三菱UFJ銀行は、約20年ぶりとなる新店舗「エムットスクエア高輪」をオープンする。東京・高輪ゲートウェイシティにある商業施設ニュウマン高輪内に設置され、9月12日に同時に開業となる。通常の銀行の店舗とは異なり、9時~15時ではなく、11時~20時という営業時間にすることで、現役世代や子育て世代でも来店しやすくする。

  • 新たな商業施設ニュウマン高輪にオープンする三菱UFJ銀行の新店舗「エムットスクエア高輪」

    新たな商業施設ニュウマン高輪にオープンする三菱UFJ銀行の新店舗「エムットスクエア高輪」

三菱UFJ銀行の取締役頭取執行役員・半沢淳一氏は、エムットスクエア高輪について「約20年ぶりの新店舗は銀行として大きな節目であり、店舗のあり方への新たな挑戦」と話す。三菱UFJ銀行では、全国の店舗1/3~1/4程度も新たなエムットスクエアにリニューアルしていく方針で、まずは東京のエムットスクエア高輪に加え、10月20日オープン予定の大阪・箕面市のみのおキューズモール内のエムットスクエアでノウハウと知見を蓄積していく。

Suicaの進化にも繋がる新しい店舗

エムットスクエア高輪は、正式名称自体は「品川駅前支店高輪出張所」という位置づけで、一般的な銀行窓口は設けず、テーブルにタブレット端末を設置し、様々な手続きをデジタルで行いつつ、対面で相談もしながら作業を進められる。

  • テーブルに置かれたタブレットで様々な手続きが行える

    テーブルに置かれたタブレットで様々な手続きが行える

あくまで出張所という店舗サイズではあるが、窓口で区切られずに広く感じるデザイン。大きなディスプレイを設置しており、金融セミナーなども開催していく。個室もあり、資産形成や資産運用などのライフプランに関する相談なども受け付ける。窓口での現金預け入れといった現金の取り扱いはないが、ATMが1台設置されており、入出金などには対応できるようになっている。

  • 入口も広く開放的なデザイン

    入口も広く開放的なデザイン

半沢氏は、エムットスクエア高輪を「これまでにない新しいタイプの店舗」であり、これまでの店舗とは異なる個人専用店舗と位置づける。

営業時間を11時から20時に設定することで、多様化する働き方やライフスタイルに対応して、より多くの人が利用できるようにする。金融セミナーだけでなく、非記入のイベントも定期的に実施することで、地域の人々の来店を促し、繋がりを生み出す場になることを目指すと半沢氏は言う。

こうした取り組みが、従来の三菱UFJ銀行にはない新しい店舗の姿を実現する「新しいチャレンジ」だと半沢氏は強調する。

  • 三菱UFJ銀行の取締役頭取執行役員・半沢淳一

    三菱UFJ銀行の取締役頭取執行役員・半沢淳一

高輪ゲートウェイシティはJR東日本が運営し、「100年先の未来を見据えて、心豊かなくらしのための実験場」と位置づけられまちづくりが行われている。三菱UFJ銀行とJR東日本は高輪ゲートウェイシティにおける「広域スタートアップエコシステム構築」の推進に向けたパートナーシップ協定を締結しており、高輪ゲートウェイシティの重点テーマである「環境・モビリティ(ロボティクス)・ヘルスケア」に加えて、金融リテラシー向上の取り組み、スタートアップのファイナンスでも協力をしていく。

JR東日本の喜㔟陽一社長は、高輪ゲートウェイシティが「進化するSuicaの実験場でもある」として、「この地での金融、ファイナンスなどの取り組みとSuicaの進化が連携することで、新しいデジタルの価値を一緒に作っていければ」と期待する。

  • JR東日本の喜㔟陽一社長

    JR東日本の喜㔟陽一社長

デジタルバンク立ち上げに向けて既存店舗も刷新

そうした期待も込められたエムットスクエア高輪だが、三菱UFJ銀行では「金利のある世界」が戻ったことが新店舗開設に繋がったという。NISAをはじめとする資産運用のニーズも高まっており、暮らしや将来に関するちょっとした困りごとでも気軽に相談できる場を目指す、としている。

  • タブレットでの手続きに加え、相談などのための個室も用意されている

    タブレットでの手続きに加え、相談などのための個室も用意されている

三菱UFJ銀行の取締役常務執行役員リテール・デジタル部門長の山本忠司氏は、「銀行らしい堅苦しさ」のない開放的なデザインで立ち寄りやすさを追求。アロマも使ってオープンなイメージを作り上げているという。

  • 三菱UFJ銀行取締役常務執行役員リテール・デジタル部門長・山本忠司氏

    三菱UFJ銀行取締役常務執行役員リテール・デジタル部門長・山本忠司氏

営業時間の拡大に加えて、営業日も土曜・祝日でも利用できるようにして、より多くの人のライフスタイルに合った時間に来店できるようにした。子ども向けのキッズマネースクール、ビジネスパーソン向けの"朝活"セミナーなど、金融機関ならではイベントに加え、金融に限らない多彩なイベントも準備するとしている。

  • セミナーなども実施できるように大型ディスプレイも設置

    セミナーなども実施できるように大型ディスプレイも設置

商業施設内の店舗で買い物客や同じビルで働く従業員を対象にするだけでなく、地域の住人を含めた暮らし全体を豊かにする手伝いができる拠点にしたい、と山本氏はアピールする。

加えて、メタバース空間における匿名相談サービスも提供する。場所や時間の制約がなく、匿名で気軽に相談でいる場を提供し、さらなる相談が必要な場合に店舗に誘導することで、デジタルとリアルを融合させた体験も提供するという。

こうした取り組みには、同社が新たに構築する金融サービスブランド「エムット」における3つのプラットフォームが背景にあると山本氏は説明する。共通ポイントのエムットポイント、ロイヤリティプログラム、共通IDの3点で、どのサービスでも同一IDで利用でき、利用頻度を高めることを狙う。さらにデジタルバンクを2026年度末にも立ち上げ。「非常に軽いシステムで柔軟に動ける」と山本氏は強調する。

  • オープンに会わせたテープカット

    オープンに会わせたテープカット

遅れが指摘されていたデジタル部門において、こうした取り組みで追いつき、さらにリアル店舗の活用によって、ネット専業銀行との差別化を実現して利用促進を図りたい考えだ。

三菱UFJ銀行は2006年の合併当初は筋肉質にするために店舗を圧縮してきたが、その後はマイナス金利の影響で新規出店が抑えられてきた。個人預金残高が90兆円を超えることから、コストが先行して収益化が難しかったと山本氏はいう。

しかし、金利のある世界になると、逆にこの90兆円の個人預金が強みになる。山本氏は、そうしたことから新規出店に至ったと説明し、他行に比べても大きな個人預金を基盤として攻勢を仕掛けていきたい考えだ。

そのため、既存店舗の1/3~1/4程度をめどにエムットスクエアに更新。高輪とは異なり、現金の取り扱いをなくすか、営業時間をどうするかといった点は店舗の立地や機能によって個別に検討していくが、新たな個人専用店舗として位置づけていく。

これを2026年度末まで順次広めていき、デジタルバンクの開業にあわせて一定数のリアル店舗も揃えることで、「エムット」ブランドを一気に拡大していく狙いだ。

  • オープンは9月12日

    オープンは9月12日