自然豊かな環境でありながら、洗練された空間で快適な滞在を楽しみたい。そんな相反する願いを同時に叶えてくれる場所が、栃木県・那須にある。星野リゾートが手掛ける「リゾナーレ那須」だ。

東京からは、新幹線と送迎バスを乗り継ぎ約1時間半。広大な敷地に点在する美しい建築群と、どこまでも広がる豊かな自然、その両者が調和する「リゾナーレ那須」の滞在を紹介したい。

星野リゾートが国内外7か所で展開する、リゾートホテル「リゾナーレ」

「リゾナーレ」は、北海道のトマムから沖縄の小浜島、そして海外のグアムまで、国内外7か所で星野リゾートが展開するリゾートホテルブランド。「PLAY HARD」をブランドコンセプトに、その土地の風景を活かしたダイナミックな空間デザイン、地域や季節ならではのユニークなイベント、好奇心をくすぐる豊富なアクティビティ、そして作り手の想いが伝わる食体験を提供している。

ブランド名である「RISONARE」は、イタリア語で「共鳴する」という意味。その名の通り、自然や建築、食文化といったその土地ならではの魅力が、訪れる人の感性と深く響き合う場所となっている。

日本屈指のアグリツーリズモリゾート「リゾナーレ那須」

そんなリゾナーレブランドの中でも、ひときわユニークなコンセプトを掲げるのが、今回訪れた「リゾナーレ那須」だ。那須連山の山裾、標高約500メートルの地に、約4万2千坪という広大な敷地を有するこのリゾートは、日本初の「アグリツーリズモリゾート」として2019年に開業した。

「アグリツーリズモ」とは、農業を意味するイタリア語「アグリクルトゥーラ」と、観光を意味する「ツーリズモ」を掛け合わせた言葉。滞在者は、敷地内にある農園「アグリガーデン」や田んぼでの農作業体験などを通じて、その土地の自然や生産活動に触れ、暮らすように過ごす新しい旅のスタイルを体験できる。

森に抱かれて眠る、広々客室が6タイプ43室

「リゾナーレ那須」の客室は、広大な天然生林の中に43室が点在する形で配置されている。建物は本館と別館に分かれており、滞在スタイルに合わせて計6つの部屋タイプから選ぶことができる。

どの部屋も大きな窓から那須の自然を間近に感じられる設計だ。デザインは「代官山T-SITE/蔦屋書店」や「GINZA PLACE」などを手掛けたことで知られ、リゾナーレの他施設も担当する「クライン ダイサム アーキテクツ(KDa)」によるものだ。

今回宿泊したのは、62平米の広さで4名まで宿泊可能な「本館デラックスメゾネット」。 扉を開けると、まず目に飛び込んでくるのは、2階へと続く階段と、その先に広がる森の景色。

1階はゆったりとしたソファが置かれたリビングスペース、2階がベッドルームとなっており、立体的な空間が別荘のようなプライベート感を演出している。

天井まで届く大きな窓からは、木漏れ日が優しく差し込み、部屋の中にいながら森林浴をしているかのような心地よさを感じられた。

本館から少し歩いた森の奥に佇むのが、別館の客室群だ。こちらは「二期倶楽部」時代に建てられた渡辺明氏建築の建物が残り、プライベート感を重視した造りとなっている。

自然と一体化するレストランや温泉施設、ラウンジ

各施設も、自然林に囲まれた緑豊かなロケーションを生かしている。レセプションは、大きな窓の向こうに那須の森が広がり、まるで一枚の絵画のようだ。華美な装飾はないものの、木の温もりと洗練されたデザインが調和した空間は、これから始まる非日常の滞在を静かに予感させてくれるはずだ。

レセプション棟の2階にあるのが、ビュッフェレストラン「SHAKI SHAKI」。その名の通り、新鮮な野菜の「シャキシャキ」とした食感や味わいを存分に楽しめるレストランで、朝食や夕食がいただける。店内は野菜をモチーフにしたインテリアが施され、遊び心満載だ。

夕食は、メイン2皿とビュッフェが楽しめる、ハーフビュッフェスタイル。メインディッシュは日替わりで、この日はフェンネルを巻き込んだイタリアのローストポーク「ポルケッタ」と「ロースト野菜とチーズソース」が登場。ビュッフェテーブルには新鮮な野菜を使った冷菜や温菜がずらりと並んだ。

レセプション棟の1階には、緑に囲まれた温泉もある。泉質は単純温泉で肌に優しい。内湯は大きな窓ガラス越しに森に面しており、露天風呂はさらに開放的。木々のざわめきや鳥のさえずりをBGMに、那須の温泉を心ゆくまで満喫できる。

石窯ピッツァが味わえるブックカフェや、子どもの遊び場満載の「POKO POKO」

「リゾナーレ那須」を象徴する建物が、アクティビティ施設「POKO POKO」だ。森の中に突如として現れる、3つの大きな円錐形の屋根が連なったユニークな建築は、一度見たら忘れられないほどのインパクトを放つ。

この建物もKDaによるもの。その独創的なデザインは世界的な建築賞「Dezeen awards 2021」において「Hospitality building of the year」を受賞する高い評価を得ている。

内部は、中央に石窯を備えた「Books&Cafe」と高さ約6.5メートルのネット遊具がそびえる「プレイエリア」で構成されている。

Books&Cafeでは本格的な石窯ピッツァを味わえるほか、プレイエリアでは子どもたちが夢中になって体を動かすことができる。さらに「石窯ピッツァづくり」や「リゾナーレキッズスタジオ」などのアクティビティ体験も行っており、大人も子どもも天候を気にせず楽しめる全天候型の施設だ。

外には焚火もあり「木こりの火おこし」や、マシュマロを焼いて楽しむ「焚火でおやつづくり」と題した無料アクティビティも開催されている。

別館には宿泊者専用のラウンジがある。暖炉が置かれた落ち着いた空間で、窓の外の緑を眺めながらコーヒーを片手に読書をするなど、思い思いの時間を過ごせる。

夜の8時から10時までの時間は「フォレストナイトラウンジ」へと様変わり。スパークリングワインや、イタリアで食後酒として親しまれているブドウの蒸留酒・グラッパ、ハーブティーやコーヒーなどをナッツやビスケットとともに無料で味わうことができる。

ラウンジのある建物には、メインダイニング「OTTO SETTE NASU」もある。こちらは、那須の豊かな食材とイタリア・トスカーナ州の郷土料理を融合させた、独創的なイタリア料理をコースで提供するレストランだ。今回満席で利用できなかったことからも、その人気ぶりがうかがえる。

心と体が再生する、唯一無二のリゾートへ

世界的に評価される美しい建築と、どこまでも広がる那須の雄大な自然。その二つが合わさり生まれた「リゾナーレ那須」での滞在は、単なるリフレッシュを超えた、心と体が深く満たされるような体験であった。

季節によって森の表情も、畑で採れる野菜も、そして体験できるアクティビティも全く異なるという。次は新緑が芽吹く春に、あるいは紅葉が美しい秋に、必ずや再訪したい。そう強く思わせてくれる、唯一無二のリゾートであった。

取材協力: リゾナーレ那須