記憶に残る対決…高校時代に名を馳せたライバル6組。大舞台でしのぎを削っ…

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 8月5日に阪神甲子園球場で開幕する第107回全国高等学校野球選手権大会。これまでの歴史を振り返ると、名試合を演出するライバル同士の戦いは、見る者を魅了し続けてきた。その中には、プロ野球の世界で活躍している選手も多い。今回は、高校時代に名を馳せたライバルを取り上げたい。

大谷翔平・藤浪晋太郎

 

 大谷翔平と藤浪晋太郎の両者も、高校時代に直接対決した過去がある。

 

 花巻東高の大谷は、高校2年夏に甲子園出場を果たすも、満足な投球ができず。それでも高校3年春の甲子園で、甲子園に帰還した。対する藤浪は大阪桐蔭高の絶対的エースとして君臨し、世代No.1投手と称される存在だった。

 

 

 お互い3年生になって迎えた春の甲子園での直接対決、第1打席で大谷はライトスタンドにホームランを放った。高校球界を代表する選手同士の戦いに、多くのファンが酔いしれた。

 

 しかし、藤浪はその後の対決で四球を1つ与えるも、第3打席、第4打席で大谷を打ち取った。試合も大阪桐蔭高が9-2で勝利し、同大会で優勝した。

 

 両者ともプロ入りを実現させ、交流戦での直接対決も経験した大谷と藤浪。大谷はロサンゼルス ・ドジャースで異次元の活躍を見せており、藤浪は新天地を探し求め、動向が注目されている。

山岡泰輔・田口麗斗

 

 甲子園出場を懸けて戦った2人が、山岡泰輔と田口麗斗だ。

 

 山岡泰輔は瀬戸内高、田口麗斗は広島新庄高の出身。高校3年夏を迎えるまでにも、両者はさまざまな場面で投げ合うライバル関係だった。

 

 

 今でも語り継がれるのは、2013年・夏の広島県大会決勝だ。甲子園まで残り1勝という状況の中、山岡と田口は序盤から快投。中でも山岡は広島新庄高を完璧に封じ込め、15回を投げて被安打1、15奪三振で無失点のピッチングを見せた。

 

 対する田口は13安打を許したが、同じく15回を無失点。決着がつかず再試合となり、再び山岡と田口が先発マウンドへ。再試合も0-0の行進が続いたが、8回裏に瀬戸内高が1点を加え、1-0で勝利を収めた。

 

 2日間で田口は23イニング、山岡は24イニングを投げ切り、近年稀に見る名勝負を繰り広げた2人。その後、山岡は社会人を経由して、田口は高卒でプロ入りを果たし、現役で腕を振り続けている。

田中将大・斎藤佑樹

 

 夏の甲子園決勝戦、伝説の死闘を演じたのが田中将大と斎藤佑樹である。

 

 2005年夏、駒大苫小牧高が連覇を成し遂げた際、中心投手として活躍した田中。3連覇を目指す中、その前に立ちはだかったのが早稲田実のエース、斎藤だった。

 

 

 3連覇を目指す駒大苫小牧高と、初優勝を目指す早稲田実。優勝を懸けた決勝戦は、8回表と裏に1点を取り合うも、その後は試合が動かず。1対1の同点のまま引き分けに終わり、37年ぶりの決勝戦再試合となった。

 

 迎えた再試合、4-3で迎えた9回表2アウト、最後の最後に田中と斎藤が相見えることに。球場が異様な雰囲気に包まれる中、田中を空振り三振に打ち取り、早稲田実が優勝を成し遂げた。

 

 高校野球の歴史に名を刻む激闘の末、幕を閉じた2006年の夏の甲子園。間違いなくその中心にいたのは、田中と斎藤の2人だった。

寺島成輝・藤平尚真

 

 「事実上の決勝戦」と言われた試合で、お互いの意地をぶつけ合った寺島成輝と藤平尚真。記憶に残るファンも多いのではないだろうか。

 

 中学時代に日本代表を経験し、履正社高では1年夏からベンチ入りする存在だった寺島。高校3年夏に甲子園出場を勝ち取った。対する藤平は横浜高に進み、1年秋でエースナンバーを背負っていた。

 

 

 第98回全国高校野球選手権大会の2回戦で、優勝候補と目されていた履正社高と横浜高の対戦が実現。寺島は先発マウンドに上がったものの、藤平は右翼でのスタートになった。

 

 横浜は石川達也(現:巨人)が先発したが、雨天中断の不運も重なり、2回を投げ切れず5失点。バトンを受け取った藤平は貫禄を見せ、履正社高相手に追加点を許さないピッチングを見せた。

 

 しかし、それを上回ったのが寺島だった。9回を投げ切って1失点にまとめ、大一番に勝利。雷雨による中断に加え、試合が夜遅い時間まで続いたことも、大きな話題を集めた。

奥川恭伸・井上広大

 

 夏の甲子園決勝で戦った奥川恭伸と井上広大だが、プロ入り後は苦しい期間を過ごしている。

 

 星稜高のエースナンバーを背負い、完成度の高さを評価されていた奥川。一方の井上は履正社高の4番に座り、豪快なアーチを連発していた。高校3年春は甲子園の土を踏み、奥川とも対戦している。

 

 

 春の甲子園では3-0で星稜高が勝利し、井上も奥川の前に完全に封じられた。しかし、夏の決勝戦という舞台でリベンジのチャンスを得ると、奥川からバックスクリーン横にホームランを放ち、甲子園を興奮の渦に巻き込んだ。

 

 井上のヒットはこの1本だけだったが、チームを勝利に導く一発で、夏の甲子園優勝。その後、奥川はドラフト1位で、井上はドラフト2位でプロ入りを果たした。

 

 高校時代の活躍を期待されたものの、奥川は故障に悩まされており、井上は伸び悩んでいる現状がある。今後の覚醒を期待するファンも多いだけに、このままでは終われない。

浅野翔吾・山田陽翔

 

 2022年夏の甲子園を盛り上げた2人が、浅野翔吾と山田陽翔である。

 

 浅野は中学時代に日本代表を経験し、高松商高に進学。伝統校の一員として活躍し、高校2年夏から目立つ存在だった。山田は滋賀県の近江高でエースを務め、ドラフト指名候補と呼ばれていた。

 

 

 両者が対決したのは、2022年の夏の甲子園だ。準々決勝まで勝ち上がった両校の試合は乱打戦となり、初回から得点を重ねる試合に。迎えた3回の表、浅野が0-2から同点に追いつくホームランを放ち、球場を沸かせた。

 

 浅野は山田から3安打を放つも、勝利したのは近江高。とはいえ、高校球界を代表する2人の対決には大きな注目が集まった。

 

 浅野はドラフト1位で読売ジャイアンツに入団したが、レギュラーを掴めているとは言い難い。対する山田はドラフト5位で埼玉西武ライオンズに入団すると、プロ3年目の今季に大ブレイク。現状は差がついているものの、浅野の奮起にも期待したいところだ。

 

 

【了】