
ここ数年、クルマのモデルライフが長期化している。かつてはデビューから3~4年後にフルモデルチェンジを実施、つまり初期型が初回車検を迎えるころに実施されることが多かったが、最近は6~8年周期も珍しくない。特に商用車はモデルライフが長く、現行の200系ハイエースは2004年8月のデビューで22年目に突入した超熟モデル。乗用車でもデリカD:5は07年デビューで、改良やビッグマイナーを重ねながら高い人気をキープしている。
ユーザー心理も「新型が出たから乗り換える」のではなく、気に入ったクルマを長く大切に乗り続けるという傾向にシフトしているようだ。日本自動車工業会が23年度に実施した乗用車市場動向調査によると、新車の平均保有期間は7.7年。10年を超える長期保有車も2割強で、クルマ自体の耐用年数が高くなったのに加えて、物価高騰やインフレの影響もあり長期保有傾向が続いている。
こうした市場動向を踏まえて、トヨタ自動車が「クルマを売って終わりではいけない」という思いから22年1月に始めたサービスが「KINTO FACTORY」。日進月歩の安全・環境技術を新型車だけでなく、ユーザーが現在保有しているクルマにも提供・普及させていく試み。約20年をライフサイクルの目安として、その間は随時機能と装備をアップグレードしながら保有中のクルマに対して最新技術を搭載可能にすることを目指している。
サービス開始当初は社内でも「なぜ新車メーカーがわざわざ保有車向けのサービスをするのか」「オンライン販売でサービスを提供するなんて無理」といった厳しい声が寄せられたが、施工を行う販売店と一体になって乗り越え、開始当初約30アイテム・約10車種だったラインアップは25年12月現在で約170アイテム・約50車種まで拡大。サービスを取り扱う販売店は、開始当初6社・7都道府県だったのが、25年12月現在で120社・45都道府県に拡大。25年度内に全都道府県でサービス展開を目指す。
アイテムの種類は多岐にわたり、「環境・安全(例:30系アルヴェルのブラインドスポットモニター」「快適・便利(例:レクサスUX、プリウスの後付け1500Wコンセント)」「ドレスアップ(例:RAV4のヘッドランプデザインアップグレード)」「走り向上(例:プリウスの士別フィン)」など幅広く取り揃える。
サービス開始から4年が経ち、ユーザーにTOYOTA/LEXUSのサービスであることをより明確に伝えるために、25年12月から名称をKINTO FACTORYからTOYOTA/LEXUS UPGRADE FACTORYに変更。トヨタ車とレクサス車に乗るすべてのユーザーに対し、「先進安全機能による安心感向上」「欲しいオプションを後付けできる」「新型車の機能やアイテムを付けられる」といった、カーライフを充実させるサービスを手の届く価格で届けるというコンセプトをより進化させた。
サービス名称の変更に合わせて、後付けセキュリティシステム2アイテム(Smart Upgrade Switchセキュリティシステム、セキュリティシステムプレミアム)と、ユーザーからのリクエストに応えて製品化したランドクルーザー300初のアップグレードアイテム(おくだけ充電)が公開された。
Smart Upgrade Switchセキュリティシステム
トヨタ純正用品初の、スマートフォンと連携したセキュリティシステム。1:エンジン始動ロック 2:乗車検知時のスマホプッシュ通知 3:音声威嚇の3つの機能が備わり、システムとスマホの通信はBluetoothで行う。各機能の概要は以下のとおり。
1:エンジン始動ロック
クルマに付属するスマートキーの認証システムとは異なる、独立したエンジン始動認証を新たに構築し、スマートキーとスマホアプリでの始動許可指示の両方が揃った場合にのみ、エンジンの始動が可能になる。エンジン始動ロックは警戒オン設定にしておくと、スマホとの通信がなくても降車後、自動で実施。常時警戒のオン/オフ、夜間のみなど時間限定警戒などの設定も可能。
2:乗車検知時のスマホプッシュ通知
セキュリティシステムで警戒中にドアの開錠やエンジン始動操作を検知した場合、Bluetoothの接続範囲内(10数m)でスマホにプッシュ通知を行う。Bluetoothの電波が届かなった場合でも、次回接続時に乗車検知ログを確認できるので、監視カメラの設置やハンドルロックの装着など、追加の防犯対策が取れる。
3:音声威嚇
警戒中のドア開錠やエンジン始動操作を検知した場合、専用スピーカーから犯人への威嚇音声(日本語/英語)を車内に流す。音量はETCの音声案内ぐらいで、犯人に対しては明確な威嚇になるいっぽう、深夜早朝に作動して周囲の迷惑にならないように配慮している。
OTA(Over the Air)アップデートに対応
新手の盗難手口や不正侵入への対策として、OTA(無線通信を利用してソフトウェアを更新する仕組み)に対応。セキュリティ機能を必要に応じてアップデートできる機能を搭載している。
Smart Upgrade Switchセキュリティシステム適合車種
※1アルファード スペーシャスラウンジは適合対象外
※2ヴェルファイア ターボガソリンは適合対象外
セキュリティシステム プレミアム
複数の盗難防止機能を備えたハイエンドモデル。ランクル300/250やレクサスLX600、アル/ヴェルなど盗難率の高いクルマに乗っていて、防犯対策として市販のハイエンドセキュリティシステムを検討するユーザーに対し、純正用品でもセキュリティ性を向上させる製品を選択できるようにするのが狙い。車両のスマートキーに加えて、スマートキーと連動する本製品のセキュリティキーを持つだけの簡単操作でセキュリティレベルを高められるのがポイント。主な機能は以下の3つ。
1:セカンドイモビライザー
車両のイモビライザーに加え、新たに独立したエンジン始動認証を構築。ダブルイモビライザーにすることで、スマートキーとセキュリティキーの両方が揃った場合にのみ、エンジンを始動できる。万一システムを破壊されたり、配線を戻されたりしてもエンジンは始動しない。
2:ダブルロック
車両のドアロックに加えて、新たなドアロック認証を追加して車内への侵入を防ぐ。測距システムを内蔵したセキュリティキーが車両の近くにないとドアを解錠できず(ロックは可能)、スマートキーのコピーやCANインベーダーなどの盗難ツールによる不正なドアの解錠を防げる。
3:セルフパワーサイレン
独立したバッテリーを内蔵した専用アラーム(セルフパワーサイレン)が、セキュリティキーがない状態で車両に不正に侵入しようとすると、大音量(80dB程度。クルマのホーンは100dB程度)の警告音を鳴らして犯人を威嚇する。ドアがアンロックされたとき、エンジンを始動しようとしたとき、補機バッテリーやセルフパワーサイレン本体が取り外されたときの、いずれかの事象が生じた場合に作動する。なお、市販品のような追加センサーは誤作動防止のために採用していない。
車外から確認できる位置にLEDインジケーターを設置。セキュリティの作動状況をLEDの点滅やブザーで知らせるとともに、セキュリティキーが電池切れ(電池寿命は約1年)した際のキー認証にも使用する。
例えばランクル300の場合、マイカー始動ロック(T-Connectのサービスで、スマホのMy TOYOTA+アプリで離れた場所からクルマの始動を禁止できる)とSmart Upgrade Switchセキュリティシステム、セキュリティシステムプレミアムを組み合わせた2重、3重のロックを構築することで防盗性が向上する。
取り付け所要時間は、Smart Upgrade Switchセキュリティシステムが約1時間30分、セキュリティシステムプレミアムが約4時間。
セキュリティシステム プレミアム適合車種(26年春ごろより発売予定)
※1アルファード スペーシャスラウンジ車は適合対象外
※2プリウスUグレードは適合対象外
おくだけ充電(Gen4)
ワイヤレス充電「Qi」に対応するおくだけ充電を、新車時未装着のランクル300に後付けできるアイテム。
2軸で作動するムービングコイル方式で、10Wの急速充電が可能。固定コイル式に対し、走行中のスマホの位置ズレに追従できるのが利点で、パナソニック オートモーティブシステムズの独自技術。
海外仕様のランクル300に販売店オプションとして設定されていたものを、日本仕様にアレンジした。
対応車種:21年モデルから現在までのランクル300全グレード
価格:2万6400円(部品代、取り付け費込み)
<文と写真=湯目由明>

