俳優の尾野真千子が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、23日に放送される「私の父のなれのはて2~全てを失った男の最期~」。前作が話題を呼んだ、フィリピンで暮らす日本人男性・平山さんのその後を追った作品だ。
異国の地で新たな家族に支えられながら、最期まで笑顔を見せ続けた平山さん。その姿を見届けた尾野は「孤独ではなく幸せに死ねてよかったなと思いました」と語る。“なれのはて”という言葉の先に見えた、ひとりの男の数奇な人生。彼女が見つめた、“なれのはてのなれのはて“とは――。
手術をすれば回復の見込みはあったが…
2025年夏、日本に帰ることもできずフィリピンで生きる平山さん(75)が倒れたと、家族から連絡が入った。ディレクターが現地に駆けつけると、平山さんは救急搬送された病院のベッドで横になっていた。
2004年に知人のもうけ話に乗り、妻子を日本に残してフィリピンへ渡った平山さん。しかし、知人にだまされて所持金を全て失い、日本へ戻るに戻れなくなった。その後はマニラで金も家もない流転の暮らし。現地で出会った女性に救われて内縁関係となり、娘・マリコさんも生まれた。
屋台を引いて生計を立てながら“第二の人生”を過ごしていたが、2023年に妻・テスさんが急逝。そして、平山さんも冠動脈血栓症で倒れる事態になった。手術をすれば回復の見込みがあるが、手術代どころか入院費用すら払えず、家族に抱きかかえられて退院するほかなかった。
もはや起き上がることすらままならない平山さんを、テスさんの前夫の娘・プリンセスさんとマリコさんが懸命に介護する日々。そんな中、平山さんは手術に望みをかけ、日本で暮らす実の娘や、資産家の知人に手術代を工面してほしいと電話をかけるのだが…。
「日本って意外と寂しい国だったんだ」
“なれのはて”という重い言葉の奥に、切なくもどこか温かい空気が漂っていた今回の作品。ナレーション収録を終えたばかりの尾野は、その理由についてこう分析する。
「なんでしょうねぇ…。不思議ですよね。本当に。でも、これも一重に、平山さんのあのお人柄あってのことなんでしょうね。大変なことがあっても、3秒経ったらもうそれまでの苦労をすべて忘れてしまうような人(笑)。見ていて、救われる人でした」
ナレーションの中で特に印象的だったのが、「家族に見守ってもらえる平山さんは、ある意味で、幸せなのかもしれません」という一節。尾野もその言葉を噛みしめる。
「日本への帰国がかなわず、一見寂しそうにも見えるけど、平山さんはフィリピンの家族や、『ザ・ノンフィクション』のディレクターという親友にも出会えた。“ありがとう”と言ってくれる人たちに囲まれて、平山さんは本当に幸せな人だったと思います。もし日本なら孤独死していたかも…といった話もありましたが、同じような境遇の人たちが助け合って生きているフィリピンでは、孤独死って少ないのかもしれません。そう考えると、日本って意外と寂しい国だったんだ…って、気づいてしまいました」

