田凌、内堀太郎、そして監督・脚本の今泉力哉氏が登壇した。

杉咲が演じるのは、土田文菜・27歳。これまでに経験してきたさまざまな別れやかなわなかった恋などから、人を好きになることにどこか怖れを抱いていて、「大切な人とはつきあわないほうがいいのではないか?」「そもそも恋愛とはなんなのか?」などと逡巡しながら前に進んでいく。

成田は文菜の現在の彼氏、内堀はたびたび文菜と2人で飲んだり、ホテルで会ったりする先輩役で出演。体調不良のため欠席した岡山天音は、文菜に何度か告白するが成就せず、腐れ縁のような関係でたまに飲みに行ったりする間柄の役を演じている。

  • 杉咲花

    杉咲花

久々共演で「テレビドラマとしての初対面」を表現

――杉咲さん、第1話をご覧になって、どんなふうに感じましたか?

杉咲:ポケットに忍ばせて、誰にも見えないところで、そっと撫でていたくなるようなドラマになっている気がしました。ちょっと手前味噌の感想ですが、私はすごく好きだったし、「こんなドラマが見たかったな」と思います。うれしかったです。

――こうした恋愛の葛藤が、テレビドラマで描かれることはあまりないと思います。

杉咲:本当にそうだと思います。すごく個人的な視点で、勝手な恋愛の話だと思うんですけど、とても切実な悩みをそれぞれの登場人物が抱いていて、そんな時間をじっくり贅沢に抱えている、こんなドラマってなかなか見られなかったんじゃないかなと思います。

――成田さんはいかがでしたか?

成田:こんなドラマが見たかったし、あっていいしって思いました。ずっと見ていたいような時間が、毎週無料で見られるというのは、贅沢だなと思いました。見てもらう人の瞬間瞬間の環境下で見方も変わると思うので、「それぞれすぎる」捉え方ができるドラマなのかなと思います。

――成田さんは朝ドラ『おちょやん』(20~21年、NHK)でも杉咲さんと共演されていますが、再共演のお気持ちは?

成田:数年前、1年間毎日1日中一緒に撮影していたんですけど、最初のシーンは何年かぶりに一緒に芝居をするから、普通に照れてるみたいな時間がめっちゃあると思います。それが、本当の初対面よりも“テレビドラマとしての初対面”に一番近い状況になったかもしれないですね。

――杉咲さんは、そのシーンをどう受け止めましたか?

杉咲:妙な小っ恥ずかしさがあったんですけど(笑)、朝ドラが終わって「次共演できるのは5年後ぐらいなんじゃないか」みたいな話をしていて、本当に5年経ってこの機会があったので、すごくうれしいですね。

  • 成田凌

    成田凌

――杉咲さんは、岡山天音さんとは『アンメット』でも共演されていますが、今回はいかがですか?

杉咲:天音くんの一挙手一投足が全部面白くて見逃せないし、全く予想のつかない展開になっていくので、すごいなと思ってます。本当にその場で起きたことをいつも楽しませてもらっていて、最高です(笑)

――内堀さんは今回の作品、いかがですか?

内堀:なんて答えようか考えてたんですけど、前の2人があまりにもちゃんとしてるんで、どうしようかなって今、思いを巡らせたんですけど……。BGMがすごく少ない映像作品で、見た方がどういうふうに思うんだろうなっていうのが、まずすごく興味があるところです。もちろん楽しんでいただけるとありがたいんですけど、そうですね……まだ考えは、まとまってません(笑)

――今泉監督の作品に出演して、よくご覧になっていると思いますが、テレビドラマとして今泉作品が放送されることにはどう感じましたか?

内堀:「正直、これをゴールデンにドラマで…」っていうのが最初の印象です。「こんなドラマなかったよ…」とは思いましたね。

  • 内堀太郎

    内堀太郎

唯一無二の繊細な演出「何かが間違いなく変わる面白さ」

――今泉監督、改めてこの作品はどのような経緯でスタートしたのでしょうか。

今泉:「杉咲さん主演で何かドラマを一緒にやりませんか?」というところから始まったんですけど、撮影してても脚本を書いてる時も、自分が書いているものにすごくリスペクトを持って、みんなが臨んでくれています。例えば「もっと音楽をかけて」とか「表情も寄りが欲しい」とか、監督がこれがベストだと思うもので作らせてもらえています。今日も試写を見させていただいて、すごく贅沢な時間が流れているし、本当に俳優さんの芝居が魅力的だからこそ成り立った時間がいっぱいあって。万人がすごい共感できる話じゃないかもしれないけど、ここにいるお客さんの誰か一人でも「隣にいる人はこの感情が分からないかもしれないけど、自分はすごく知ってる」とか、深く届くものになればなと思って見ていました。

――冒頭のシーンなど、言葉が少なくても心の中が伝わってくるのは、役者さんの力も大きいと感じました。

今泉:気まずい時間ってあるじゃないですか。音漏れしてる時の、目線のやり取りみたいな。その演技がすごくないですか!? 改めて見たらすごい絶妙なことをしてましたね。

――杉咲さん、撮影中の今泉監督とのやり取りや、こぼれ話があれば教えてください。

杉咲:劇的なこととは対極にあるような、平凡な時間こそ大切に、一瞬も逃さずに撮ってやるぞっていう気概にあふれているとても素敵な現場で、すごく穏やかな空気があって。毎日現場に行くのが楽しみだし、「こんなドラマの撮り方があるんだな」って胸を打たれるような日々なんですけど、今泉さんの繊細さは唯一無二で、0.1ミリ単位、0.1秒単位でいろいろ調整を重ねながら、呼吸とか間とか……

今泉:ディスですか?(笑)。「机の上のコップがちょっとこっちです」とか、「飲み物の量がもうちょっとです」とかやってますからね。

杉咲:ちょいディスです。ウソウソウソ(笑)。自分は今まで見たことない光景だったんですけど、それによって深みが増したり、何かが間違いなく変わる面白さがあって、すごく楽しいです。

――アップのシーンも多いですが、そこの表情も監督と微調整しながら作っているのですか?

今泉:杉咲さん演じる文菜がずっと「うん」と言っているシーンは、細かい指示をしてないです。ただ、一個一個の「うん」で表情の変化がすごく繊細で小さい変化なので、その移り変わりを見逃してしまうことがあるんです。だから通して撮れたもので編集時に決めることもありました。そこは結構委ねています。

――それだけ委ねられていると、杉咲さんはドキドキしませんか?

杉咲:毎日めちゃめちゃ緊張してるんですけど、脚本が魅力的なので、現場に行くと自分が思ってもみなかったことが起きたりするんです。その時間を純粋にいっぱい味わえたらいいなって思っています。