俳優の岡崎紗絵が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、21日放送の「26歳 きょうも崖っぷち~歌舞伎町 駆け込み寺の危機~」。大都会・歌舞伎町で「日本駆け込み寺」の再建を託された、26歳の新代表・清水葵さんを追った作品だ。

26歳という年齢では抱えきれないほどの重圧を背負い、最前線に立ち続ける清水さんの姿に強い衝撃を受けたという岡崎。人と人とのつながりが希薄になりつつある現代において、「駆け込み寺」が持つ意味や、支える側・支えられる側の関係性について、ナレーションを通じて深く考えさせられたと語る――。

  • 『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した岡崎紗絵

    『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した岡崎紗絵

「安心して助けを求められる居場所を」

世界有数の歓楽街、新宿・歌舞伎町にある「日本駆け込み寺」は、23年にわたって、DV、ストーカー、金銭トラブル、命を絶つことを考える人など、行き場を失い、居場所のない人々を支えてきた。しかし今年5月、事務局長が薬物所持で逮捕されると、東京都からの補助金や支援者からの寄付金が、突然打ち切られることになった。

危機的状況の中、再建を託されたのが26歳の新代表・清水葵さん。自らも複雑な事情を抱え、いじめに苦しんだ過去を持つ彼女は、ボランティアや被災地支援を通じ「安心して助けを求められる居場所を作りたい」という強い思いを抱いてきた。

だが現実は厳しく、家賃の支払いは常にギリギリで綱渡りの金策に奔走する毎日。それでも8月に活動を再開すると、行き場のない若者に休憩の場を提供し、歌舞伎町の夜回りも始めた。

そんな中、18歳でホストにのめり込んだ女性が頻繁に訪れるように。彼女にとって駆け込み寺は「居心地が良い場所」だという。やがて彼女は清水さんを手伝う側に回り、支援の輪は少しずつ広がっていく。

駆け込み寺を守りたい…清水さんは存続のためイベントや街頭募金を企画し、さらに24時間相談できる“居場所”を作ろうとするのだが…。

  • 涙を見せる清水葵さん (C)フジテレビ

    涙を見せる清水葵さん (C)フジテレビ

「自分も何か協力しなくては」と思わせる人柄

新宿・歌舞伎町。フジテレビで放送されたドラマ『新宿野戦病院』(24年7月期)で、橋本愛が演じたNPO法人「Not Alone」の代表・南舞の活動を目にした人や、ニュースなどで断片的に知っている人も多いだろう。活動資金が底をつきそうな状況の中、その渦中に自ら飛び込み、先頭に立って動く決断をした清水さんの毅然とした姿は、ナレーションを務めた岡崎の目にも鮮烈に映ったという。

「ご本人もいろんな経験をしてきたとおっしゃっていましたけど、トー横の問題など、大変なことだと分かっていながら、自分事として捉え、中に中に入り込んで、先陣を切ってやっていく。その姿勢が本当に素晴らしいなと思いました。ドラマさながら自傷行為でケガをした若い女性が駆け込んできて、葵さんが手当てする場面もありましたが、あの場所では珍しくないことなんでしょうね。きっと日常なんですよね」

トー横界隈にたむろするZ世代の若者たちが日々巻き起こすトラブルにも淡々と向き合う清水さんは、決して自らの感情を大きく表に出すタイプではない。しかし、その静かな佇まいとは裏腹に、世代を問わず多くの人を自然と巻き込んでいく力がある。

「本当に並み大抵の覚悟で取り組んでいるわけではないということが画面越しにも伝わりますし、周りにも『支援したい』『自分も何か協力しなくては申し訳ない』と思わせるような、日頃の地道な活動や人柄が、葵さんにはあるんだろうなと感じました」

番組には、「日本駆け込み寺」の創設者で、清水さんが「師匠」と慕う玄秀盛さんを、2003年に『ザ・ノンフィクション』で取材した際の映像も流れる。11年には、玄さんの半生に基づき、渡辺謙が企画・主演したスペシャルドラマ『愛・命~新宿歌舞伎町駆け込み寺~』(テレビ朝日系)も放送されるなど大いに注目を集め、玄さんは、その後も現場に立ち続けてきたが、今年、事務局長の逮捕後、自ら責任を取って辞任。裏方として補助金返還に対処するが(※10月に共同代表理事に復帰、行政対応や資金調達を担う)、一度は「俺はもうダメだ…」と絶望していた、と清水さんが明かす場面は岡崎の胸にも深く刺さったという。

「本当に胸にズシッときました。それこそ20年以上もの長きにわたり、歌舞伎町でいろんな人々を見つめ、傷ついた子どもたちとも一番に関わってきたであろう方が、あんなふうに葵さんに弱音を漏らすほど、思い詰められた時期があったんだと思うと…」