12月24日、東京都立駒場高等学校にて、こどもスマイルムーブメントアンバサダーである野口聡一さんによる特別授業が行われました。

  • こどもスマイルムーブメントアンバサダーである野口聡一さんが特別授業を実施

    こどもスマイルムーブメントアンバサダーである野口聡一さんが特別授業を実施

東京都では、「チルドレンファースト」の社会の実現に向けて、こどもを大切にする気運を一層高めるため、企業・NPO・学校・区市町村など幅広い主体と連携しながら、官民が一体となって、こどもの笑顔につながるさまざまなアクションを展開する「こどもスマイルムーブメント」を推進しています。(※公式SNSでは本ムーブメントの最新情報を発信中)

この取り組みの一環として、本ムーブメントのアンバサダーである野口聡一さんは、「宇宙飛行体験と自己との向き合い方」をテーマとした講演会を実施しました。

宇宙飛行士の野口さんが宇宙で得た学びとは

  • 野口聡一さんは、1996年から宇宙飛行士としてNASAに勤務し、2005年、2009年、2020年と通算3回の宇宙飛行に成功してISS滞在通算日数335日、船外活動通算4回などの日本記録を更新

    野口聡一さんは、1996年から宇宙飛行士としてNASAに勤務し、2005年、2009年、2020年と通算3回の宇宙飛行に成功してISS滞在通算日数335日、船外活動通算4回などの日本記録を更新

野口さんは、宇宙飛行士を志してから実現に至るまでの道のりや、宇宙での体験から得た学びなどについてトーク。

「僕が宇宙飛行士になろうと思ったのは高校の頃。『銀河鉄道999』とか『宇宙戦艦ヤマト』とかを見ていたので『宇宙に行きたいな』というのは子どもの頃から思っていたんですけど、高校1年のときに、NHKのニュースでたまたま『アメリカからスペースシャトルが打ち上がりました』というのを見て、『あ、こういう仕事があるんだ』と意識して。『こういう進路もあるのかな』と。それで、3年生の進路相談のときに、用紙に『宇宙飛行士』と書いたのを覚えています。

その頃はまだ日本人で宇宙に行った人がいなかったですし、仕事としてやっている人もいなかった。そんなことは知らないから、アニメ、映画、NHKのニュースだけを見て『やってみたいです』と言ったんですけど(笑)。でも担任の先生は、『野口ふざけるな』とは言わなかった。うちの親もですけど、頭ごなしには否定しなかった。最初に第三者に言ったときに否定されなかったというのは、後々考えると大きなことだと思いました。幸運なことだなと思います」と振り返りました。

そして、「宇宙飛行士へのルートがわからなかったので調べてみると、軍に行くといいとか、工学部に行ってロケットエンジニアになるのがいいとか、航空宇宙学科へ行くのがいいんじゃないかというのがわかって。いいなと思ってから、実際に宇宙飛行士の試験に応募できるまで15年くらいかかりましたが、夢というのはすぐに叶うものばかりではなく、長い時間かけてちょっとずつ近づく夢もあるのかなと思います」と、夢の実現のためのヒントを生徒たちに話しました。

ただ、宇宙飛行士の試験に受かり、アメリカに渡って新人として訓練がスタートしたとき、「カルチャーショックと猛烈な劣等感に襲われたのを覚えています」と野口さん。

「NASAの職員として宇宙のことをどれくらい知っているかというと、本当になにもわからなかった。教科書の1行目から詰まってしまった。非常に厳しい1年間だったなと思います」と回顧し、「皆さんも、環境が急に変わるときというのは、カルチャーショックやギャップを感じたり、ストレスや劣等感、落ち込みも経験したりすると思うんですけど、そうした浮き沈みを感じるときこそ、自分の中の能力としては一気に伸びていくときだと考えて。『成長できる環境に行ったんだ』と思ってほしい。周りとの差を認識して、その差を縮めようとしているんだと。

先輩飛行士には『俺もそうだったから心配するな』『大きなゾウを食べる方法を知っているか』と言われました。『ゾウを食べなければいけないとなったら、いきなりフォークを持って行ってぶっさしてもダメなんだ。小さなピース、その日食べるサイズに小さくしていくことと、それをいつか食べ尽くすんだという目標を忘れるな。大きさに絶望しているだけではダメで、細かく分割して、毎日消化できる、手に負えるサイズのものに落としていって、一歩一歩自分のものにしていくしかないんだ』と。

皆さんも、最終的なゴールから目を離さないで。今日できること、今学期終わったときにできることはなんなんだと考えながら、できることを積み重ねることで、ゴールに近づいていることを確認していくことが大事かなと思います」と、熱いメッセージを送っていました。

“NASA流のチームワークの秘訣”を伝授

  • 野口さんは “NASA流のチームワークの秘訣”も伝授

    野口さんは “NASA流のチームワークの秘訣”も伝授

さらに野口さんは、「チームでなにかを成し遂げなければならない」というときのために、“NASA流のチームワークの秘訣”も伝授。

「1つめは『自分が任された仕事をちゃんと理解して、しっかりそれを実行して、なおかつそれについて仲間とコミュニケーションしなさい』ということ。2つめは『常に大きな視点(ビッグピクチャー)でものを考えなさい』ということ。全体像を見落としてしまうと、チームとしては大きな過ちを犯すことになってしまいます。

そして最後は『失敗を隠すな』ということ。失敗すると恥ずかしいから隠してしまうけれど、その小さな失敗は、チームとしては大きな損害になってくる。『ミスした!』というのを早めにみんなに共有することで、いくらでもチームとしてリカバリーできるんです。僕は、NASAのチームでそうしたことを学びました」と語り、生徒たちはその金言を真剣な表情で受け取っていました。

  • 野口さんの講演に続いて、生徒たちが「自分を大きく変えたできごと」や「自分らしさ」「これからどんな挑戦をしたいか」を発表するコーナーも

    野口さんの講演に続いて、生徒たちが「自分を大きく変えたできごと」や「自分らしさ」「これからどんな挑戦をしたいか」を発表するコーナーも

  • 生徒たちからの質問も受け付けた。「(発表や質問の際)皆さん堂々とされていてすごいなと思いました」と野口さんは感想を語っていた

    生徒たちからの質問も受け付けた。「(発表や質問の際)皆さん堂々とされていてすごいなと思いました」と野口さんは感想を語っていた