現在、第49作『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』(2025年)が放送されている「スーパー戦隊」の放送枠(製作:東映/テレビ朝日系全国ネット/毎週日曜日朝9時30~10時)にて、来年(2026年)より新たな特撮映像シリーズ【PROJECT R.E.D.(プロジェクト レッド)】が始まることが、11月24日に発表された。

  • 「赤いヒーロー」の活躍を描く新シリーズ【PROJECT R.E.D.(プロジェクト レッド)】の第一報ビジュアル

    「赤いヒーロー」の活躍を描く新シリーズ【PROJECT R.E.D.(プロジェクト レッド)】の第一報ビジュアル

この発表により、第3作『バトルフィーバーJ』(1979年)から『ゴジュウジャー』まで46年もの長きにわたって続いた人気シリーズ「スーパー戦隊」(のテレビ放送)がひとつの区切りを迎えるということが判明。カラフルに色分けされた変身ヒーローが力を合わせ、巨大メカや巨大ロボットを操って邪悪な敵と戦う特撮アクションが見どころだったこのシリーズは、変えてはいけない骨子の部分(シンプルなヒーロー像、チームワークで悪を倒す友情と団結の精神など)を守り続ける一方で、時代の流行に合わせて世界観、基本設定、敵軍団の位置づけ、ストーリー展開などを大胆なまでに変化させ、常に創意工夫の心を忘れていなかった。

第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』から数えて50年、49作品がみな濃厚な個性を発揮し、それぞれの時代を生きた子どもたちに「団結する精神」や、「仲間をいたわる友情」、「悪を憎み正義を愛する心」など大切なことを伝えてきた「スーパー戦隊」。半世紀にわたって作られ続けた各作品は、これからも永遠に変わらぬ輝きを放つに違いない。

そして、スーパー戦隊に代わって登場する新しい「シリーズ」がどのような作品になるのかにも注目が集まっている。発表された【PROJECT R.E.D.(プロジェクト レッド)】の「R.E.D.」とは「Records of Extraordinary Dimensions(訳:超次元英雄譚)」の頭文字をとった略称。文字どおり、次元を越えてさまざまな作品のヒーローがクロスオーバーする世界観を備えつつ、「赤い」ヒーローの活躍が描かれる特撮テレビドラマが観られるのだという。

【PROJECT R.E.D.】の第1弾として、2026年から放送される作品のタイトルは『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』だと発表された。1980年代に子どもたちから好評を博した東映の特撮アクションドラマ『宇宙刑事ギャバン』(1982年)の「革新性」を受け継ぎつつ、まったく新しい世界観のもとに描かれるという新生ギャバンがどのように誕生するのか。かつて『ギャバン』とこれに続く宇宙刑事シリーズ(シャリバン、シャイダー)を楽しんでいた大人の特撮ファンから、まったく新しいヒーローとして「宇宙刑事ギャバン」を目撃するであろう現在の子どもたちまで、幅広い年齢層の視聴者を魅了する斬新なヒーロー像に期待したいところだ。

「宇宙刑事シリーズ」の伝説

『宇宙刑事ギャバン』(1982年)

『宇宙刑事ギャバン』(1982年)は、「スーパー戦隊」でも「仮面ライダー」でもない、まったく新しい特撮シリーズを目指して企画が練り上げられた作品である。それまでにも、人間が戦闘スーツを着ることによって超人的能力を発揮するヒーロー設定は数多く存在していたが、ギャバンの場合、一見するとロボットにも見えるような金属質のプロテクターを全身にまとい、地球上だけでなく宇宙や異次元空間で縦横無尽に活動できるといった、かつてないSF感覚を備えた宇宙的規模のヒーローが創造された。

  • 徳間書店テレビランドカラーグラフ「宇宙刑事ギャバン」表紙(著者私物)

    徳間書店テレビランドカラーグラフ「宇宙刑事ギャバン」表紙(著者私物)

銀河連邦警察から地球へ派遣された宇宙刑事ギャバン=一条寺烈(演:大葉健二)は、宇宙犯罪組織マクーのベム怪獣や獣星人ダブルマンと戦うときには、銀色のコンバットスーツをわずか0.05秒という驚異的な速さで「蒸着」する。超アップ仕様のギャバン・コンバットスーツにはメタリックな蒸着メッキが施され、光を反射して全身がギラギラと輝く姿はまさに「新時代のヒーロー」を感じさせる強いインパクトがあった。

『宇宙刑事シャリバン』(1983年)

『宇宙刑事ギャバン』は好評のうちに1年間の放送を終了し、「銀河連邦警察」という魅力的な設定を活かして「ギャバンに代わって地球を守る新しい宇宙刑事」が活躍する続編が企画・製作された。それが若き宇宙刑事・伊賀電(演:渡洋史)=シャリバンと宇宙犯罪組織マドーの戦いを描く『宇宙刑事シャリバン』(1983年)である。

  • 徳間書店テレビランドカラーグラフ「宇宙刑事シャリバン」表紙(著者私物)

    徳間書店テレビランドカラーグラフ「宇宙刑事シャリバン」表紙(著者私物)

灼熱の太陽エネルギーを増幅した赤いソーラーメタル製のコンバットスーツを「赤射蒸着」するシャリバンは、燃え盛る太陽のような情熱を秘めたヒーロー像が人気となり、「宇宙刑事」への注目度をいっそう高める役割を担った。

  • 徳間書店テレビランドカラーグラフ「宇宙刑事シャリバン対宇宙刑事ギャバン」表紙(著者私物)

    徳間書店テレビランドカラーグラフ「宇宙刑事シャリバン対宇宙刑事ギャバン」表紙(著者私物)

ギャバンはマクーのドン・ホラーを倒した功績によって銀河パトロールの隊長に昇進し、頼もしい後輩のシャリバンに通信でアドバイスを送ったり、時には自ら地球に降り立ってマドーと戦ったりもした。『シャリバン』最終回は一条寺烈の「蒸着」と伊賀電の「赤射」が同一画面で行われ、コンバットスーツ姿のギャバン、シャリバンがマドーを打ち破るアクションがクライマックスを飾った。

『宇宙刑事シャイダー』(1984年)

「宇宙刑事シリーズ」3作目は前2作と趣向を変え、不思議界フーマの地球侵略を打ち破るべく訓練半ばで戦場へ送り出された若き2人の宇宙刑事の成長が描かれた。それが『宇宙刑事シャイダー』(1984年)である。

  • 徳間書店テレビランドカラーグラフ「宇宙刑事シャイダー」表紙(著者私物)

    徳間書店テレビランドカラーグラフ「宇宙刑事シャイダー」表紙(著者私物)

ギャバンの銀、シャリバンの赤に続くシャイダーのコンバットスーツの色は、さわやかな青空、澄んだ海を思わせる「青」に決定。子どもたちと接する際の朗らかな笑顔と、戦闘時のキリリとした表情が印象的なシャイダー=沢村大(演:円谷浩)は、プラズマブルーエネルギーを浴びてコンバットスーツを「焼結」し、相棒の宇宙刑事アニー(演:森永奈緒美)とコンビを組んでフーマの不思議獣を迎え撃つ。未熟な2人は共に助け合いながら、地球の子どもの心をじわじわと邪悪に染めていくフーマの侵略作戦に挑む。優れた身体能力を活かしてフーマの戦闘員ミラクラーを蹴散らす、アニーの華麗なるスタント・アクションも大きな見どころとなった。

『巨獣特捜ジャスピオン』(1985年)

3年続いた「宇宙刑事シリーズ」は『シャイダー』で一区切りとなったが、3作で好評だった「宇宙的スケール感を持つヒーロー像」「メタリックな強化スーツ」「巨大メカ・ロボットを操縦」「人間の心の弱さにつけこむ悪組織」などの要素を継続しながら、新たな世界観のもとに『巨獣特捜ジャスピオン』(1985年)が作られた。

『ジャスピオン』では「巨獣(巨大怪獣)」という新たな要素が盛り込まれ、地球に巨獣帝国を築き上げようとする魔神サタンゴースとその息子・マッドギャラン(演:春田純一)の陰謀を砕くため、銀河の野生児ジャスピオン(演:黒崎輝)がメタルテックスーツを身に着けて戦う物語が繰り広げられている。

『時空戦士スピルバン』(1986年)

翌年には、故郷クリン星を滅ぼしたワーラー帝国を倒すため、長い年月をかけて地球へやってきたスピルバン(演:渡洋史)とダイアナ(演:澄川真琴)がハイテククリスタルスーツを「結晶」する、男女ヒーローの激闘を描いた『時空戦士スピルバン』(1986年)が生み出された。これ以降も、金属質の強化スーツ、または装甲に身を包んだヒーローたちが巨大な悪と戦うヒーローの物語が作られ、これらの作品群には現在「メタルヒーロー」シリーズという総称が与えられている。

メタルヒーローの各作品タイトル

以下、メタルヒーローの各作品タイトルをご紹介しよう。

  • 『超人機メタルダー』(1987年)
  • 『世界忍者戦ジライヤ』(1988年)
  • 『機動刑事ジバン』(1989年)
  • 『特警ウインスペクター』(1990年)
  • 『特救指令ソルブレイン』(1991年)
  • 『特捜エクシードラフト』(1992年)
  • 『特捜ロボ ジャンパーソン』(1993年)
  • 『ブルースワット』(1994年)
  • 『重甲ビーファイター』(1995年)
  • 『ビーファイターカブト』(1996年)

そして、ロボットによるホームコメディーにヒーロー風味を加えた『ビーロボ カブタック』(1997年)、『テツワン探偵ロボタック』(1998年)も「メタルヒーロー」シリーズに数えられる。

東映「赤いヒーロー」の系譜

今回の発表から、【PROJECT R.E.D.】では今後「赤いヒーロー」というヒーローコンセプトを重視していくことがうかがえる。スーパー戦隊の歴代レッド戦士たちや『仮面ライダーZX』(1982年/特番1984年)、『仮面ライダー龍騎』(2002年)など、これまでの東映ヒーローには多くの「赤いヒーロー」が登場してきた。やはり赤は熱血の色ということで、正義の魂を燃やして悪と戦うヒーローにふさわしいカラーだと断言することができよう。将来的な【PROJECT R.E.D.】の発展に思いをはせつつ、ここでは東映が作り出してきた歴代「赤いヒーロー」たち(仮面ライダー、スーパー戦隊、コメディキャラクターは除く)のことをふりかえってみたい。

『仮面の忍者 赤影』(1967年)

まだモノクロ放送の番組が多かった昭和40年代、やがてカラー放送の時代が来るのを見越して関西テレビと東映が製作したのが、痛快忍者アクションドラマ『仮面の忍者 赤影』(1967年)である。

  • 東映ビデオ「仮面の忍者 赤影」Blu-rayボーナスディスクジャケット(著者私物)

    東映ビデオ「仮面の忍者 赤影」Blu-rayボーナスディスクジャケット(著者私物)

赤影、青影、白影の飛騨忍者トリオが、天下を揺るがす奇怪な忍者集団を相手に奇想天外な戦いを行う本作では、キラリと光る涼しい目が魅力の赤影が、スマートで頼りがいのあるヒーロー像を打ち出した。キチンと整った髪型と、鮮やかな仮面の「赤」が強い印象を残している。

ちなみに、同時期放送されていた東映特撮ヒーロー『キャプテンウルトラ』(1967年)の主人公・キャプテンこと本郷武彦がシュピーゲル号で出動するときのユニフォームも、鮮やかな「赤」であった。

『宇宙鉄人キョーダイン』(1976年)

地球征服を狙うダダ星ロボット軍と戦うため、同じくダダ星からやってきた兄弟ロボットの活躍を描く『宇宙鉄人キョーダイン』(1976年)。兄スカイゼルは赤、弟グランゼルは青とはっきり色分けされ、兄弟のコンビネーションが強調されている。70年代の「変身ブーム」時期には、『変身忍者 嵐』(1972年)の嵐や、『ロボット刑事』(1973年)のロボット刑事K(ブローアップ時)のように、「赤」のボディカラーが印象的なヒーローの姿が見られた。

  • ファンファニー「宇宙鉄人キョーダイン」レコードジャケット裏(著者私物)

    ファンファニー「宇宙鉄人キョーダイン」レコードジャケット裏(著者私物)

『ザ・カゲスター』(1976年)

東映特撮ヒーロー群雄割拠の時代・1976年に登場した、人間の影から生まれる奇抜なヒーロー、カゲスターとベルスターの活躍を描く『ザ・カゲスター』(1976年)。スターマークをあしらった、派手なマントをひるがえすカゲスターは顔、プロテクター、ボディを赤でコーディネイト。同期の『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年)のアカレンジャーのシンプルさとは対照的な、目力の強いインパクト抜群のレッドヒーローとなった。

  • 朝日ソノラマ「ザ・カゲスター」レコードジャケット(著者私物)

    朝日ソノラマ「ザ・カゲスター」レコードジャケット(著者私物)

『忍者キャプター』(1976年)

『忍者キャプター』(1976年)は同じ時期に放送中だった『秘密戦隊ゴレンジャー』とコンセプトを同じとする集団ヒーロー作品だが、正義と悪の忍者が激突する「時代劇」の風味をそのまま現代に移し替えた、当時としても少しレトロな味わいを感じさせる独自性があった。チーフと呼ばれる火忍キャプター7=出雲大介はその名のとおり火を使った忍法を得意とし、イメージカラーはもちろん「赤」である。

  • 東映ビデオ「忍者キャプター」DVDジャケット(著者私物)

    東映ビデオ「忍者キャプター」DVDジャケット(著者私物)

『超神ビビューン』(1976年)

『アクマイザー3』(1975年)の続編『超神ビビューン』(1976年)は、ザビタン、ガブラ、イビルの魂を受け継いだ3人の青年が神を超えた存在=超神(ビビューン、ズシーン、バシャーン)となり、人間を苦しめる悪い妖怪を退治するストーリー。ザビタンは黒をベースにしたボディに赤い「目」と「プロテクター」が印象的だったが、彼の魂を宿したビビューンは真赤なボディに透明感のあるパーツを備えた、シャープなデザイン・造型が特徴である。

  • 東映ビデオ「超神ビビューン」DVDジャケット(著者私物)

    東映ビデオ「超神ビビューン」DVDジャケット(著者私物)

『快傑ズバット』(1977年)

『快傑ズバット』(1977年)は、何者かに殺害された親友の科学者・飛鳥五郎の仇をうつため、さすらいの旅に出る私立探偵・早川健(演:宮内洋)の激闘を描いた痛快アクションドラマ。飛鳥の遺した「強化服」と「宇宙探検用万能車」の研究を受け継いだ早川は、執念で「ズバットスーツ」と「ズバッカー」を完成させ、快傑ズバットと名乗る。

  • コロムビア「快傑ズバット」CDジャケット(著者私物)

    コロムビア「快傑ズバット」CDジャケット(著者私物)

パターンの美学を追求した本作では、ユニークな殺人テクニックを誇る殺し屋用心棒と早川健が技を競う「日本一対決」が注目を集めた。そんな早川の力をさらに増幅してくれるズバットスーツだが、活動限界の5分を過ぎるとスーツ自体が大爆発する危険をはらんでいる。悪を憎み、親友の復讐を果たそうとする早川の怒りを象徴するかのような赤いスーツが鮮烈な印象を残した。

「赤い」ボディカラーを持つヒーローたち

「メタルヒーロー」シリーズのヒーローたち(センターに立つメインキャラクター)にも「赤い」ボディカラーを持つ者が存在する。

『世界忍者戦ジライヤ』(1988年)では赤いジライヤスーツを着た山地闘破が「磁雷矢」と名乗り、腕自慢の世界忍者たちと技を競いあう。犯罪捜査と救急活動が同時に行える警視庁特別救急警察隊『特警ウインスペクター』(1990年)のファイヤーは、隊長・香川竜馬がクラステクターを「着化」した姿。彼の専用パトカー「ウインスコード」も赤い「ファイヤースコード」に着化する。

  • 東映ビデオ「世界忍者戦ジライヤ」DVDジャケット(著者私物)

    東映ビデオ「世界忍者戦ジライヤ」DVDジャケット(著者私物)

  • 小学館「特警ウインスペクター」絵本表紙(著者私物)

    小学館「特警ウインスペクター」絵本表紙(著者私物)

ウインスペクター、ソルブレインの同一線上にある特別救急捜査隊『特捜エクシードラフト』(1992年)では、叶隼人隊長が赤いトライジャケットを「実装」し、ドラフトレッダーとなって活躍する。後にバトルジャケットが開発され、新たなるレッダー「シンクレッダー」にパワーアップした。『ビーロボ カブタック』(1997年)の主役ロボ・カブタックは、丸っこい愛嬌満点のノーマルモードから、スマートでカッコいいスーパモードへチェンジするのが大きな特徴。仲間のクワジーロやライバルのコブランダーたちも、ノーマルからスーパーへチェンジすることが可能。

  • 徳間書店テレビランドカラーグラフスペシャル「特捜エクシードラフト」表紙(著者私物)

    徳間書店テレビランドカラーグラフスペシャル「特捜エクシードラフト」表紙(著者私物)

  • 講談社テレビマガジングレート百科「ビーロボ カブタックひみつ大図鑑」表紙(著者私物)

    講談社テレビマガジングレート百科「ビーロボ カブタックひみつ大図鑑」表紙(著者私物)

『テツワン探偵ロボタック』(1998年)のロボタックは、ジシャックチェンジによってノーマルモードからスペシャルモードへとチェンジ。カブタックもロボタックも、少年との燃える友情を感じさせる赤いボディが印象的である。

他にも東映ヒーローの「赤」の戦士といえば、『宇宙からのメッセージ銀河大戦』(1978年)のリュウ=流れ星の戦闘スーツや、『兄弟拳バイクロッサー』(1985年)のバイクロッサー・ケンなども確認できる。これらの歴代「赤いヒーロー」たちの勇敢な活躍に負けないような戦士が、これから始まる【PROJECT R.E.D.】シリーズから生まれるのだろうか。その全貌はまだ明らかにはなっていないが、東映特撮ヒーローファンの心を躍らせる新ヒーローの活躍に、大いなる期待を込めたい。