西武からドラフト3位指名を受けた秋山俊(写真:産経新聞社)

 今秋のドラフト会議で、埼玉西武ライオンズは中京大の外野手・秋山俊を3位で指名した。秋山幸二(現:野球解説者)秋山翔吾(現:広島)に続く「3代目秋山」が誕生しようとしている。再建期にあるチームにとって、この新たな”秋山”が復活の狼煙を上げる存在となるのだろうか(文・羽中田)

 

新たな”秋山伝説”の幕開け

 

 秋山幸二、秋山翔吾、そして秋山俊――偶然にも、3人はいずれも4月生まれ。プロ野球開幕直後の春、グラウンドに風が吹き始める季節にこの世に生を受けている。

 

 冬を超え、春風とともに歩み出す。そんな共通点までもが、新たな“秋山伝説”の幕開けを予感させる。

 

 

 「秋山」という名前は、西武ファンにとって特別な響きを持つ。その象徴は、1980年代後半から西武の黄金期を支えた秋山幸二だ。走攻守三拍子揃ったスーパースターとして、豪快なフルスイングとダイナミックなホームランパフォーマンスでファンを魅了した。

 

 その後、西武の黄金期まっただ中に生まれた秋山翔吾がその魂を受け継ぎ、泥臭さと緻密さを兼ね備えた“現代の職人打者”として山賊打線をけん引した。

 

 秋山翔吾は横浜創学館高時代に指名漏れを経験し、青森県の八戸大へ進学。1年春からレギュラーに定着し、4年春のシーズンには首位打者を獲得した。

 

 その成長ぶりはプロスカウトの目に留まり、ドラフト3位で西武に入団。プロ1年目の開幕戦では、球団新人外野手としては岡村隆則氏(現:野球指導者)以来30年ぶりとなる開幕スタメンを勝ち取った。

 

 2015年にはNPB記録を更新するシーズン216安打を放つなど、西武在籍時に4度の最多安打を受賞。2020年からはMLBのシンシナティ・レッズでプレーし、2022年6月にNPB復帰すると、同年8月7日に日米通算1500安打を記録した。

 

”3代目の秋山”が誕生へ

 

 そして迎えた2025年秋。西武に「3代目秋山」が誕生しようとしている。

 

 今秋ドラフト3位で指名された秋山俊は、高校生活を宮城の強豪・仙台育英高で過ごした。1年秋からベンチ入りを果たすと、3年春には選抜高校野球大会に出場し、ベスト8入りを果たした。

 

 しかし、充実の3年間を送りプロ志望届を出すも、指名漏れを経験。夢への扉は一度は閉ざされた。

 

 

 それでも、中京大に進学後は持ち味のバットコントロールに加えて、長打力が増加。1年春からリーグ戦に出場すると、ベストナイン、打点王、本塁打王を複数回受賞するなど、強打者に成長した。

 

 今春のリーグ戦では2度目となる本塁打王と打点王に輝き、プロのスカウトからも注目される存在に。自身2度目となった10月23日のドラフト会議で、ついにNPBへの扉を開いた。

 

 指名漏れを経験した秋山俊だが、同じく指名漏れを経験した秋山翔吾がプロ野球の世界に飛び込んでスター選手へ成長した。先代にこれ以上ないお手本がいる。これほど恵まれた境遇はそう多くはないはずだ。

 

 今、再建期にある西武にとって、秋山俊という新たな「秋山」の存在は希望の象徴である。秋山俊は打撃技術はもちろん、長打力、状況判断にも定評がある。苦境にあるチームを再び常勝軍団へ導くためには、彼のように“結果”で魅せる若き力が欠かせない。

 

 春風に背中を押され、”3代目秋山”が2019年以来のリーグ優勝、2008年以来の日本一へ導くことを期待したい。

 

 ぶちかませ大空へ。

 全てを超えろ、秋山俊。

 

 

【了】