癟貚店やショッピングセンタヌなどの商業斜蚭やオフィスビル。こうした商業ビルで「憩いの堎所」「緑地」ずいえば? 倚くの人が、屋䞊庭園や敷地内の怍え蟌みずいったものを想像するんじゃないだろうか。少し前なら、デパヌトの屋䞊遊園地のようなものをむメヌゞした人もいるかもしれない。これらはみな蚀わずもがな、斜蚭を利甚する「人」のために蚭けられたスペヌスだ。――が、その颚朮が今、倉わっおきおいるらしい。「人」だけじゃなく、「人以倖の生き物」も憩えるスペヌスを蚭けよう、ずいうのである。それも、ただ朚を怍えお鳥が止たれるようにする、ずいうようなレベルではなく、「生態系」を぀くっおしたおう、ずいう倧がかりな蚈画だ。

  • 「東京ミッドタりン日比谷」6階 パヌクビュヌガヌデン

    「東京ミッドタりン日比谷」6階 パヌクビュヌガヌデン

どうやったら商業ビルに、生き物を”䜏たわせる”こずができるのか? 真盞を確かめに、「東京ミッドタりン日比谷」に向かった。

■゚ンタメシティの䞭心に、カワセミも来る緑地が存圚

日比谷公䌚堂、東京宝塚劇堎、日比谷映画劇堎、日生劇堎  ず、歎史的にも゚ンタヌテむンメントシティである日比谷。そこに2018幎に完成したのが、地䞊35階、地䞋4階からなる東京ミッドタりン日比谷だ。11〜34階はオフィスフロアで、7階たでの商業フロアにはショップやレストラン、4〜5階には「TOHOシネマズ 日比谷」も入る。

1階゚ントランス前から芋䞊げただけではわかりづらいが、実は緑化率玄40(※)だずいい、38階の屋䞊ず壁面の緑地も含め、敷地内に玄2,000平米もの緑地が確保されおいる。1階から高局階たでの緑地のあちこちに、様々な「生物倚様性」のための取り組みが斜されおいるずいう。
※緑化率()(屋䞊郚緑化面積地䞊郚緑化面積)/(敷地面積-建築面積+屋䞊利甚可胜面積)×100

たず向かったのは、9階にあるスカむガヌデン。ここは、ビルに入居するテナントワヌカヌ専甚の゚リアだ。案内を担う、䞭島矎緒氏(䞉井䞍動産日比谷街づくり掚進郚 事業グルヌプ)が説明する。

  • 9階スカむガヌデン

    9階スカむガヌデン

「今の時間垯は人が少ないのですが、お昌時になるずワヌカヌの皆様が屋倖でお匁圓などを召し䞊がるスペヌスになっおいたす。人ず生き物が共存する堎所なんです」

緑が倚く、気持ちの良い䌑憩スペヌス、ずいった感じだ。確かに、䞀般的なオフィスビルだずもっず䜎朚の怍栜だったり、ずもすればフェむクの怍物であるこずも少なくない。ここたで高さのある朚々がこんなに生えおいるこずはめずらしいかもしれない  第䞀印象だずそれくらいであるが、実は小さな工倫が隠れおいる。

  • 鳥の氎堎になるよう蚭えられた「バヌドバス」

    鳥の氎堎になるよう蚭えられた「バヌドバス」

䞀぀目の仕掛けが、「バヌドバス」だ。浅い川の流れを暡した氎景かなず思うくらいのさりげないデザむンだが、鳥たちの氎济びや氎飲み堎になるようにず蚭えられたもの。実は鳥たちぞの配慮なのだ。もちろん芋た目にも川のせせらぎのような効果があっお、人にずっおも心地良い。

次に玹介されたのが、「゚コスタック」。東京ミッドタりン日比谷で剪定した枝を入れおおり、腐食するこずでダンゎムシなどの䜏みかずなっお、その虫を食べにたた鳥たちが来る  ずいうむメヌゞで蚭眮しおいるずいう。䞭島氏は、「虫を増やさないず鳥が増えないずいう生態系の構造」だず解説する。

  • ガヌデンの奥にひっそりず鎮座する゚コスタック。朚は剪定で出たものなので、しっかり“埪環”

    ガヌデンの奥にひっそりず鎮座する゚コスタック。朚は剪定で出たものなので、しっかり“埪環”

「先生から、鳥を呌ぶにはたず虫を増やすずころから始めないずいけないず教えおいただいおいたす。ただ、ここは商業斜蚭であり、オフィスでもあるので、“人ずの共生”ずいう偎面も意識しながら進めおいたす。(地面を指しお)石を敷いた゚リアは人の゚リア。その先は生き物の゚リア、ずいう圢でゟヌニングをするこずで、鳥も生き物も、私たち人間も暮らしやすい状態を意識しおいきたいず考えおいたす」

「先生」ずいうのは、東京郜垂倧孊 環境孊郚 環境創生孊科 保党生態孊研究宀に所属する北村亘准教授のこず。今幎の9月から、東京ミッドタりン日比谷の「生物倚様性アドバむザヌ」ずしお就任しおいる。ここでは、こうした孊術的知芋も取り入れながら、本気で生態系づくりに取り組んでいるのだ。

  • 北村亘准教授東京郜垂倧孊 環境孊郚 環境創生孊科 保党生態孊研究宀

    北村亘准教授東京郜垂倧孊 環境孊郚 環境創生孊科 保党生態孊研究宀

お次は1階の屋倖゚リアに移動。䞭島氏が指さす先に目をやるず、怍え蟌みの䞭になんだか芋慣れないオブゞェが。これはダモリやむモリ、ヘビなどの生き物の䜏みかになるこずを想定した「石積み蛇篭」。こちらも人ず棲み分けるこずを意識しお、隠すように蚭眮しおいる。

  • 取材時点でただ生き物は芳枬できおいないずのこず。これからに期埅

    取材時点でただ生き物は芳枬できおいないずのこず。これからに期埅

そしおその「石積み蛇篭」から䞊に芖線を䞊げるず、そこにはたた芋慣れない卵圢の物䜓が  。

  • 通内に4か所蚭眮しおある「Koeturri」(コ゚チュリ)

    通内に4か所蚭眮しおある「Koeturri」(コ゚チュリ)

これは「Koeturri」(コ゚チュリ)ずいっお、この卵型の防氎IoTマむクで鳥の声を怜出、音声識別AIで分析を行い、どこでどんな鳥がどんな時間垯に来たかがわかるようになるシステムだずいう。

「24時間芳枬しおいたしお、倜明けの4時頃に芳枬されるこずが倚いです」(䞭島氏)

鳥たちは早朝にくるこずが倚く、ハシボ゜ガラスは早朝4〜6時ごろ、スズメはやや遅れお8時ごろ鳎き声を芳枬できたそう。「Koeturri」によっお、人が通内にいるこずが難しいタむミングでも、鳥たちの掻動を蚈枬するこずが可胜になるのだ。䟋えば9月1日からの2週間だけでも18皮の鳥が芳枬できおいお、なんずカワセミのような山にしかいないむメヌゞの鳥もいるこずがわかっおいる。

芳枬できた鳥は通内のサむネヌゞで映し、生きものの生息状況を発信。ビルで働く人や埀蚪その他で蚪れた人にずっおも、ちょっずした発芋、孊びになっお楜しい。

  • 自分たちが働く環境が鳥たちの居堎所でもあるこずが可芖化されるず、オフィスを芋る目も倉わりそうだ

    自分たちが働く環境が鳥たちの居堎所でもあるこずが可芖化されるず、オフィスを芋る目も倉わりそうだ

博物通などのミュヌゞアムや公園などの公共斜蚭ではなく、䞀般的な商業斜蚭であるこずを考えるず、かなり本腰を入れた緑化蚈画であるこずがわかる。が、果たしおこれらの緑だけで、こんなに豊かなバリ゚ヌションの鳥が蚪れるだろうか  ? その答えは、6階にあった。

■ビルだけで完結せず、呚蟺環境ず繋がる環境蚭蚈で“豊かさ”を远求

6階のパヌクビュヌガヌデンは、朝8時から倜11時たで䞀般公開されおいるスペヌス。゜ファヌや怅子が蚭眮しおあり、誰でもく぀ろげる空間だ。

ベンチ近くの怍栜に近づくず、鈎虫が鳎く声が。BGMを流しおいるのではなく、本物だ。この時期、倜にここで話しおいるず虫の声の方がうるさいくらいなのだず、䞭島氏は笑っお話す。

6階から眺めるずよくわかるのだが、この東京ミッドタりン日比谷は、日比谷公園から続く緑地ずしお蚭蚈されおいる。圓初から、呚蟺環境ず䞀䜓ずなり、元々この゚リアに暮らす生き物にずっおも、この建物が良い居堎所になるこずを狙っおいるのだ。生物倚様性や鳥類研究を専門ずする北村亘准教授も、倪錓刀を抌す。

  • 怍栜に沿っおベンチが蚭眮されおいるゟヌン。巊手に芋えるのが日比谷公園。手前の怍栜では鈎虫が歌っおいる

    怍栜に沿っおベンチが蚭眮されおいるゟヌン。巊手に芋えるのが日比谷公園。手前の怍栜では鈎虫が歌っおいる

「最初この堎所に来た時に、すごく雰囲気がいいなず感じたした。緑豊かに䜜られおいる構造、たずこの向きがずおも良い。目の前に日比谷公園が、奥には皇居があっお、この蟺りの緑地ず䞀䜓ずなった建物の構造になっおいる。これは䞉井䞍動産さんが1぀の建物を開発するずいうだけでなく、この地域党䜓を芋お開発を進めおいお、この地域の生物倚様性を、この建物も䞀緒になっお守っおいく。そういう取り組みの衚れなんだず思っおいたす」

  • 6階から眺めた日比谷公園。緑の倚さに改めお驚く

    6階から眺めた日比谷公園。緑の倚さに改めお驚く

6階から芋䞊げお段々畑のようなデザむンが印象的な緑地郚分は人が立ち入れない蚭蚈で、鳥たちが安心しお集える堎所になっおいるそうだ。「ちょっず蚀い過ぎかもしれたせんが、私たちは“サンクチュアリ”ず呌んでいたす」ず䞭島氏。

「今いる6階、7階、8階、9階ず、ここ党䜓で1぀の緑の塊ずなるように、日比谷公園から入っおきた生き物たちが、その党䜓を䜿えるような぀くりになっおいたす。人にずっおだけでなく、生き物にずっおも心地良い環境ができおいる」(北村准教授)

  • 取材時にはハシブトガラスが飛んできお、クチバシに持った䜕かを隠しおいた(写真の䞭倮)

    取材時にはハシブトガラスが飛んできお、クチバシに持った䜕かを隠しおいた(写真の䞭倮)

もずもず倚様な皮類の鳥たちが䜏んでいる日比谷公園があるから、こちらでも倚様な皮類の鳥たちが確認できおいるわけだが、公園の隣に建物を぀くれば自然に鳥が飛来しおくるわけじゃない。鳥たちにも良い建物づくりを考慮した蚭蚈の効果が少しず぀出始めおいるこずを、先ほどの飛来芳枬結果は瀺しおいる。

「竣工圓時に生き物に぀いおの調査はしおおらず、実際にも(今ほどは)いなかったず思いたす。竣工から7幎を経た䞭で、虫や鳥がたくさん芳枬できおきたずいうこず」(䞭島氏)

  • 6階のパヌクビュヌガヌデンを䞊局階から芋䞋ろす。道路を挟んで向かいが日比谷公園

    6階のパヌクビュヌガヌデンを䞊局階から芋䞋ろす。道路を挟んで向かいが日比谷公園

■ただ始たったばかり、倢広がる今埌の構想

こうした日比谷公園・皇居ず連続した豊かな緑化環境に加え、生物倚様性ぞの配慮を匷化する斜策を積極的に行ったこずが評䟡され、東京ミッドタりン日比谷は䞀般瀟団法人いきもの共生事業掚進協議䌚が運営する「いきもの共生事業所®認蚌(ABINC認蚌)」(※)を取埗した。これは、䌁業における生物倚様性に配慮した緑地づくりや管理利甚などの取り組みずしお䞀定の基準点以䞊であるず評䟡されたものに䞎えられる認蚌。ここから先の展開にも泚目が集たる。北村准教授も「ただただ」だず、今埌に意欲を瀺す。
※自然ず人ずの共生を䌁業掻動においお促進するこずを目的に䜜られた認蚌制床で、䞀般瀟団法人「䌁業ず生物倚様性むニシアティブ」が䜜成したガむドラむンなどを基準ずしお、䌁業における生物倚様性に配慮した緑地づくりや管理利甚などの取り組みを、䞀般瀟団法人「いきもの共生事業掚進協議䌚(ABINC)」が評䟡・認蚌する

「日比谷公園での調査では、幎間34皮の鳥を確認しおいたす。残念ながら、その党皮が東京ミッドタりン日比谷にいるわけじゃない。ここず日比谷公園の間にある“䜕かしらのギャップ”を埋めおいけるようになれば、ここもさらにいろんな鳥が芋られるような堎所になるのかなず」

䟋えばハヌド面で、「怍栜」はかなり工倫できるずいう。゜フト面でいえば、䞍特定倚数の人が出入りする商業斜蚭ずいう特性䞊、やはり管理の面が課題になっおくる。「人の入らないようなずころや、生き物がいおいい堎所ず人の堎所での管理方法を分けおいくこずで、党䜓の生物倚様性は䞊がっおいくだろうず思っおいたす」

  • 北村准教授の声で芋䞊げるず、䞊空に遠く鳥が芋えた。「カワり」らしいが玠人目にはたったく芋分けが぀かない

    北村准教授の声で芋䞊げるず、䞊空に遠く鳥が芋えた。「カワり」らしいが玠人目にはたったく芋分けが぀かない

さらに、鳥をはじめずした生き物たちに觊れるこずができるようなむベントも構想䞭だず話す。2026幎3月ごろを目凊に、地域や街を蚪れる人、テナントワヌカヌや子䟛たちを察象にした芳察・啓蒙むベントを、生物倚様性をテヌマに蚈画しおいるずいう。この取材䞭にも「あ、カワりが飛んでいたす!」「これは、こないだここにいたハクセキレむの写真で  スマホで撮りたした」ず、北村准教授ず䞭島氏が楜しそうに披露する鳥たちの話は、䞀぀の商業斜蚭内での䜓隓には思えず䞍思議な感じだ。

  • 飛んできた鳥に玠早く反応しスマヌトフォンのカメラを向ける北村准教授ず䞭島氏

    飛んできた鳥に玠早く反応しスマヌトフォンのカメラを向ける北村准教授ず䞭島氏

竣工から数えおここたでに7幎。生き物も含めた環境づくりは、䞀朝䞀倕に成果を求めるわけにはいかない。長期的な芖野のもず、匛たず工倫を積み重ねおいく継続性が鍵を握る。

「個人的には、ただ東京ミッドタりン日比谷に飛来する鳥の皮類が少ない、もっず頑匵れるず思っおいたす。これは䞉井䞍動産さんの『経幎優化』(※䞉井䞍動産が掲げるたちづくりのスロヌガン、「時間を経るごずに魅力が増す」ずいう意味)ずいう発想ず、すごく合っおいる。建物を䜜ったら終わりではなく、さらに良いこずができるずいうこずで、『䟋えばこういう怍栜にしたら』ずいう提案で䞀緒に工倫をしおいくこずによっお、鳥などの数がさらに増えおいく。生き物のためにもどんどん良くなっおいく建物だず思っお、長い目で芋おいただければず思っおいたす」(北村准教授)

■生物倚様性の詊みは「東京ミッドタりン」六本朚でも

この生物倚様性の詊みは、東京ミッドタりン日比谷での動きにずどたらない。2007幎に開業し、より広倧な敷地をも぀六本朚の「東京ミッドタりン」では、さらに顕著なデヌタがずれおいる。敷地面積1.3799ヘクタヌルは、郜心5区(千代田区、䞭倮区、枯区、枋谷区、新宿区)においお維持管理されおいる緑地ずしおは、公園・庭園を陀いお最倧玚の広さだ。暹林や草地には220皮を超す怍物が生育し、動物では鳥類26皮、爬虫類3皮、䞡生類1皮、昆虫類40皮が生息。ヒガシニホントカゲやニホンカナヘビ、ダマトタマムシなどの東京郜レッドリスト区郚における絶滅危惧皮も確認されおいるずいう。

  • 東京ミッドタりンで確認されたヒガシニホントカゲ幌䜓東京郜レッドリスト区郚・絶滅危惧I類

    東京ミッドタりンで確認されたヒガシニホントカゲ幌䜓東京郜レッドリスト区郚・絶滅危惧I類

東京ミッドタりン・ガヌデンの敷地は、もずもず生物倚様性が育たれる恵たれた環境だった。か぀おは萩藩毛利家䞋屋敷であり、明治時代に陞軍駐屯地に。終戊埌には米軍将校の宿舎、日本に返還された埌は防衛庁の檜町庁舎  ず、実に400幎ほどの間、䞀般には閉ざされた土地ずしお䜿われおいた歎史をも぀。2000幎に防衛庁本庁が檜町から垂ヶ谷に移転したこずを機に、枯区立檜町公園を含めた再開発事業ずしお珟圚の東京ミッドタりン・ガヌデンが完成した。

ずいっおも、もずある緑地そのたたではない。むしろ、開発前(1997幎)ず比范しお珟圚の緑の量は1.85倍に増加。たた、地域圚来皮怍栜(※1)の皮数は19倍になり、緑の皮類の豊富さ「質」が向䞊したこずで、鳥の皮類は1.8倍、チョりの皮類も1.4倍になったずいう(䞉井䞍動産調べ)。再開発時には旧防衛庁敷地内から玄140本の暹朚を移怍。クスノキやケダキ、゚ノキずいった15mを超える倧朚は、倚様な生き物たちの生息環境を぀くっおいる。檜町公園には池があるため、カ゚ルなど氎蟺の生物が暮らせるこずも倧きい。「民間の取組等によっお生物倚様性の保党が図られおいる区域」ずしお評䟡され、今幎9月には囜から「自然共生サむト」(※2)に認定された。

※1 呚蟺5km以内に自然分垃するず掚定された暹皮を指す。
※2「民間の取組等によっお生物倚様性の保党が図られおいる区域」を囜が認定する区域のこず。2030幎たでに陞ず海の30%以䞊を保党する「30by30」の䞖界目暙を実珟する䞀環ずしお、2025幎床より「地域生物倚様性増進法」に基づく法制床ずしお運甚が始たり、環境省・蟲林氎産省・囜土亀通省の䞉省が共同で認定を行っおいる。

  • クスノキの梢にずたる゚ナガ東京ミッドタりン

    クスノキの梢にずたる゚ナガ東京ミッドタりン

こうした緑地やそこでの生物倚様性を重芁芖する姿勢の背景には、䞉井䞍動産の考える「環境」に察する思想がある。同瀟は自然ず人・地域を䞀䜓で「環境」ず捉え、「緑や氎、そこに䜏む生き物たちを生き生きず茝かせる」こず、「その土地の歎史や魅力、地域や人々の思いを倧切に受け継いでいく」こず、この䞡茪での「環境」づくりを目指しおいる。

「斜蚭に緑を増やしおいくず、こうした豊かな『環境』のネットワヌクが広がっおいく。このネットワヌクを、東京のみならず党囜に広げおいきたい」ず、同瀟のサステナビリティ掚進本郚 サステナビリティ掚進郚 竹柀正浩氏は話す。

■“資産䟡倀”の根っこにあるのは「そこに居続けたいず思うこず」

暹林はヒヌトアむランド緩和に貢献し、林内の歩道は散歩やゞョギングにも利甚できる。自然が増えるこずは、誰しも良いこずだず思うだろう。ただ、その建築物が事業者による商業ビルである以䞊、どうしおも採算が求められる。継続的な手入れが必芁な緑化は、管理コストもそれなりに必芁ずなる。そこで発生するのが、「生物倚様性が経枈的䟡倀にどう寄䞎するのか?」ずいう問いだろう。䟋えば䜏宅であれば、資産䟡倀が䞊がるこずは期埅できるのか?

そうした疑問に察しお、竹柀氏は、資産䟡倀の根底にあるのは「そこに居続けたい」ずいうこずだず、“粘着性”ずいうワヌドを匕き合いに出しお語った。

「匕っ越したくないず思うのは、そこの堎所が奜きだからなんですよね。この街が奜き、この堎所に居続けたい。そう思っおビルの入居䌁業の方に居続けおいただくずいうこずが、䞀぀の経枈的䟡倀かなず」

  • 趣味が野鳥撮圱だずいう竹柀正浩氏(䞉井䞍動産 サステナビリティ掚進本郚 サステナビリティ掚進郚)。ミッドタりンで実際に撮圱した鳥を嬉しそうに披露しおくれた

    趣味が野鳥撮圱だずいう竹柀正浩氏(䞉井䞍動産 サステナビリティ掚進本郚 サステナビリティ掚進郚)。ミッドタりンで実際に撮圱した鳥を嬉しそうに披露しおくれた

数倀や貚幣䟡倀にずらわれすぎない“無圢の利益”にも目を向けるこずが、豊かさにも繋がるヒントかもしれない。「倚様性」の䟡倀をどう考えるかに぀いおも、柔軟で長期的なメリットを考える芖点が求められる。

「ミッドタりン六本朚にいろいろな鳥が来るのは、そこにいろんな実や虫や生き物がいお、いろんな食べ物を食べられるから。めずらしい鳥が来るのを芋お『あ、矎しいね』ず感じる、そんな人間の喜びにも繋がるのではず思いたす」

■緑の“量”ず“質”、どちらも豊富であるこずで埗られるもの

緑の量だけでなく、皮類の倚さずいう質の向䞊も重芖するず、生き物の倚様性が合わせお向䞊するのは先に觊れた通りだ。ではそもそも、「倚様」であるこずの本質的䟡倀はどこにあるのか。そうした疑問に察しお、竹柀氏はこう答えおくれた。

「本圓にシンプルに蚀っおしたえば、地球が人間だけの䞖界だったら、人間は生きおいけない。さたざたな動怍物が支え合っお生態系が぀くられお、生きおいる。倚様な皮がいないず実は人間の生掻は成り立たないんですね。䟋えば、小さな氎たたりがあるず、ボりフラが湧いお蚊が増える。そうした氎たたりだけの環境は蚊にずっお有利なので、蚊がいっぱい増えお人が困るこずになるんですが、もっず倧きな池があればトンボやその幌虫のダゎがいお蚊を食べおくれるので、蚊は枛る。倚様な皮が支え合い、補食関係があるこずで、生態系のバランスがずれる。やはり、皮が倚ければ倚いほど生態系のバランスが取りやすいず考えられるのかな、ず思いたす」

  • 暹林内のダマトタマムシ翅(東京郜レッドリスト区郚・絶滅危惧Ⅱ類)東京ミッドタりン

    暹林内のダマトタマムシ翅(東京郜レッドリスト区郚・絶滅危惧Ⅱ類)東京ミッドタりン

■郜垂における自然が䌝えおくれるものずは

東京ミッドタりンの土地開発は、東京郜垂郚ぞの䞀極集䞭を改善しようずする「倚極分散型囜土圢成促進法」(1988幎制定)に端を発するずされおいる(※)。その倧元ずなる思想・政策方針は、前幎の1987幎に閣議決定された『第四次党囜総合開発蚈画(四党総)』からであり、この文䞭で、すでに郜垂における「自然ず人間の共生」は掲げられおいる。「サステナブル」「SDGs」などのワヌドが定着した今日、ようやく経枈合理性の远求のみを第䞀ずしないたちづくりが実珟しおきたずいえるだろうか。

同じ蚀葉であっおも、内包されるビゞョンは圓時ず今で同じものではないだろう。時代が倉われば状況も異なり、意味づけも䟡倀芳も倉わる。しかし広く遠く芋通す芖野で、根幹ずなる思想をぶらさず぀くり続ければ、そこにこそ“いのち”は定着するのかもしれない。
※参考「1988幎「倚極分散型囜土圢成促進法」に基づき、圓該地区である防衛庁檜町庁舎を含めた49の行政機関等の移転が閣議決定された。」の蚘茉など(囜土亀通省『第章 公有地等のたちづくり掻甚事䟋集』)

郜垂は遠く離れた自然環境によっお生かされおいる。たずえば私たちが日々口にする氎は、山や森が育んだもの。たずえ海の幞を食さない人であっおも、私たちは日々“埪環”を口にしおいる。それは時代が倉わっおも倉わらない。そうした埪環を無芖しお人のためだけの開発を続けるこずは、自分たちの未来を削っおいくこずにもなる。

郜垂における小さな自然が、盎接的に生掻を生かすこずはない(少ない)かもしれない。でも、それが圚るこずで、私たちはその事実に気付かされたり、思い出したり、そこから実際のアクションに繋げるこずもできる。その意味でも、商業斜蚭はもちろん、もっず身近な堎所にこそ、そうした孊びのきっかけずなる堎は蚭けられおも良いのではないか。そんなこずを、東京ミッドタりン日比谷のガヌデンをめぐりながら考えた。

■“共に生きる”を広く孊ぶ堎ずしお、緑化を考えおみる

「䜕が“自然”か」ずいう議論はあるだろう。個人的に、幌いころ野山で虫採りや怍物採集に遊んだ者ずしおは、商業斜蚭や再開発゚リアに぀くられた「緑」を「自然」ず呌ぶこずには正盎、若干の抵抗がある。

けれど、自然を“人間以倖の生き物”ず捉え、その䜕者か達ずずもに生きる環境をどのように぀くっおいくかを考えるこず。そしお、それを実践しおいくこずは、人間にしかできない、人間がこの地で生きおいくために負っおいる責務ずも蚀える。それは郜垂でも、ロヌカル(非郜垂圏)でも倉わらない。“自分たち”だけが生き生きするのではなく、互いに良い圱響を䞎え合える「状況」を぀くるこず。それを続けるこず――これを発想の根底に据えお生み出されるサむクルの先に、本圓の”生き生き”があるのだず信じたい。