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今季もここまでリーグ下位に沈んでいる中日ドラゴンズ。近年は打撃力に課題を抱えているが、黄金期時代から強力な投手陣を誇っており、打線の援護さえあれば最多勝も十分に狙える投手も少なくなかった。そこで今回は、中日で好投しつつも勝ち星を挙げられない時期があった投手を紹介したい。(今季成績は7月11日時点)
柳裕也
投打:右投右打
身長/体重:180cm/85kg
生年月日:1994年4月22日
経歴:横浜高 - 明治大
ドラフト:2016年ドラフト1位
最優秀防御率のタイトルも獲得した経験のある柳裕也。安定した成績を残していた一方で、2020年から2年連続2桁の敗戦を喫するなど、勝ち星に恵まれないシーズンが多い。
横浜高から明治大に進学すると、東京六大学リーグで実績を残し、2016年ドラフト1位で中日ドラゴンズへ入団。
入団後2年間はプロの壁に阻まれたが、プロ3年目となる2019年に先発ローテーションに定着。同年は自身初の規定投球回に到達すると、11勝をマークし頭角を現した。
2021年には26試合の登板で11勝6敗、防御率2.20、168奪三振の好成績を収め、最優秀防御率、最多奪三振の投手二冠に輝いた。
しかし、2022年は9勝11敗と負け越すと、翌2023年には24試合に登板し防御率2.44を記録しながらも4勝11敗と、援護に恵まれないシーズンが続いた。
昨季は調子が整わず4勝5敗に終わると、今季は故障の影響もありここまで4試合の登板にとどまっている。順調なら国内FA権の取得も見込まれているだけに、復帰後の活躍が期待される。
金丸夢斗
投打:左投左打
身長/体重:177cm/77kg
生年月日:2003年2月1日
経歴:神港橘高 - 関西大
ドラフト:2024年ドラフト1位
ここまで好投を続けながらも、プロ初勝利が遠いドラ1ルーキー、金丸夢斗。早くも無援護に苦しんでいる。
神港橘高から関西大学に進学すると、大学リーグのベストナインに幾度となく選出される絶対的エースとしてチームを牽引。
2024年に行われた欧州代表との強化試合では侍ジャパンのトップチームに招集。先発登板し2回を無失点に抑えるなど実力を発揮、大学生屈指の左腕として注目を集めた。
2024年ドラフト会議では4球団競合の末に中日ドラゴンズへ入団。今季の開幕には出遅れたが、5月のDeNA戦で初先発。6回2失点、8奪三振と好投したが、打線の援護がなく敗戦投手に。
その後も援護に恵まれず、ここまで7試合の登板で6度のQS(クオリティ・スタート)を記録するも勝利はなく、防御率2.64ながら0勝3敗という結果になっている。
7月8日の巨人戦では7回2失点で降板、待望の初勝利まであとアウト2つに迫ったが、9回に逆転サヨナラ負けを喫し初勝利を逃した。
間違いなくプロで通用するポテンシャルは示しているだけに、打線の奮起、プロ初勝利を期待したい。
小笠原慎之介
投打:左投左打
身長/体重:180cm/93kg
生年月日:1997年10月8日
経歴:東海大相模高
ドラフト:2015年ドラフト1位
今季から海を渡りワシントン・ナショナルズで奮闘している小笠原慎之介。中日ドラゴンズでは援護点に恵まれず、負け越すシーズンが多かった。
東海大相模高では3年夏にエースとして甲子園に出場し、優勝投手に。2015年ドラフト1位で中日に入団した。
高卒1年目から一軍マウンドに上がり初勝利を記録するなど大器の片鱗を示したが、この年から援護に恵まれず、15試合の登板で2勝6敗にとどまった。
2021年には自身初の規定投球回に到達したが、8勝10敗と負け越し。翌2022年には10勝8敗と、先発ローテーション定着以降、唯一の勝ち越しのシーズンに。
2023年からは2年連続で防御率3点台と安定した成績を残すも、いずれも黒星が先行したシーズンに。昨オフにメジャー挑戦を表明し、ナショナルズへ移籍した。
マイナーでの登板が続いていたが、7月にメジャー昇格を果たし、初先発。3回を投げ切れず4失点で黒星を喫した。再びチャンスを掴み取り、メジャー初勝利を挙げられるか。
髙橋宏斗
投打:右投右打
身長/体重:186cm/86kg
生年月日:2002年8月9日
経歴:中京大中京高
ドラフト:2020年ドラフト1位
昨季はエースに相応しい成績を残した髙橋宏斗。今季はここまで大きく負け越してしまっており、後半戦の巻き返しが期待される。
中京大中京高ではエースとして躍動し、2020年のドラフト会議では中日ドラゴンズから単独1位指名を受け入団。ルーキーイヤーはファームで経験を重ねた。
高卒2年目となる2022年、一軍で19試合に登板すると、6勝7敗と負け越したものの、防御率2.47と安定した成績を残し、頭角を現した。
翌2023年には25試合に登板。自身初の規定投球回に到達し、防御率2.53と好投したが、打線の援護に恵まれず7勝11敗と負け越しに。
それでも、昨季は21試合に登板し、12勝4敗、防御率1.38で最優秀防御率のタイトルを獲得。キャリアで初めて大きく勝ち越すなど、エースとして違わない成績を残した。
しかし、今季はここまで調子が上がらず、15試合の登板で2勝8敗と負けが先行。5月以降、約2ヶ月勝利から遠ざかっており、後半戦に向けエースの奮起が期待される。
涌井秀章
投打:右投右打
身長/体重:185cm/85kg
生年月日:1986年6月21日
経歴:横浜高
ドラフト:2004年ドラフト1位
プロ野球史上初となる、3球団での最多勝を獲得した涌井秀章。実績抜群の好投手だが、中日ドラゴンズでは援護に恵まれず負け越している。
横浜高から2004年ドラフト1位で西武ライオンズに入団。高卒2年目から2桁勝利を記録するなど、瞬く間にエースに成長。高卒3年目の2007年に17勝を挙げ最多勝に輝いた。
2009年には2度目の最多勝、沢村賞に輝くなどエースの役割を全うしていたが、2011年以降は調子を落とし、2013年にFAで千葉ロッテマリーンズへ移籍。
ロッテでも2015年に15勝をマークし3度目の最多勝に輝くと、その後もローテの一角として躍動。2019年オフに金銭トレードで東北楽天ゴールデンイーグルスへ移籍した。
移籍初年度に11勝を記録し、自身4度目、球界史上初の3球団での最多勝利に輝いた。翌年以降も勝利を重ね、2022年には阿部寿樹とのトレードで中日へ移籍。
2023年には21試合の登板で防御率3.97の成績を残したが、打線の援護が少なく5勝13敗と負け越し。昨季も16試合の登板で防御率3.07ながら3勝5敗の成績に終わった。
プロ21年目を迎えた今季は、ここまで9試合登板で4勝3敗と勝ち星が先行。ベテランらしい活躍を続け、中日移籍後初のシーズン勝ち越しを狙いたい。
大野雄大
投打:左投左打
身長/体重:184cm/85kg
生年月日:1988年9月26日
経歴:京都外大西高 - 佛教大
ドラフト:2010年ドラフト1位
中日ドラゴンズのエースとして君臨した大野雄大も、援護がなく勝ち星が重ねられないシーズンが度々あった。
佛教大から2010年ドラフト1位で中日に入団。プロ3年目の2013年に先発ローテーションに定着し、自身初の2桁(10勝)をマーク。翌年以降は先発陣に欠かせない存在となった。
2019年に最優秀防御率のタイトルを獲得すると、2020年には最多奪三振、2年連続の最優秀防御率の投手2冠に輝き、沢村賞を受賞。
2022年の阪神戦では、打者27人をパーフェクトに抑える「完全投球」を披露していたが、味方の援護がなく延長戦に突入。延長10回2死に安打を許し、記録が途切れてしまった。
その後は故障に苦しみながらも、ベテランらしい投球で投手陣を引っ張るリーダーとして、存在感を発揮。
今季もここまで10試合の登板で4勝をマークしており、苦しむチームの精神的支柱となっている。
【了】