■農家の課題は?

本ツアーには、地元農家も協力している。大宜味村喜如嘉(きじょか)では、大城武さんの農園がシークヮーサーの収穫体験を提供する。

  • シークヮーサー農家の大城さん

    シークヮーサー農家の大城さん

「沖縄では昔から、さとうきび、パイナップルの栽培が盛んです。どちらの栽培にも適さない傾斜地などで、シークヮーサーは栽培されてきました。ただ近年、健康機能に注目が集まってからは、平坦地でシークヮーサーを育てる農家も増えています」と大城さん。今年は豊作です、たくさん持って帰ってください、と笑顔を見せる。

  • 1本の木に、たくさんの実がなるシークヮーサー

    1本の木に、たくさんの実がなるシークヮーサー

枝を掴み、果実をつまんで回すと簡単にもぎ取ることができた。大城さんによれば、農家が1人で収穫できる量は、最大でも1日10箱(200kg)くらい。「機械化もできないため、人手不足が目下の課題です。最近では、農業従事者の高齢化も深刻になっています」と明かす。

このあと、パイナップルの生産量において日本一を誇る東村も訪れた。当地でパイナップルを栽培している宮城善光さんの農園では、収穫体験に加えて民泊にも対応している。

  • パイナップル農家の宮城さん

    パイナップル農家の宮城さん

宮城さんが、採れたてのパイナップルを丸かじりさせてくれた。とても瑞々しく、口に含むと果汁があふれてくる。果肉には筋のようなものが全くなく、舌の上で溶けるほどに柔らかい。

  • ナタで切り分けてくれた

    ナタで切り分けてくれた

パイナップルの栽培は、手間も時間もかかる。苗を植えて実がなるまで数年かかるだけでなく、ひと株からは年1個、同じ株からは生涯1~2個しか果実が収穫できない。このため通年でパイナップルを出荷するためには、収穫時期をずらした複数の畑を管理する必要がある。また地域の缶詰工場は年間1,750トン以上の収量がないと営業を維持できない。もし工場が立ち行かなくなれば、農園のパイナップルも行き場を失ってしまう。宮城さんは「民泊と収穫体験を通じて、若い人にも農業に関心を持ってもらえたら」と話していた。

■伝統工芸に触れる

文化的な側面では、喜如嘉において幻の布と言われる「芭蕉布」織りの職人が協力する伝統工芸体験を提供する。芭蕉布とは、かつて沖縄本島や奄美諸島で、日常衣料の素材として使われていたもの。バナナとよく似た糸芭蕉の繊維を原料として用いる。

  • 芭蕉畑

    芭蕉畑

ツアーでは芭蕉布職人の平山ふさえさんの工房を訪ね、織りに使う糸の作り方を教えてもらえる。

  • 平山さんに芭蕉布織りを習う

    平山さんに芭蕉布織りを習う

また廃校を利用した喜如嘉翔学校(旧喜如嘉小学校)では、月桃の茎から繊維を作るワークショップを用意する。

  • スプーンで月桃の茎をこそぐ

    スプーンで月桃の茎をこそぐ

  • キリを使って割いていく

    キリを使って割いていく

同様に、大宜味村にあるフードリボン(FOOD REBORN)ファクトリーでは、パイナップルの葉から繊維を取り出す工程が見学できるほか、オリジナルアクセサリーを作成するワークショップにも参加できる。

  • パイナップルの葉の繊維からアクセサリーを作る

    パイナップルの葉の繊維からアクセサリーを作る


地域創生Coデザイン研究所の担当者は「私たちは観光を“消費”ではなく、地域住民と来訪者が共につくる“共創”の体験と捉え、自然・文化・農業の魅力を活かした持続可能な観光づくりに取り組んでいます。地域の知恵や暮らしを尊重しながら、観光需要の拡大を地域全体の活性化につなげていければ」と話していた。