(左から)巨人のの田中瑛斗、中日の細川成也

 2022年に導入された「現役ドラフト」制度は、出場機会に恵まれない選手に新天地を与える試みである。この制度での移籍をきっかけに、新天地で活躍を見せる選手も少なくない。今回は、現役ドラフトで移籍後に覚醒&再浮上を遂げた選手を取り上げる。(文・シモ)

大竹耕太郎

[caption id="attachment_237998" align="alignnone" width="530"] 阪神タイガースの大竹耕太郎(写真:産経新聞社)[/caption]

・投打:左投左打

・身長/体重:184cm/86kg

・生年月日:1995年6月29日

・経歴:済々黌高 - 早稲田大

・ドラフト;2017年育成選手ドラフト4位(ソフトバンク)

 

 阪神タイガース移籍後は別人級の活躍を見せている大竹耕太郎。現役ドラフトで入団した投手の最高傑作だろう。

 

 福岡ソフトバンクホークスでの5年間で通算10勝だった大竹だが、2022年の現役ドラフトで阪神タイガースに移籍すると、水を得た魚のように躍動する。

 

 

 2023年開幕7戦目のヤクルト戦に登板して、6回3安打無失点で初勝利を挙げると、5月までに無傷の6連勝。

 

 その後も順調に勝ち星を重ね、同年は自身キャリアハイとなる12勝2敗、防御率2.26の成績をマーク。阪神の18年ぶりのリーグ優勝と、38年ぶりの日本一に貢献した。

 

 そして、昨季も11勝7敗、防御率2.80で2年連続の2桁勝利を達成。

 

 迎えた今季は、下肢の張りで出遅れた中、9勝4敗、防御率2.85の成績をマークして2年ぶりのリーグ優勝に貢献した。

 

 ソフトバンクとの日本シリーズでは、第5戦に登板。ソフトバンクの強力打線相手にテンポ良く投げ込み、6回3安打無失点で、付けいる隙を与えなかった。

 

 特に、4回表に3番・柳町達に2球連続で投じた79キロと69キロのスローカーブは、圧巻だった。

 

 引き続き、安定した成績が見込まれる大竹。今季は惜しくも3年連続の2桁とはならなかったが、来季は開幕一軍入りし、2年ぶりの2桁勝利を挙げてもらいたい。

 

 対広島戦の3年間の通算成績15勝2敗を、どれだけ上積みできるかも見ものである。

中村祐太

[caption id="attachment_241526" align="alignnone" width="530"] 埼玉西武ライオンズの中村祐太(写真:産経新聞社)[/caption]

・投打:右投右打

・身長/体重:184cm/90kg

・生年月日:1995年8月31日

・経歴:関東第一高

・ドラフト:2013年ドラフト5位(広島)

 

 今季プロ12年目の中村祐太。広島東洋カープ時代は先発から、ビハインドや大量得点のシチュエーションで投げる”何でも屋”として生きる術を見つけてきた。

 

 広島での10年間を経て、2023年オフの現役ドラフトで埼玉西武ライオンズに入団した中村祐。

 

 

 西武移籍後の初登板は、昨季4月7日の日本ハム戦。11対1と大量リードで登板した9回裏の場面だった。

 

 この試合で、1回を1安打無失点に抑えてゲームを締めると、同月13日のソフトバンク戦には、0対7とリードされた7回に登板。

 

 6月2日の巨人戦では、0-3とビハインドの5回に登板して無失点に抑えるなど、場面を問わず腕を振り続け、27試合の登板で0勝1敗、防御率3.09の成績を残す。

 

 今季は7月9日の楽天戦で、0-2とビハインドの9回に今季初登板を果たし、3人をピシャリと抑える。

 

 9月26日の日本ハム戦では、5-8のビハインドの8回から登板し、2回を投げて3者連続を含む4つの三振を奪っている。

 

 今季は20試合に登板し、0勝2敗、防御率1.04をマーク。淡々と役割をこなす季節を超え、来季は勝ちパターンの一角に割り込めるか。

田中瑛斗

[caption id="attachment_241528" align="alignnone" width="530"] 読売ジャイアンツの田中瑛斗(写真:産経新聞社)[/caption]

・投打:右投左打

・身長/体重:184cm/84kg

・生年月日:1999年7月13日

・経歴:柳ヶ浦高

・ドラフト:2017年ドラフト3位(日本ハム)

 

 田中瑛斗はシュートの質に磨きをかけ、読売ジャイアンツで花開いた。

 

 柳ヶ浦高から、2017年ドラフト3位で北海道日本ハムファイターズに入団。プロ2年目に一軍で1試合に登板するも、その後は二軍生活が続き、プロ4年目の2021年オフに戦力外通告を受けた。

 

 

 育成契約選手として再契約を結んで、翌2022年に支配下選手登録を勝ち取るが、登板機会に恵まれず。昨オフの現役ドラフトで、巨人に移籍することになった。

 

 新天地での勝負を賭けた今季。新天地で才能が開花した。

 

 開幕一軍入りした田中は、3月29日のヤクルト戦の8回に移籍後初登板。徐々に信頼を勝ち取り、走者を置いたしびれる場面での起用が増えていった。

 

 その結果、1度も二軍落ちすることなくシーズンを完走したのである。

 

 現役ドラフト1年目の今季は、62試合の登板で37ホールドポイント(1勝3敗36ホールド)、防御率2.13。前年の3試合から登板数を約20倍に増やし、過去最高の成績を残した。

 

 高速シュートを武器に、これでもかと打者の内角を強気に突いていく投球スタイルは、近年のプロ野球では稀である。

 

 その姿は、横浜ベイスターズ(現:DeNA)のかつてのリリーフエース・盛田幸妃を想起させ、往年のプロ野球ファンの心も熱くさせる。

 

 その強気な投球で打者を打ち取っていく姿を、来季も見たい。

水谷瞬

[caption id="attachment_220785" align="alignnone" width="530"] 北海道日本ハムファイターズの水谷瞬(写真:産経新聞社)[/caption]

・投打:右投右打

・身長/体重:193cm/100kg

・生年月日:2001年3月9日

・経歴:石見智翠館高

・ドラフト:2018年ドラフト5位(ソフトバンク)

 

 現役ドラフト移籍後2年目の水谷瞬は、北海道日本ハムファイターズで着実に実績を積み重ねている。

 

 福岡ソフトバンクホークスでの5年間はファーム生活が続き、一軍の厚い壁に阻まれ続けていた。そんな中で迎えた2023年オフ、現役ドラフトにて日本ハムに入団した。

 

 

 心機一転で迎えたプロ6年目の昨季は、4月9日にプロ入り初の一軍昇格を果たす。

 

 セ・パ交流戦で18試合中16試合で安打を記録し、交流戦新記録の打率.438をマーク。交流戦MVPに輝いた。

 

 また、9月4日のソフトバンク戦では、5-5の場面で逆転の左前打を放つと、塁上で感極まるシーンもあった。

 

 同年は97試合の出場で、打率.287、9本塁打、39打点の成績を挙げてキャリアハイのシーズンを送る。

 

 迎えた今季は、4月18日に一軍初昇格を果たすも、序盤は打撃不振にあえいだ。それでも6月3日に復帰すると、徐々に本領を発揮する。

 

 同月13日の広島戦に「1番・右翼」で出場すると、本塁打を含む3安打猛打賞を記録した。

 

 6月は打率.333、4本塁打、7打点。7月は打率.282、5本塁打、11打点と徐々に調子を上げ、最終的に87試合の出場で打率.277、12本塁打、41打点の成績をマーク。本塁打と打点は昨季を上回っている。

 

 チームがソフトバンクとの優勝争いを繰り広げた中、数々の印象に残る打撃を見せつけてくれた水谷。

 

 来季は、歓喜の「パイナポーッ!」を何度見られるだろうか。

細川成也

[caption id="attachment_184596" align="alignnone" width="530"] 中日ドラゴンズの細川成也(写真:産経新聞社)[/caption]

・投打:右投右打

・身長/体重:179cm/98kg

・生年月日:1998年8月4日

・経歴:明秀学園日立高

・ドラフト:2016年ドラフト5位(DeNA)

 

 中日ドラゴンズに移籍して3年目の細川成也は、現役ドラフト打者部門の最大の成功例と言っていい。

 

 横浜DeNAベイスターズでの6年間で、わずか6本塁打に留まっていた細川。プロ6年目の2022年オフに中日に移籍すると、移籍初年度から右翼のレギュラーに定着した。

 

 

 2023年前半戦の81試合で打率.285、12本塁打、49打点とDeNA時代の成績をはるかに超える成績を残し、終わって見れば140試合に出場して打率.253、24本塁打、78打点と覚醒した。

 

 移籍2年目の昨季も143試合に出場し、打率.292、23本塁打、67打点をマーク。

 

 迎えた今季は、開幕から30試合に出場後、右太もも裏のコンディション不良で5月6日に一軍登録を抹消される。

 

 それでも、6月19日に一軍復帰すると、7月には打率.333、6本塁打、17打点で月間MVPに選出。

 

 夏場以降に調子を上げ、最終的に108試合出場で打率.256、20本塁打、58打点の成績をマークし、見事に3年連続の20本塁打を記録した。

 

 20本塁打の内、広いバンテリンドームでの8本塁打には価値がある。来季は、セ・リーグの数少ないスラッガーとして年間30本ないし、40本を狙える選手へのレベルアップを期待したい。

 

 来季のテラス席新設による外野距離の縮小も、追い風になるはずだ。

佐々木千隼

[caption id="attachment_200406" align="alignnone" width="530"] 横浜DeNAベイスターズの佐々木千隼(写真:産経新聞社)[/caption]

・投打:右投右打

・身長/体重:181cm/83kg

・生年月日:1994年6月8日

・経歴:日野高 - 桜美林大

・ドラフト: 2016年ドラフト1位

 

 横浜DeNAベイスターズに所属する佐々木千隼は、現役ドラフト移籍後に復活の兆しを見せた。

 

 2016年ドラフト1位で千葉ロッテマリーンズに入団し、プロ1年目は主に先発として一軍登板を経験。同年は15試合の登板で4勝7敗、防御率4.22の成績を残した。

 

 

 翌2019年以降は、右肘の手術などで一軍登板が減少。それでも、2021年はリリーフとして54試合に登板し、34ホールドポイント(8勝1敗26ホールド)、防御率1.26と圧巻の数字を残した。

 

 しかし、翌2022年は23試合登板で防御率6.39と苦戦。2023年はわずか2試合の一軍登板に終わると、同年の現役ドラフトでDeNAに移籍した。

 

 移籍1年目はファームで結果を残すと、夏場から一軍で腕を振った。貴重なリリーフの一角として、同年は28試合登板で防御率1.95を記録。日本シリーズでも無失点投球を披露するなど、復活の兆しを見せた。

 

 今季は開幕一軍入りするも、失点を重ねる投球が続いて二軍降格。8月以降は一軍で登板を重ね、20試合の登板で6ホールドポイント(2勝1敗4ホールド)、防御率4.15の成績に終わった。

 

 安定感に欠けた今季だが、来季に完全復活を遂げることができるか注目だ。

 

 

【了】