【形成外科医が解説】ほくろの中には、一般的に「皮膚がん」と言われる「皮膚悪性腫瘍」が紛れていることがあります。あらゆる年齢と部位に起こるため、注意が必要です。分かりやすく解説します。

◆Q. 「放置すると危険なほくろがある」って本当ですか?

Q. 「最近、元々あるほくろが大きくなってきたような気がして、不安です。色も濃くなってきた感じがするのですが、皮膚科で診てもらった方がいいのでしょうか? 痛みや出血などはないのですが、皮膚がんの可能性はありますか?」

◆A. ほくろではなく皮膚がんのケースもあります。安心のためにも一度受診を

頻度としてはそこまで高いわけではありませんが、ほくろのように見える皮膚の変化の中には、皮膚がんが隠れている場合があります。

特に注意すべきなのは、「基底細胞がん」「有棘細胞がん」「悪性黒色腫」などの、皮膚悪性腫瘍です。これらは見た目だけで良性・悪性を判断するのが難しいため、何かおかしいと感じたら、一度皮膚科を受診するのがよいでしょう。万一悪性のものだった場合、様子見として放置している間に、症状が進行しまう恐れがあります。

例えば「悪性黒色腫」の場合、その名称の通り非常に悪性度が高く、肺や肝臓などに転移することがあります。「基底細胞がん」や「有棘細胞がん」も、初期のうちは痛みなどの自覚症状が少ないのですが、進行するうちに深部へ浸潤し、命に関わるケースもあります。

元々あるほくろとのことですが、気になる変化があるのでしたら自己判断せず、早めに医療機関の診断を受けることが重要です。

◇井上 義治プロフィール

慶應義塾大学医学部を卒業後、20年以上にわたり形成外科医として総合診療に従事。患者の要望を丁寧に聞き、一人ひとりに合わせた医療を提供している。

文=井上 義治(形成外科医)