星野リゾートは10月22日、12月11日に開業する「リゾナーレ下関」(山口県下関市)が「ZEB Ready認証」と「CASBEE建築評価認証」の最高Sランクを国内ホテルで初めて同時取得したことを発表した。
2つの環境認証を国内ホテルで初めて同時取得
「BELS(Building-Housing Energy-efficiency Labeling System/建築物省エネルギー性能表示制度)」は、建築物の一次エネルギー消費性能を第三者機関が評価し、結果を表示する制度となる。この制度の中で、基準建物と比較して一次エネルギー消費量を50%以上削減した建物が「ZEB Ready」として位置づけられる。同ホテルは、複数の省エネ技術を組み合わせることで、基準値に対して53%の一次エネルギー消費量削減を達成し、ホテル単一用途(10,000㎡以上/新築)では、日本で初めてZEB Ready認証を取得した。
「CASBEE(Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency/建築環境総合性能評価システム)」は、建築物の環境性能を総合的に評価・認証する制度で、エネルギー効率や環境負荷の低減に加え、室内の快適性や景観などの環境品質を含めたバランスを評価し、その結果を5段階(S・A・B+・B-・C)で格付けする。同ホテルは、環境負荷を抑えながら高い快適性と環境品質を両立した建物として、最高評価の「Sランク」を取得した。
また、同施設はホテル業界の脱炭素化を推進するリーディングプロジェクトとして、国土交通省の令和5年度「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」にも採択されている。
省エネ設計により一次エネルギー消費量を基準比53%削減
同ホテルでは、複数の省エネ技術を組み合わせることで、基準値に対して一次エネルギー消費量を53%削減した。宿泊者が不在時には換気量を低減し、空調設定温度を自動で緩和する仕組みを採用。先進的な制御技術、設備容量の適正化、高効率設備の導入などを組み合わせることで、ZEB Ready認証に求められる基準を満たす省エネ性能を実現している。
地域特性を活かした環境配慮型リゾート
同ホテルでは、ZEB Ready認証の評価対象外となる要素においても、地域資源や建物特性を活用し、環境負荷の低減や資源循環を図る取り組みを行っている。以下の技術を導入することで、設計段階から運用段階まで多面的に環境配慮を進めている。
客室排水熱をプール昇温エネルギーに有効利用
同ホテルでは、通常はそのまま捨てられてしまう客室のユニットバスや洗面台から出る雑排水の未利用熱に着目。客室の雑排水を貯留し、未利用エネルギーである客室排水熱を温水プールの水温維持に有効利用することで、一般的なボイラー方式と比較すると、プール昇温に必要なエネルギーを年間で約38%削減できる試算結果となっている。このように、日常的に発生する排水熱を効率的に利用することで、プールの運用段階におけるエネルギー使用量の削減を目指している。
日差しを跳ね返す膜ひさしで快適な屋外空間を形成
1階の屋根やエントランスには、日差しを跳ね返す白くて薄い膜ひさしを採用。直射日光を和らげ、夏季の日中でも屋根下の温度上昇を抑えることで、利用者が快適に過ごせる屋外空間を形成している。また、膜ひさしは一般的な金属製ひさしに比べて軽量であり、資材の調達から製造、施工、解体・廃棄に至るまでの全体で排出されるCO2排出量、約258tの削減につながっている。運用段階だけでなく、建設段階におけるCO2排出量削減の取り組みも積極的に行われている。
屋上の緑化で快適な温度の維持と景観形成
1階屋上には植栽を設け、日射による蓄熱を抑えることで、建物内部の温熱環境を快適に保つ設計としている。緑化された「なみなみテラス」では、自然を感じながら、時間とともに移り変わる関門海峡の景色を楽しむことができる。
関門海峡の海水を利用したプール滅菌システム
ホテルの目の前にある関門海峡の海水を電気分解し、生成した電解次亜水をプール滅菌に利用している。電解次亜水生成装置に食塩を投入する代わりに、海水を利用することで、省資源につながる。また、通常のプールで使用されている次亜塩素酸ナトリウムによる滅菌方法と比較し、電解次亜水で滅菌することで、塩素臭を低減できる。このように、海水を利用することで、省資源と利用者の快適性の向上の両立を図っている。
関門海峡の海水をインフィニティプールに使用
目の前に広がる関門海峡の海水を一部利用したインフィニティプールは、水面が海や空と一体となるように設計されている。護岸が多く、日常の中で海に触れる機会が限られている下関の立地において、海を眺めながらその海水に触れられるこのプールは、地域ならではの自然体験を提供する。かつて塩づくりが盛んだった土地の歴史にも通じる「海水との上手な関わり方」を、現代のリゾートとして再解釈した。
SDGsを軸に進めるサステナビリティ経営
星野リゾートは、経済価値と社会価値の両立を目指すCSV経営を重視している。SDGsをCSV経営を推進するためのフレームワークとして捉え、さまざまなサステナビリティ推進の取り組みを実施している。同ホテルにおける省エネルギー化や環境配慮技術の導入は、SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」に資する取り組みとなっている。









