川崎重工グループの川崎車両は19日、将来のカーボンニュートラル実現に向けた新動力にも対応できるプラットフォーム車両として、電気式気動車「GreenDEC」を開発したと発表した。すでに天竜浜名湖鉄道や甘木鉄道などから受注しているとのこと。

  • 川崎車両が電気式気動車「GreenDEC」を開発

    川崎車両が電気式気動車「GreenDEC」を開発

非電化鉄道の気動車には、ディーゼル機関と液体変速機を組み合わせた車両が多く、近年、気動車の老朽化や液体変速機等の入手困難により、その地域の鉄道公共交通の維持が課題に。あわせて非電化鉄道でも地球環境負荷低減に向けた取組みが求められているという。

「GreenDEC」は、電気式気動車の特徴であるディーゼル機関で発電機を動かし、発生した電気でモーターを動かすしくみをベースに、モーター、インバータ、歯車減速機等の機器を一般的な電車と共通使用を可能とした。気動車の交換部品の入手性が向上し、メンテナンス作業の軽減を図ることにより、維持コストの抑制に寄与する。加えて、将来における水素駆動機関等の採用・交換までシームレスに対応できるプラットフォームを採用したとのこと。

デザインは、シンプルに時代を超えて使い続けられる普遍性をコンセプトとし、外観は車両外板の素地を生かしたステンレスの地肌をそのまま見せ、クリーンなイメージに。車両前面部分をブラックフェース化することで、引き締まったイメージも追求。車両のブランドを表すロゴを配し、車両自身のアイデンティティーも形成した。

  • 「GreenDEC」ロゴ

    「GreenDEC」ロゴ

  • 「GreenDEC」内装

    「GreenDEC」内装

内装は、白を基調とした壁面と天井により明るい車両とし、設備品についても可能な限りシンプルな構成とすることで、清潔感や見通しの良さを実現。環境への配慮、メンテナンス性向上、視認性の良さについても考慮したという。「GreenDEC」の車体寸法は長さ18.00m・幅2.80m・高さ4.02m。20m車両の設定もある。車体素材はステンレス鋼。動力方式は電気式ディーゼル。設計最高速度は95km/hとなる。

すでに複数の鉄道事業者から受注しており、天竜浜名湖鉄道と甘木鉄道で2026年春のダイヤ改正から営業運転を開始する予定。各鉄道事業者の地域に合わせたデザインを施した「GreenDEC」がデビューする。