昨年の『M-1グランプリ』決勝進出は、彼らにとって大きな追い風となった。町田は、観客の反応の変化を実感しているという。「結構いろんなところでネタをやらせてもらうようになって、『見てたよ』という感じのお客さんも増えました。『わあ!』みたいになってくれる、今まででは考えられなかった反応をいただくこともあって、逆にスベれないなと。毎回気が引き締まる感じでやっています」。
佐々木も「テレビの仕事なども、今までと比べたら段違いに増えました。以前はただ面白いネタを作ってライブでやる、という仕事内容でしたが、今はこれまでとはまた違う脳みそを使う機会が増えたなと感じます」と仕事内容の変化を口にする。多忙を極める中でも、「どこかでずっと『M-1』のことも考えなければいけない。使う脳みそが増えたという感じですね」と、年末の大一番へ向けて思考を巡らせている。ネタ作りの時間も、以前の「有り余るほどの時間」から「合間など限られた時間」へと変化したが、佐々木の表情に焦りはない。
激動の1年を振り返り、町田は「本当に一瞬でした。でも、割と楽しかったかな。もっとしんどいのかなと思っていましたが、精神的には満たされていました。総合的に見ると楽しかったです」と充実感をにじませる。対照的に佐々木は「僕は単独ライブとかがあったので、ネタを作っている時はしんどかったですね」と本音を漏らしつつも、「それはネタを作ってないやつは楽しいだろうけど(笑)」と相方へチクリ。それでも、「頑張れば結果に繋がるという面では、やりがいを感じました」と、確かな成長を実感していた。
いよいよ今年も『M-1グランプリ』の季節がやってきた。順当に準々決勝進出を決めたが、年末に向けての意気込みを問うと、町田は力強く宣言した。「はい。もう、期待通りに勝ちますよ、ということです。優勝目指します」。
10年という節目を越え、彼らはどこへ向かうのか。20年後、30年後のコンビ像を尋ねると、町田は「10年後はもう、普通に大スターでやっています」と即答。その隣で佐々木は「町田よりはお金を稼いでいたいですね。町田より1円でも多く稼いでいる、という形です。ムカつくんですよ、同じ給料もらっているの」と再度ネタ作りをすべて佐々木が担っていることへ皮肉も。すかさず町田が「いえ、僕も頑張りますよ、それは」と応戦する。
最後までコンビならではの軽妙な掛け合いを見せてくれたエバース。年末、大きな栄冠を手にして、19(佐々木):1(町田)という「ギャラの取り分」について楽しそうに語る姿を期待したい。
佐々木隆史(1992年11月6日生まれ、宮城県出身)と町田和樹(1992年4月24日生まれ、神奈川県出身)によるお笑いコンビ。2016年結成。2024年に『NHK新人お笑い大賞』で優勝し、『ABCお笑いグランプリ』、『ツギクル芸人グランプリ』、そして『M-1グランプリ』でも決勝に進出。2025年に『ABCお笑いグランプリ』で優勝した。











