ラグジュアリーカードは7月23日、「ライフスタイルに関する調査」の結果を発表した。調査は2025年4月23日~5月7日、ラグジュアリーカード会員のうち個人年収2,000万円以上5,000万円未満の262名を対象にインターネットで行われた。

月々自由に使えるお金

  • 月々自由に使えるお金(税引き後手取りから生活費を除いた金額)の平均金額をお知らせください

  • 自由に使えるお金について、ご自身の現在の感覚にもっとも近いものをお選びください

月々自由に使えるお金は年収に応じて増え、年収3,000万円までは50万円以上100万円未満がボリュームゾーンに。年収3,000万円以上から100万円以上200万円未満の割合が急激に増える結果となった。このような可処分所得への感覚については、どの年収帯でも「ある程度余裕はあるが、無駄遣いには注意している」と回答した人の割合が6割以上と、経済的な余裕を感じつつも計画的な消費を意識していることが読み取れる。

消費行動の転換点

  • ご自身の消費行動に変化を感じたのは、おおよそどのタイミングですか?

消費行動に変化を感じたタイミングに関する質問(年収3,000万円以上の方を対象)では、年収2,000万円と年収3,000万円の2段階のタイミングが消費行動の転換点となっている。

上記の傾向をさらに深掘りすべく、カード会員に定性インタビューを実施したところ、以下のコメントが寄せられた。

・「明確に2,000万円を超えてから、税負担を加味しても、あまり細かいことを気にしなくて良くなった。国内線のビジネスクラスも気にしないで乗るように」(年収3,000万円/30代男性/会社経営者)
・「年収2,000万円の時と比べて、好きなものやクオリティの高いものがあったら躊躇なく買うようになった」(年収5,000万円以上/60代女性/会社役員)
・「細かいことを気にしなくてもいいと思い始めたのは年収3,000万円ぐらいだが、自分の欲しいものが手に入り、事業など含めて自由に動けると思い始めたのは年収5,000万円超えてから。逆に5,000万円以上だとあまり差はないと周囲の経営者仲間から聞く」(年収2,600万円 ※実質年収5,000万円以上/30代男性/会社員 兼 経営者)

年収2,000万円から消費行動に関して細かいことを気にしなくなり、年収3,000万円以上で迷いのない消費行動を取れることが明らかになった。また、年収5,000万円以上ではさらなる自由を手に入れることができるというコメントもあった。

年収2,000万円以上2,500万円未満は"上流層の入り口"

  • 現在の税金負担が、ご自身の消費行動に影響を与えていると思いますか?

年収2,000万円以上2,500万円未満は、消費行動への変化を感じやすい"上流層の入り口"でありつつ、約6割の人がまだ節税を考えて消費を控える傾向にある。実際に定性インタビューでは、「経済的余裕はある。本音を言えばもう少し稼ぎたいが、税負担も大きいのでためらう部分がある。持ち家を購入したが、住宅ローンの控除を受けるため、年収をコントロールしている」(年収2,300万円/30代男性/会社経営者)と、節税を強く意識しているコメントが見られた。

年収3,000万円からは"本格的な上流層"

  • 月々自由に使えるお金の主な使途をすべてお選びください

消費行動の2度目の転換点である年収3,000万円以上の層は、自由に使えるお金の使途について、旅行や高級店での飲食といった体験に加えて、ハイブランドや宝飾品にもお金を使う傾向が強く、全体的に消費にアクティブな"本格的な上流層"であることが窺える。

年収3,000万円以上から消費の自分スタイルが確立

  • どのような理由でハイブランド品やその他高級品、サービスを購入しますか? 当てはまるものをすべてお選びください

ハイブランドや高級品などを購入する理由について、年収3,000万円未満の層は「日常生活の快適さや豊かさを高めるため」の回答が最も多く、今この瞬間の自分自身の生活の質向上や快適さを求める傾向にある。一方で年収3,000万円以上になると、「自己実現や、満足感を得るための自己投資として」への回答が最も多く、投資対象が"体験"から"成長"へと変化する傾向が窺える。

実際に定性インタビューでも、ハイブランド品の購入を通じて属するコミュニティが変化したり、コミュニティに相応しい自分に成長するために、クオリティの高いものを選んで購入するといったコメントが見られました。

・「フェラーリやポルシェが好きで、複数台所有している。車を通じて新たなコミュニティに属するようになり、一緒に事業をやるなど、仕事と考え方の視野が大きく広がった」(年収2,600万円 ※実質年収5,000万円以上/30代男性/会社員 兼 経営者) ・「年収3,000万円~4,000万円を超えてから社会的立場も上がり、周囲の人間関係に合わせてゴルフ旅行にもよく行く。その人たちの話題についていけるよう、身につけるもの含めてクオリティの高いものを選ぶようにしている」(年収5,000万円以上/60代・女性/会社役員)

年収2,500万円以上3,000万円未満は「アクティブ・ラグジュアリー層」

  • 現在のご自身の消費に対する価値観にもっとも近いものをお選びください

  • 今自由に使えるお金があれば、資産形成と体験を比較して、どちらにより優先的に使いたいと思われますか?

自身の消費行動に対する価値観に対して、年収2,000万円以上2,500万円未満の"上流層の入り口"の層は、品質やブランド価値を重視する回答、物よりも体験を重視する回答が約3割と並び、コストパフォーマンスも一定の割合で重視するなど、消費の価値観が分かれる傾向にあった。

一方で年収3,000万円以上の"本格的な上流層"は、物よりも体験を重視しコスパは重視しない傾向に。

そして、中間地点の年収2,500万円以上3,000万円未満の"アクティブ・ラグジュアリー"層は、他の層と比較して体験を重視する人の割合が最も高く、一方でブランド価値は重視しない、代わりにコスパを重視するという傾向に。また、資産形成と体験を比較した質問に対しても、他の層に比べて「体験に投資したい」と回答した人の割合が最も高く、「モノより体験」、「資産形成よりも今この瞬間の体験に投資したい」という"自分の内側の充実"にアクティブな価値観が見受けられる。

  • 年収別に見る「上流層」の価値観と消費スタイル

年収2,500万円以上3,000万円未満の層は、旅行に行く人の割合が他の層と比較して最も高く、年間11回以上と回答した人の割合も最も高い結果となった。特にボリュームゾーンとなった年間3~5回旅行に行くと回答した人のうち、1回の旅行につき30万円~50万円の予算をかける人の割合も他の層と比較すると高く、旅行に積極的な傾向が明らかになった。

  • 1年間に国内旅行に行く回数をお知らせください

  • 国内旅行の回数と国内旅行の平均予算(1人あたり)

これらの傾向を受け、定性インタビューでは物価高が旅行に与える影響と、この夏の旅の予定をヒアリング。物価高による影響を受けて東南アジアや国内の人気が高まっているものの、趣味や自分の好きなことと、家族との時間を両立している姿が見て取れる。

・「趣味はサーフィンとスキー。今年の夏は家族でベトナムのダナンに行く予定。毎年ハワイに行っていたが、最近は東南アジアに変化しているかもしれない」(年収2,500万円/30代男性/会社経営者)
・「物価高の影響はないが、子供も多いので、夏は家族で新潟の「長岡花火」を見に行く予定。3年後に子供の中学受験が終わったらモルディブに行く計画もしている」(年収2,000万円/30代男性/会社役員)

アクティブ・ラグジュアリー層、ブランドには興味なし

  • よく身につけるお気に入りのハイブランドをすべて教えてください

「お気に入りのハイブランド」に関する質問について、年収2,500万円以上3,000万円未満の層では、どの層にも共通して人気の「ルイ・ヴィトン」をマークしつつも、半数近くの人が「あてはまるものがない」と回答。ブランド価値には興味を持たない人が多いことも窺える。

  • 年収が上がるにつれ交友関係や社交の場が変わり、それに伴い支出が増えたと感じますか?

  • 周囲の人との付き合いやビジネスの場に消費行動も影響されていますか?

また、年収2,500万円以上3,000万円未満の層は、交友関係や社交の場での支出に関して、「支出が増えた」と回答した人の割合が他の層と比べて最も高く、さらに消費行動への影響についても約半数の人が「周囲に影響されての支出がある」と回答。交際関係の広がりに投資しつつ、かつ最もその影響を受けて消費が活発化する層であることが窺え、このような対人関係を、自己実現の手段と捉えて活発に消費を楽しんでいるとも考えられる。

物価高への対策も前向き&アクティブ

定性インタビューではさらに「今の物価高で消費行動に変化があったか」また「何か対策をしているか」をヒアリングしたところ、全員が物価高によって消費行動を控えてはいないと回答。逆にこの状況をチャンスと捉え、守りよりも攻めに転じて積極的に行動しているアクティブな方が多いことが分かった。

・「米やガソリンが高いとは思うが、それで大きく変わったことはない。むしろ会社は物価上昇分と同程度の成長ができているし、業界自体は縮小しているが、逆に言えばプレイヤーの数も減っている。人手不足も深刻なため、人的な設備投資投資を行ってきた。その結果、ある程度のパイを獲得できるようになっている」(年収2,500万円/30代男性/会社経営者)
・「消費行動は全く変わっていない。物価高の対策としては、実質賃金が上がらないのが現状なので、投資信託などでインフレ分を補填しながら事業を着実に拡大させる方に注力。考え方としては『今が一番安い(今後物価はさらに上がる)』と思っているので、体が動くうちに旅行にもたくさん行きたい」(年収3,000万円/30代男性/会社経営者)
・「経済というのは消費をすることによって回っていくので、消費行動を控えないようにしている。常に新規の仕事を獲得し、しっかり稼ぐしかないと思っている」(年収5,000万円以上/60代・女性/会社役員)