「将来の“なりたい自分”がまだわからない」という悩みを抱えるみなさんに、いろいろな企業で活躍する先輩たちの姿を通してロールモデルを見つけてもらう企画「#先輩ロールモデル」。 

今回は、ビールなどのお酒や天然水などの清涼飲料水を製造・販売している【サントリー】で働く先輩社会人にインタビュー。サプライチェーン本部で物流に関わっている先輩社員に、お仕事内容を伺いました!

プロフィール:内山 塔子さん

・製品の物流コストの現状や予測を分析し、会社としての方針を決めたり、改善につなげたりする仕事を担う。

・大学時代は、理学部数学科を専攻しており、コロナ禍や就活への疲れでモチベーションが下がった時期も。戦略的な就活を経てESすら通過すると思っていなかったサントリーへの入社を決めた。

INDEX

現在のお仕事内容 入社1年目に感じた、業務の影響力の大きさ 部署やチームの雰囲気 自己分析の方法 学窓会員限定!アーカイブ動画&エントリーシート 大学生へメッセージ
社会人編

――自己紹介をお願いします。

サプライチェーン本部調達企画部の内山塔子と申します。サントリーに新卒で入社して今年で3年目になります。
サプライチェーンとは、製品やサービスがお客様に届くまでの一連の流れを指し、原料や包材の調達から、製造、流通、販売までのすべてのプロセスを含みます。所属している調達本部には、原料、包材、物流のそれぞれを調達する担当があり、私は物流の調達コストを分析する仕事をしています。

製品は製造されてからお客様のもとに届くまでに、トラック、鉄道、船などさまざまな方法で運ばれており、お客様へすぐに、安定して届けられるように倉庫に保管されています。物をどこかに置いておくのも、出荷するのもお金がかかるので、それらの“物流費”を計算し、改善・悪化のコスト見通しを立て、適切な予算を作成する業務を主に担っています。

――物流市場の変動について、どのような情報を収集し、分析しているのでしょうか?

「物流2024年問題」という言葉をご存知の方も多いと思うのですが、物流業界では、現状、労働時間や人手不足をはじめとしてさまざまな問題を抱えています。日々変わりゆく情報に連動して物流コストも変動するので、世界市況のあらゆる情報にアンテナを張って、その変化が物流に及ぼす影響を見るようにしています。

物流の現場


――内山さんが担当する業務の規模の大きさを感じたエピソードを教えていただけますか?

私が入社1年目に担当した業務で、「工場の新しい製造ラインの増設をすると仮定したときに、どれくらいの物流能力が必要か」について試算をした経験が印象に残っています。

まず机上でデータを叩いてみて、そのあと実際に現場に行って、自分の出したデータの規模感と実態との整合性を確かめます。具体的には、新しい現場ができたと仮定したときに、毎日工場に何台のトラックがきて何箱の製品が出ていくのか、などを算出します。その結果をもとに、設備を管理するチームと一緒に工場や物流設備がどのようにあるべきかについて考えました。

設備の導入は億単位で動くような規模が大きいものも多く、自分が出した試算の重要度や大きなビジネスに関わる嬉しさを感じました。

――過去に物流コストの予測と大きく異なる事態が発生した事例はありますか?もしあればそのときの対処法を教えてください。

物流の費用は、対象とする商品の販売数量と製造数量に大きく影響を受けます。需給の状況、予算を作った段階と現状の前提の違いで予測と違うコストになることは比較的あります。

予測との差異が発生した時は、どのように正確に説明するかを考えることも私の仕事です。予測時点の前提や仮説と実際のモノの動きの製品乖離を明確にして、関係者の中できちんと共通認識をとるようにしています。

業務イメージ


――仕事をする上で心がけていることを教えてください。

仕事を点で捉えるのではなく、目的やあるべき姿から逆算して、本当に必要とされる仕事ができるように心がけています。私の仕事は社内のあらゆる部署の方と関わるので、各部署との関係性を構造化した上で仕事をした方が、自分が出せるアウトプットの量や質が高くなると感じています。


――働く部署やチームの社員さんの雰囲気についてお伺いできますか?

私は新卒から同じ仕事を継続しているのですが、1つの仕事を継続されている方もいれば、営業系、戦略系、コーポレート部門など色々な職種経験をお持ちの方もいます。自分が前の部署のだったら、この数値をこう捉える、考えるといった以前の経験を活かした発言をしてくださる方も多く、活発な議論ができています。

内山さんが働くサントリー田町オフィスの様子


学生時代編

――大学生活のモチベーションの変化について教えてください!

コロナ禍は特にモチベーションが下がりました。大学2年生の時にコロナ禍に入ったのですが、終わりが見えず、閉鎖的な環境がいつまで続くのかわからない状況がつらかったです。

オンラインのみの環境では大学の課題を相談できる友人も限られていたので、いつ自由に過ごせるようになるのか、自由に人に会えるようになるのかという不安もあり、モチベーションが下がりました。


――学生時代はどのように過ごしていましたか?

専門分野の学問に加えて課外活動にも取り組んだ4年間でした。理学部数学科に所属して勉強を続けていたことに加え、大学3年生から、出身である横浜のNPOの活動に参加しいろいろな人と出会いました。NPOでは、中間支援という分類で、大学生を中心とした若い世代の地域活動への参画者を増やし、地域の活性化に繋げるNPOの組織運営をしていました。

数学科では日々同じ人と深い議論をしていく経験をしていた一方で、NPOの活動では年齢、職種、立場が多様な人の価値観に触れたり、自分の思いを伝えたりする経験ができました。参画前は自分との共通部分がある限られた人との関わりが多かったので、新しい刺激を感じました。

――どのように自己分析をしていましたか?

周りの先輩に自己分析の方法を聞いてとりあえずやってみることを繰り返していました。やってよかったのは、「なりたくない自分像を探す」ということです。自分の理想像は欲張れば欲張るほどたくさん出てくると思います。ただ、なりたくない姿やその条件はそこまで多くなく、3分間で自分はどんな人にはなりたくないかを全部書き出して、その逆は絶対譲れない条件、譲れない姿だと捉え、大事に大切にしようと思って分析をしていました。

――「なりたくない自分像」とはどのようなものでした?

努力しない、自分を高めない、ずっとフラットに過ごすということです。そういった状況になりえない環境を探すよう心掛けました。NPO活動においても、多くの失敗を経験しながらも、自発的に動き、自分の視座を高めていく行動を意識していました。

学生時代の課外活動の様子



――3年の10月から12月で、いろいろな企業の面接を詰め込みすぎたとありますが、詳しく教えてください。

メーカーが主でしたが、インフラ、ITなど幅広い業界を10社〜20社ほど受けていました。


――3年の10月から12月で、「いろいろな企業の面接を詰め込みすぎた」とありますが、その影響で苦労したことはありますか?

幅広い業界の企業に対して自身のあらゆる側面を伝えたことで、多角的なフィードバックがいただけました。その過程で自分の成長ポイントが分かる反面、自分が本当に大切にしたい軸を見失うときがありました。大切にしたいことを見失うと自分に自信が無くなる様子がモチベーショングラフにも表れています。


――面接に臨む際、どのような対策を行なっていましたか?

大学のキャリアアドバイザーに何度も面接対策をお願いしていました。原稿を丸暗記すると、面接の際に記憶力の限界や暗記している感が出るので、絶対に伝えたいキーワードをいくつか覚えておき、本番で自分なりにアレンジして伝えていました。


――面接で最も効果的だった対策方法はありますか?

練習あるのみだと思う一方で、いろいろな人と喋って何かを伝えることへのハードルを下げることは重要だと思います。これは面接ではない場面でも機会があります。面接はステップアップするにあたって職位が上の方が出てくるので、その方々に対しても自分の考えを正確に伝えられるようにするためには、かっちりとした面接の対策だけではなくて、いかに日常生活で人に想いを伝えてきたかが重要だと思います。


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――ESについて教えてください。自己PRはどのように差別化を図っていたのでしょうか?

他の就活生と被りそうな自己PRは避け、アピールポイントの根拠がはっきりと伝えられるものを選んでいました。私のPRポイントでは「逆算して考える力」を一貫して伝えていました。インターンや集団面接で同じ内容の人は見なかったので、PRポイントとして差別化できていたと思っています。幼少期から取り組んでいた算数・数学を挙げて、学問の取り組みによって逆算する力がついた根拠をしっかり伝えました。

学生時代の就活における自己PRの様子


――志望動機で記載しないよう心掛けていた「会社の客観的に見た良いところ」とは具体的にどのようなことでしょうか?

「客観的に見た良いところ」とは企業理念や方針などの企業HPに書いてある情報のことで、社員さんの方が認識されていると思うので記載しませんでした。

――ガクチカについてお伺いします。ES提出後の面接で、「より深く聞きたくなるヒントをちりばめた文章にすることを意識した」とのことですが、その狙いを教えてください。

私の場合は、数学によって培った逆算する力を活かして実施した取り組みや成果を記載し、読み手に「なぜ数学を学んだことで逆算する力を身につけられたのだろう?面接でもっと詳細について聞いてみたいな」と思ってもらう狙いがありました。

――就活に向けたエピソード作りを意識して学生生活を送っていましたか?

意識はしていませんでした。大学生のうちに経験したいことや思いや、自分の現状を変えたい思いとともに学生生活を送っていたので、その中で、イキイキした瞬間や成果が出た時をピックアップしてエピソードを伝えていました。

――最後に大学生へのメッセージをお願いします。

就職活動をする中で、いろいろな企業や人生の話を聞くと、人生の選択肢が溢れていて、その中で1つに決めることにハードルの高さを感じている方も多いのではないかと思います。ただ、社会人になると持ちたくても持てない選択肢も多くあるので、まずは目の前にある様々な選択肢をぜひ思いっきり楽しんでいただきたいです。

そのうえで、何をしているときに自分が一番輝いているか、イキイキしているかをリラックスして思い浮かべ、それが活かせる場所や環境を考えるとより良い選択をできるのではないかと思います。
個人的には、会社の中に自分の人生があるのではなく、自分の人生の中の1つに会社というパーツがあると思っているので、みなさんが一番人生を豊かにできるパーツに出会えるよう応援しています。

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取材:柴澤(ガクラボメンバー)  
執筆:亀谷 凪沙(ガクラボメンバー)
編集:学生の窓口編集部
取材協力:サントリーホールディングス

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