「子どもの更生施設や避難所、児童相談所が舞台」と聞くと、重苦しいドラマと決めつけられがちだが、両作ともに決してそのような作品ではない。
子どもたちにも見てほしい夏ドラマだけに、むじゃきに遊ぶなど笑顔がはじけるシーンも多く、特にティーンが多い『明日の光をつかめ』では恋模様なども描かれた。さらに、青空や海などの爽快な映像が盛り込まれ、随所に夏という季節を感じさせられる。
そもそも『明日の光をつかめ』も、『明日はもっと、いい日になる』もタイトルに“明日”というフレーズを使用していることから、「問題を抱える子どもと親に希望を見せる物語にしよう」という制作サイドの狙いがわかるのではないか。1つのエピソードが終わるたびに、ほどよい感動とともにさわやかな気持ちになれるから第3シリーズまで放送されたのだろう。
同作の醍醐味としてもう1つあげておきたいのは、子どもたちの熱演。まだ演技経験が少ない子役たちが、過酷な環境に悩み苦しみながら、徐々に笑顔を取り戻し、前へ進んでいく役柄を精一杯演じる姿に感動を誘われる。特に昼の帯ドラマだった『明日の光をつかめ』は、日を重ねるごとに役と本人がシンクロするように成長していく過程で楽しませてくれた。
主演を務めた広瀬アリスの演じた沢口遙は17歳の高校2年生。たんぽぽ農場の桜木翼(榊原徹士)と出会い、いじめによってバスケットボール部を退部したことから農場の手伝いを始めるが、市議会議員の父に猛反対されてしまう。さらに翼への恋心が芽生えながらも彼の過去を知り、葛藤しつつ受け止めようとする様子を懸命に演じていた。
「若手有望株の登竜門」として機能
広瀬アリスと言えば、「広瀬すずの姉」と紹介されたり、「妹の七光り」などと揶揄されたりした時期もあったが、これはミスリード。広瀬アリスは広瀬すずがデビューする2012年の2年も前に当作で連ドラ主演を飾っていた。
妹は姉がモデルを務めていた『Seventeen』のイベントがきっかけで芸能界入りしたこと、高校サッカーの応援マネージャーも姉が先に務めたことなど、広瀬アリスの評価が先行していた点は多い。「彼女のヒロインらしい華とみずみずしい演技が『明日の光をつかめ』のシリーズ化につながった」と言ってもいいのではないか。
その他の出演者を見ていくと、第1シリーズでは、島田紳助プロデュースの新選組リアンとして活躍した榊原徹士、アイドリング!!!の外岡えりか。
第2シリーズでは、主演・小島藤子のほか、新川優愛、矢作穂香。さらにアーティストとしても活躍する松下優也、昨年12月に『水曜日のダウンタウン』(TBS系)の「名探偵津田」で助手を務めて話題を集めた西野実見らが出演した。
第3シリーズでは、主演に当時E-girls・須田アンナのほか、須賀健太、柾木玲弥、浅香航大、荒川ちから現在も活躍する俳優が出演。学園ドラマと同じように、将来有望な若手が集まるジャンルの作品であることは間違いない。
また、前シリーズの俳優が以降のシリーズに再出演することも魅力の1つ。たんぽぽ農場のOB・OG役として以降のシリーズにも出演することで、彼らのさらなる成長した姿を見ることが視聴者の楽しみとなっていた。
事実上の主演である渡辺いっけいは現在62歳だがまだまだ健在であり、第一線で活躍し続ける広瀬アリス、新川優愛、須賀健太、浅香航大らも含め、シリーズの続きを見せてほしいところだ。
日本では地上波だけで季節ごとに約40作、衛星波や配信を含めると年間200作前後のドラマが制作されている。それだけに「あまり見られていないけど面白い」という作品は多い。また、動画配信サービスの発達で増え続けるアーカイブを見るハードルは下がっている。「令和の今ならこんな見方ができる」「現在の季節や世相にフィットする」というおすすめの過去作をドラマ解説者・木村隆志が随時紹介していく。