「DOWNTOWN+」の見どころを紹介する大みそかの特番で話題のBSよしもと。そんな同局の年末では、芸人たちが夢の“冠番組”を懸けてプレゼン対決するという賞レース特番『THE CROWN BATTLE ~企画力で冠番組を掴み取れ~』(29日14:30~)にも注目だ。

出場ラインナップは、野澤輸出『野澤輸出の通り過ぎないで!東中野』、吉川きっちょむ『それゆけ!漫画教室』、マリーマリーえびちゃん『えびちゃんの人生最高のたかり酒』、ドンココ『お笑い国際サミット』、LLR福田恵悟『LLR福田の、そういうの全部数学ね。』、ヨネダ2000『ヨネダ2000の2000の寝坊対策』、田津原理音『田津原理音の令和の工作王に俺はなる!』の7本。どれも芸人たちの個性が注ぎ込まれた企画案が並んだ。

優勝した企画は実際にBSよしもとで放送され、その反響次第ではレギュラー化の可能性も秘めているというが、なぜ、芸人たちは多忙な合間を縫ってこのプレゼンに懸けたのか。その熱量の舞台裏を、編成の肥後篤人氏(BSよしもと)、演出の杉浦啓太氏(KAMPAI)、構成作家のもりあゆみ氏に聞いた――。

  • 『THE CROWN BATTLE ~企画力で冠番組を掴み取れ~』

    『THE CROWN BATTLE ~企画力で冠番組を掴み取れ~』

BSよしもとが求めるど真ん中の企画

この番組で自身の企画が初めて通ったもり氏は「BSよしもとだからこその芸人さんが主役の番組でありながらも、面白いだけではない別の一面を見せるものにしたい」と着想。そこでヒントになったのが、『水曜日のダウンタウン』(TBS)で放送された「『冠番組』ということで喜んで受けたオファーが『世界の冠を紹介する』という番組のパネラーだったら?」という検証だった。

「かまいたちさんや、ぺこぱさんといった売れっ子の方たちが、“(自分たちの冠番組なら)こんなゲスト呼びたいよね”や“こんなことがやりたいよね”と、すごくキラキラした目で話しているのを見て、この冠番組への情熱をそのまま見せる番組にできないかなと思ったんです」(もり氏)

これまで、よしもとクリエイティブアカデミー(YCA)に通う構成作家の卵に企画募集をしてきた肥後氏は「今年6月末の募集でものすごくたくさん企画を出してくれたのが、もりさんたちのグループでした。どの企画も精度が高かったので、どれかは絶対にやりたいと思って、打ち合わせをさせていただきました」と振り返る。

その中で光っていたのが、もり氏による今回の企画。「うちはおそらくすべてのテレビ局の中で一番制作予算が低いので、いかにアイデアで勝負できるか。そして、BSらしいニッチなテーマで、かつ演者さんの熱量がしっかり乗ってくるという内容が、BSよしもとが求めるど真ん中でした」(肥後氏)と、番組化が決まった。

演出の杉浦氏が受けた第一印象は「まず、ありがたい企画だと思いました」。その真意を「制作側としては、どんどん新しいものを作っていかなければいけない中で、この企画は芸人さんたちと一緒に新たな企画を自動的に作れるシステムだと思ったんです」と明かし、「これを賞レースという形にすることで、BSよしもとに上手くハマると思いました」と画が見えたそうだ。

ゼロイチの企画会議を20個超行う手間ひま

『アメトーーク!』(テレビ朝日)でも、定期的に「芸人持ち込み企画プレゼン大会」が放送されるが、これは「◯◯芸人」というフォーマットが存在する上でアイデアを持ち寄る形式。それに対して今回の番組は、ゼロイチで企画を作り上げるというハードルの高さがある。

そこで行ったのが、エントリーした芸人たちからのアイデアを受け止めつつ、彼らの強みを探っていく作業。コアな芸人候補を含む20組以上とリモートで打ち合わせし、趣味やハマっていることを聞いていくことで、熱量あふれる企画の種を見つけていった。

ここから収録に参加する7組を選抜することになる、いわば「予選会」だが、「どれも実現を考えて打ち合わせするので、ゼロイチの企画会議を20個以上やったようなものです」(肥後氏)と、手間ひまがかかった。それでも、「芸人さんたちの熱量をめちゃくちゃ感じました」(杉浦氏)ということで、制作側も熱量を持って向き合い、プレゼン資料や台本を共に作り上げていった。