大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の義理の兄・次郎兵衛を好演している中村蒼。第25回では、妻・とく(丸山礼)の存在、さらに3人の父親になっていたことが明らかになり、視聴者に衝撃を与えた。ドラマの中で癒やし的存在になっている次郎兵衛、そして妻・とくについて、制作統括の藤並英樹チーフ・プロデューサーに話を聞いた。

  • 『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』次郎兵衛役の中村蒼と妻・とく役の丸山礼

    『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』次郎兵衛役の中村蒼と妻・とく役の丸山礼

最初から中村蒼をイメージして書かれた次郎兵衛

江戸時代中期の吉原を舞台に、東洲斎写楽、喜多川歌麿らを世に送り出し、江戸のメディア王にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く本作。脚本は、『おんな城主 直虎』(17)以来、8年ぶり2度目の大河ドラマとなる森下佳子氏が手掛けている。

中村演じる次郎兵衛は、視聴者にとって癒やしの存在で、SNS上では「癒しの兄さん」「辛い回には兄さんの癒しが必要」「次郎兵衛さんがいないと寂しい」といった声が上がっている。

藤並氏は「次郎兵衛は最初から中村さんをイメージしていました」と明かす。

「僕も(チーフ演出の)大原(拓)も森下さんも、次郎兵衛は中村蒼さんがいいよねと。森下さんは中村さんをイメージして書いていたので、オファーを受けてくださってうれしかったですし、実際に演技を見て、柔らかく明るい感じですごくいいなと思っています」

また、『大奥』で徳川家斉役を務めた中村の演技を見て、「次郎兵衛を演じてもらいたい」と思ったという。

「家斉のときの中村さんがすごくよくて、それが僕と大原と森下さんの中であったので、ぜひ『べらぼう』でもご一緒したいと思いました。これまで中村さんはキリッとした役が多かったですが、家斉のときにのほほんとしたキャラクターを演じてもらったらすごく面白くて、そういう部分をもっと出していただけたら、もっと面白くなると思ったので次郎兵衛をお願いしました」

次郎兵衛の妻は「どう見てもしっかりしている人がいい」

第25回では妻・とく(丸山礼)、さらに長女・のぶ、次女・こう、長男・忠吉も登場し、次郎兵衛が結婚していて3人の子供がいることが明らかに。

「蔦重が祝言を挙げる回で家族がそろうということで、次郎兵衛は年齢的に、しかも跡取り息子なので妻がいて当然だったので、森下さんと話して、これを機に次郎兵衛の家族を出そうということになりました」

次郎兵衛の妻のイメージについては、森下氏と話しながら決めていったと藤並氏は語る。

「ふじさん(飯島直子)は吉原の商家の娘さん、いねさん(水野美紀)は元女郎さん、りつ(安達祐実)さんは大黒屋の娘さんで婿養子をもらっているという設定で、吉原の女将さんはその3パターンがあったということで、それを割り振ったのですが、次郎兵衛の奥さんについては、森下さんが『次郎兵衛さんが何もしなくても跡継ぎとして任せられるような、どこかの商家の娘さんで、どう見てもしっかりしている人がいいですよね』とおっしゃって、度量のあるどっしりした人にしようということになりました」

そして、どっしり、しっかりした妻役には「丸山礼さんしかいない」ということで、丸山にオファーしたという。

子供が3人という設定については、「森下さんと『子供が3人いたら面白いですよね』という話になって、肝っ玉母さん的な人だと子供が3人いそうだよねと。史実では次郎兵衛さんの家族についてはわかっていませんが、女の子2人が生まれ、跡取りが生まれないといけないので、3人目で男の子ということで、2女1男にしました」と説明する。

  • 『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』公式インスタグラムより

    『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』公式インスタグラムより

子供の名前は「忘八が忘れた8つの徳をもじっている」

妻・とく、長女・のぶ、次女・こう、長男・忠吉という名前にも遊び心を取り入れている。

「とくさん含め、子供の名前は、忘八が忘れた8つの徳をもじっていて、例えば、長女・のぶは『信』からつけています」

そして、藤並氏は「次郎兵衛さんがすごく皆さんから愛されているなと感じていたので、次郎兵衛さんの家族を出したら皆さんに喜んでもらえるのではないかなと思いました」と述べ、実際に大きな反響となり、「次郎兵衛を愛してくださってうれしいです」と喜んでいる。

父親になっても趣味を楽しみながらのほほんと生きている次郎兵衛だが、蔦重が日本橋に店を構えてからも蔦重のために動く場面が描かれており、弟思いの兄であることは今後も変わらないという。

藤並氏は「次郎兵衛が一番、ニュートラルに温かく蔦重を見ている存在なのではないかなと。最後までそういう存在でいてくれたらいいなと思っています」と述べ、「蔦重を全力的にサポートするわけではないですが、蔦重の“書をもって世を耕す”ことの手助けをするというか、巻き込まれて一緒にやっていくことはあると思います」と話していた。

■中村蒼
1991年3月4日生まれ、福岡県出身。2006年、舞台『田園に死す』で俳優デビュー。近年の主な出演作は、ドラマ『エール』(20)、『らんまん』(23)、『大奥』(23)、『宙わたる教室』(24)、『東京サラダボウル』(25)、『シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~』(25)、映画『沈黙の艦隊』シリーズ(23、25)、『アイミタガイ』(24)、『室町無頼』(25)、『早乙女カナコの場合は』(25)、『宝島』(25)など。現在、大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)、TBS系金曜ドラマ『フェイクマミー』に出演中。映画『教場 Reunion』が1月1日よりNetflixで配信開始、映画『教場 Requiem』が2月20日より劇場で公開。

(C)NHK