優勝候補のジャイアンツが思わぬ苦戦?巨人、上位浮上へのキーマン6人

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 昨季のペナントを制した読売ジャイアンツ。開幕前から優勝候補と目されながらも、ベテラン勢の不調や投打の誤算で苦しい戦いが続く。しかし、ここにきて復調の兆しを見せるベテランや、苦境を乗り越え活躍を見せる選手も現れた。本記事では、巨人の後半戦を左右するキーマン6人を紹介する。(文・シモ/成績は7月11日終了時点)

坂本勇人

投打:右投右打

身長/体重:186cm/86kg

生年月日:1988年12月14日

経歴:光星学院高

ドラフト:2006年高校生ドラフト1巡目

 

 読売ジャイアンツの浮上には、プロ19年目のベテラン・坂本勇人の力が欠かせない。

 

 2023年を境に、徐々に衰えが見られるようになってきた坂本。昨季は、109試合の出場で打率.238、7本塁打、34打点と精彩を欠いたが、今季も36試合の出場で打率.216、2本塁打、10打点と、苦しんでいる。

 

 

 今季は、「6番・三塁」で開幕を迎えるも11打席連続で無安打。打率も.129と低迷し、4月15日に二軍調整となった。

 

 故障離脱した岡本和真に代わって5月7日に緊急招集され、スタメン出場で適時二塁打を放つも、4試合のスタメンで14打数2安打。二軍で再調整することになった。

 

 それでも、6月10日のソフトバンク戦で「7番・三塁」で1カ月ぶりに復帰すると、適時二塁打を含むマルチ安打を放ち、復活ののろしを上げた。

 

 7月1日の阪神戦では、0-2の6回2死一塁から直球を右前にはじき返して適時打。翌2日にも1本、3日にはマルチ安打を放っている。

 

 直球に差し込まれる場面も多くなってきたものの、徐々に調子を上げてきた坂本。球界のレジェンドとして、坂本の「もう一花」に期待を寄せているファンも多いはずだ。

西舘勇陽

投打:右投右打

身長/体重:185cm/79kg

生年月日:2002年3月11日

経歴:花巻東高 - 中央大

ドラフト:2023年ドラフト1位

 

 プロ1年目の昨季は、10試合連続ホールドを挙げるなどして実績を積んだ西舘勇陽。今季は先発に挑戦している。

 

 ここまで9試合中4試合に先発登板し、2勝2敗、防御率3.69の成績である。

 

 

 今季2度目の先発登板となった6月18日の日本ハム戦では、7回85球を投げて被安打5、1失点と2勝目を挙げるも、その後は勝ち星を伸ばせずにいる。

 

 先発3試合目の6月24日のロッテ戦では、4回2/3を投げて、9安打6失点と炎上してしまった。

 

 それでも、先発4試合目の7月1日の阪神戦では、最速153キロの直球と変化球を織り交ぜ、6回80球を投げ、被安打6、2失点。負けはしたものの、先発としての役割をきちんと果たしてみせた。

 

 なかなか打線の援護に恵まれない試合もあり、もどかしいところだが、100投球回を投げきる体力が付けば、勝ち星も増えるはずだ。

 

 将来性豊かな西舘が、いかにして現在のチームに貢献していくのか。ペナントレース後半に向けて、読売ジャイアンツの注目ポイントである。

戸郷翔征

投打:右投右打

身長/体重:187cm/85kg

生年月日:2000年4月4日

経歴:聖心ウルスラ学園高

ドラフト:2018年ドラフト6位

 

 今季前半の読売ジャイアンツの思わぬ誤算は、戸郷翔征の不調だろう。

 

 3月28日に2年連続の開幕投手としてマウンドに上がり、4回まで完全投球を繰り広げるも、5回に突如乱れて4失点で降板。以降は背信投球が続いている。

 

 

 4月4日の阪神戦では、3回3失点で負け投手。同11日の広島戦では4回途中で10失点と、今季は早い回での失点が目立つ。

 

 その後、二軍調整を経て5月5日の阪神戦で登板するも、6回82球3失点で3敗目。同20日の阪神戦では4回3失点で4敗目と、なかなか勝ち星が付かなかった。

 

 そんな中、同25日のヤクルト戦では6回108球2失点の力投で今季初勝利を挙げると、6月8日の楽天戦では、7回119球無失点で2勝目をマークした。

 

 しかし、順調に勝ち星を積み重ねると思われたが、波に乗り切れない状況が続いた。

 

 同15日のオリックス戦で5回5失点、同22日の西武戦で5回3失点で6敗目を喫すると、今季2度目の二軍調整となった。

 

 直球の勢いが失われているために、変化球を捉えやすくなったのが原因だろうか。今季は11試合の登板で2勝6敗、防御率5.24と過去最低の成績に陥っている。

 

 再調整後、状態をどこまで上げてくるのか見ものだ。

トレイ・キャベッジ

投打:右投左打

身長/体重:188cm/92kg

生年月日:1997年5月3日

経歴:グレインジャー高 - エンゼルス - アストロズ

 

 読売ジャイアンツの長打力不足を補う起爆剤として、今季加入したトレイ・キャベッジ。前半は好調な打撃を見せたが、徐々に成績が落ちている。

 

 開幕戦の3月28日に「2番・右翼」でスタメン出場すると、第4打席に来日1号本塁打をマーク。翌29日にも第3打席に3点本塁打を打ち、球団外国人選手として初の開幕から2試合連続本塁打を記録した。

 

 

 そして、5月までに7本塁打を放ち、巨人の長打力不足は解消されたかに思えたが、以降はその打撃に陰りが見え始める。

 

 5月は月間打率.292を記録したが、6月の月間打率は.129にまで低下。スタメンを外れる試合も多くなっていくのである。

 

 それでも前を向くキャべッジだが、7月1日の阪神戦では1-2の場面で代打で出場して右前打を放つも、二塁を狙って憤死。試合後の監督インタビューでは、阿部慎之助監督に苦言を呈されていた。

 

 持ち前の常に全力を尽くす姿勢が、空回りしてしまったのだろう。しかし、すぐに汚名返上の場面が訪れる。

 

 7月4日の広島戦、8回裏1死走者なしの場面で代打で登場し、85打席ぶりの第8号決勝本塁打を放ってみせたのである。

 

 ここまで、71試合の出場で打率.238、8本塁打、27打点のキャベッジ。この本塁打をきっかけに、開幕当初の勢いを取り戻せば、相手チームの脅威となるだろう。

丸佳浩

投打:右投左打

身長/体重:177cm/94kg

生年月日:1989年4月11日

経歴:千葉経大付高

ドラフト:2007年高校生ドラフト3巡目

 

 プロ通算6度のリーグ優勝を経験しているベテラン・丸佳浩も、今季前半の誤算の一つだ。

 

 長打力不足のチームにあって、4番の岡本和真とともに一発の魅力を秘める丸の打撃。しかし、今季は3月22日のオープン戦で右太ももを痛めて開幕一軍から外れると、前半戦をほぼリハビリに費やした。

 

 

 5月初旬の岡本の負傷離脱により、さらなる長打力不足が露呈したチーム事情のなか、5月27日に2カ月ぶりに一軍合流した丸。

 

 同日の広島戦では、9回裏の2死から代打で登場するといきなり今季初安打を放ち、健在ぶりを見せた。

 

 そして、6月7日の楽天戦では代打で1号ソロホームランを記録。同17日からは1番に座り、7回1死二塁から勝ち越しとなる二塁打をマークした。

 

 同28日のDeNA戦では、4回2死三塁から2点適時二塁打を放ち、勝利に貢献している。

 

 7月1日の阪神戦では1安打、翌2日には2安打、3日にも2安打とコンスタントに打ち続けている丸。復帰してから33試合の出場で、30安打を放っている。

 

 まだまだ元気なベテラン・丸の活躍は、巨人の上位浮上に必要なのは間違いないだろう。残り128本に迫っている通算2000本安打まで、どこまで迫れるかも興味深いところである。

増田陸

投打:右投右打

身長/体重:179cm/88kg

生年月日:2000年6月17日

経歴:明秀学園日立高

ドラフト:2018年ドラフト2位

 

 プロ7年目の増田陸が将来のチームの核になり得るかも、今季の読売ジャイアンツの上位浮上を占ううえで大事なポイントである。

 

 2022年に69試合の出場と経験を積んだものの、翌2023年にはケガの影響もあり一軍出場なし。昨季は、わずか4試合の出場で5打数無安打と悔しい結果に終わった。

 

 

 今季は4月22日に一軍昇格を果たすと、同30日の広島戦で2死一、二塁からレフトへのタイムリーヒットを放ち、自身1000日ぶりの打点をあげた。

 

 すると、7月3日の阪神戦ではコンディション不良の吉川尚輝に代わり、巨人の95代4番として先発出場。1回1死一、二塁から先制の2点適時二塁打を放ち、5回には無死一塁からレフト前ヒットで、マルチ安打を放った。

 

 ここまでの増田陸は61試合の出場で、打率.260、5本塁打、19打点の成績を挙げている。監督の期待にきっちりと応える強心臓と思い切りの良いバッティングは、巨人には欠かせない。

 

 増田陸の座右の銘「気合い!!」で、ケガなく出場機会を増やしてもらいたいものである。

 

 

【了】