
プロ野球の世界は夢をつかむ最高の舞台だが、現実の厳しさは想像を絶する。球団の未来を託され、ファンの期待を一身に背負いながらも、重圧やけがの影響で非情な通告を受ける選手も少なくない。今回は、入団1年目で戦力外通告を受けた選手を取り上げる。(文・シモ)
乙坂智
[caption id="attachment_225948" align="alignnone" width="530"] 読売ジャイアンツの乙坂智(写真:産経新聞社)[/caption]
・投打:右投左打
・身長/体重:183cm/83kg
・生年月日:1994年1月6日
・経歴:横浜高
・ドラフト:2011年ドラフト5位(横浜)
乙坂智は今季途中に読売ジャイアンツにテスト入団したが、1年足らずで戦力外通告を受けた。
横浜高時代に春夏の甲子園に出場し、勝負強い打撃で注目された乙坂。その後、2011年ドラフト5位で横浜ベイスターズ(現:DeNA)に入団した。
プロ3年目の2014年に初打席初本塁打を放つと、翌2015年は52試合の出場で打率.226、3本塁打、10打点をマーク。
プロ8年目の2019年には、97試合に出場して打率.245、2本塁打、17打点とキャリアハイの成績を残した。
しかし、2021年は17試合の出場で打率.211の成績にとどまると、5月28日に一軍登録抹消。同年オフに戦力外通告を受けた。
その後は、メキシカンリーグ、アメリカの独立リーグ、今季はシアトル・マリナーズとマイナー契約を結ぶなど活躍の場を求めたが、定着には至らず。
新天地を求める中、今季7月11日に巨人の入団テストを受けて入団。だが、出場機会に恵まれなかった。
8月9日には地元・横浜でNPB復帰後初安打を放つも、5試合の一軍出場にとどまった。10月2日に戦力外通告を受け、入団からわずか3カ月ほどで退団という結末を迎えた。
宮澤太成
[caption id="attachment_239758" align="alignnone" width="530"] 埼玉西武ライオンズの宮澤太成(写真:産経新聞社)[/caption]
・投打:右投右打
・身長/体重:185cm/95kg
・生年月日:1999年4月15日
・経歴:長野高 - 北海道大 - 四国・徳島
・ドラフト:2023年ドラフト5位(西武)
最速155キロの直球と落差の大きいフォークが武器の宮澤太成。プロ1年目で戦力外通告を受けたが、昨オフに育成契約を結んでいる。
北海道大初のプロ野球選手として注目された宮澤は、ルーキーイヤーの昨季、二軍戦で12試合に登板。防御率3.60の成績をマークした。
しかし、投球回15に対して13与四死球と不安定なところを見せ、昨季は一軍登録を勝ち取れなかった。
徳島インディゴソックス時代から、速球には目を見張るものがあったが、プロ入り後も制球力に課題を残していた宮澤。昨季10月28日には、プロ1年目にして戦力外通告を受けた。
その後の宮澤は、球団から育成契約を結び、今季に挑むことになった。
育成契約となって迎えた今季は、二軍で36試合に登板して7勝3敗、防御率2.48の成績を残し、成長の跡を見せた。
課題の制球も、昨季の与四死球率7.80から今季は1.80と大きく改善しているのも注目すべき点である。
着実に課題を改善して、進化しつづけている宮澤。来季は育成から這い上がって、一軍の舞台で活躍する姿が見られるだろうか。
佐藤龍世
[caption id="attachment_239760" align="alignnone" width="530"] 中日ドラゴンズの佐藤龍世(写真:産経新聞社)[/caption]
・投打:右投右打
・身長/体重:174cm/85kg
・生年月日:1997年1月15日
・経歴:北海高 - 富士大
・ドラフト:2018年ドラフト7位(西武)
佐藤龍世は、中日ドラゴンズに移籍した今季、戦力外通告を受けた。
富士大では3年春に首位打者と本塁打王、同年秋に打点王を獲得。2018年ドラフト会議で、埼玉西武ライオンズから7位指名を受けた。
ルーキーイヤーから一軍の舞台を経験し、同年は52試合に出場して打率.220、2本塁打、7打点をマーク。首脳陣からの期待も上々であった。
しかし、翌2020年に不祥事による出場停止処分を受けると低迷。プロ3年目の2021年途中に、北海道日本ハムファイターズに移籍した。
移籍1年目は、40試合の出場で打率.219、6打点。翌2022年には37試合の出場で打率.115、1本塁打、4打点と結果を残せず、2023年から西武に復帰した。
すると、復帰2年目の昨季は93試合に出場して打率.244、7本塁打、34打点とキャリアハイの成績をマーク。
飛躍を期して迎えた今季は、二軍で打率.324、4本塁打、16打点の成績を残すも、シーズン途中に中日に移籍する。
ところが、新天地では一軍で23試合に出場して打率.197、3打点の成績にとどまり、10月9日に戦力外通告を受けた。
勝負強さとパンチ力を兼ね備える佐藤の打撃を評価する、新たな球団は現われるだろうか。
自慢の長打力を発揮できずにチームを離れることとなったが、今後の動向に注目したい。
櫻井周斗
[caption id="attachment_239759" align="alignnone" width="530"] 楽天時代の櫻井周斗(写真:産経新聞社)[/caption]
・投打:左投左打
・身長/体重:178cm/86kg
・生年月日:1999年6月25日
・経歴:日大三高
・ドラフト:2017年ドラフト5位(DeNA)
櫻井周斗は、東北楽天ゴールデンイーグルスへの移籍初年度に戦力外通告を受けた。
日大三高時代に、早稲田実の清宮幸太郎(現・日本ハム)から5打席連続三振をマーク。”清宮キラー”として注目され、2017年ドラフト5位で横浜DeNAベイスターズに入団した。
プロ2年目に14試合に登板すると、プロ4年目の2021年には30試合に登板して防御率3.07、1ホールドとキャリアハイの成績をマークする。
ところが、翌2022年は、左肘の手術を受けたことをきっかけに出遅れ。一軍登板なしに終わると、同年オフに育成契約を結ぶこととなった。
翌2023年には支配下登録を勝ち取るも、2年連続で一軍登板なし。同年オフに現役ドラフトで、楽天に移籍する。
移籍1年目は一軍で8試合に登板するが、防御率8.44の成績と振るわず。わずか1年での戦力外となってしまった。
NPB通算55試合の登板で0勝1敗、2ホールド、防御率4.64の成績に終わった櫻井。
そんな櫻井に、転機が訪れる。
今季3月17日に台湾プロ野球・台鋼ホークスのテストを受けて合格すると、先発を任され、8月17日には初登板・初勝利をマークしたのである。
日本で掴めなかった”初勝利”を海の向こうで手にした櫻井が、今も腕を振り続けている姿は、私たちに勇気を与えてくれる。
本田仁海
[caption id="attachment_239756" align="alignnone" width="530"] オリックス・バファローズの本田仁海(写真:産経新聞社)[/caption]
・投打:右投左打
・身長/体重:181cm/74kg
・生年月日:1999年7月27日
・経歴:星槎国際湘南高
・ドラフト:2017年ドラフト4位(オリックス)
本田仁海は、オリックス・バファローズで戦力外通告を2度経験している。
ルーキーイヤーの2018年に右肘の疲労骨折により、1年間治療に費やした本田。同年オフに戦力外通告を受け、育成契約を結んだ。
翌2019年はリハビリに専念するも、プロ3年目の2020年に一軍初登板を果たす。すると、プロ5年目の2022年に一気に飛躍した。
同年は自己最多となる42試合の登板で、16ホールドポイント(2勝3敗2セーブ、14ホールド)、防御率3.50でキャリアハイの成績をマークしたのである。
翌2023年には防御率6.34ながらも、28試合の登板で9ホールドポイント(2勝1敗7ホールド)の成績。
プロ7年目の昨季は、23試合の登板で11ホールドポイント(2勝0敗9ホールド)、防御率2.86と好成績を残す。しかし、後半戦は調子を落とし、不満が残る結果となった。
迎えたプロ8年目の今季は、二軍戦で13試合に登板し、1勝0敗、防御率6.92。一軍登板はなく、シーズン終了後に右肘を手術を決断する。
そして、10月2日に2度目の戦力外通告を受けた。
入団年から、幾度も這い上がってきた本田。最速150超の直球と鋭い変化球は、とにかく魅力的だ。
その不屈の精神で、再び一軍の舞台で活躍する本田の姿を見たい。
古賀輝希
[caption id="attachment_239757" align="alignnone" width="530"] 埼玉西武ライオンズの古賀輝希(写真:産経新聞社)[/caption]
・投打:右投左打
・身長/体重:181cm/88kg
・生年月日:2000年8月25日
・経歴:佐賀商 - 日本経済大 - 千曲川硬式野球クラブ
・ドラフト:2024年ドラフト7位(西武)
長野県の千曲川硬式野球クラブを経て、埼玉西武ライオンズに入団するという異色の経歴を持つ古賀輝希だが、わずか1年での戦力外通告となった。
広角に打ち分ける打撃技術とパワーを武器に活躍を期待された古賀。
ルーキーイヤーの今季は、二軍の開幕戦に「8番・三塁」で出場するも打撃の荒さが目立ち、4月5日の試合を最後に三軍が主戦場に。しばらくして、右脇腹痛も発症してしまう。
そんな中、シーズン終了間際の9月27日の二軍戦に出場した古賀は、本人も「完璧だった」という打撃で、公式戦初本塁打をマーク。変化球にうまくタイミングを合わせた、目の覚めるような当たりだった。
しかし、そのわずか3日後の10月1日に戦力外通告。
二軍戦での成績は、16試合に出場して打率.159(44打数7安打)、1本塁打、3打点。低調な数字とはいえ、ルーキーイヤーでの戦力外通告は、余りにも早すぎると言わざるを得ない。
ところが、同5日に発表されたフェニックス・リーグの参加メンバーには、古賀の名前が入っていた。来季は、育成選手として再契約する可能性がありそうだ。
【了】