
ヒット作・ローマの後継モデルがついに登場した。ローマはカリフォルニア、ポルトフィーノと続いたマラネッロ産2+クーペのFRグラントゥーリズモに連なるモデルで、シンプルビューティなデザインへの回帰と見た目以上にコアなスポーツカー性能が人気のモデルだった。筆者は密かに「地名シリーズ」と呼んでいるが、新作ももちろん有名観光地の名を拝借することに。その名もアマルフィだ。
【画像】フェラーリ・ローマの後継モデル、アマルフィのインテリアとエクステリアのディテール(写真31点)
イタリア南部の風光明媚なアマルフィ海岸は、ユネスコ世界遺産にも登録され、また古くはヘラクレスとニンフ(妖精)の恋物語が伝えられる場所だ。新型車はつまり、ローマ後継と呼ぶにふさわしい”ドルチェ・ヴィータ”第二弾となった。
フェラーリの2+FRシリーズは、帰納カスタマーの日常モデルとしてはもちろん、ブランドへの登竜門モデルとしても機能してきた。それゆえパフォーマンスでフェラーリらしさを訴えることに加えて、ライフスタイル的な使用に耐えうるキャラが期待される。アマルフィはそれぞれについてローマを大幅に上回る進化を果たしているようだ。
アマルフィ=F169Mというモデル型式からはローマ(F169)の進化版であると理解できる。事実、ボディサイズやホイールベース、前後トレッドは同じで、基本のアルミボディ骨格にも大きな変更はない。当然ながらサスペンションシステムやパワートレーンの構成も変わらない。何ならガラスエリアも共通だ。
見た目も一見、ローマの後継であることがよくわかるデザイン、ではある。けれども実物を見た第一印象はローマとはけっこう違うというものだった。シンプルビューティさを極めて下半身をより骨太にして、スタンスは広く、全体的により力強いアピアランスになっている。ローマ的な華奢さは薄れ、ドーディチチリンドリ的な力感が強く伝わってきた。それゆえマラネッロで行われたプレスプレビューに用意された4色のアマルフィの中でも個人的には”ジアッロ・モンテカルロ”というゴージャスなイエローゴールドが最もお似合いだと思った。ちなみにエクステリアのデザインチームはドーディチチリンドリと同じである。
変貌の度合いはインテリアの方がエクステリアよりも大きい。こちらはさらにドーディチチリンドリ風のデュアルコクピットスタイル。ステアリングホイールは新デザインとなり、赤いアルミのエンジンスタートボタンも復活した。センターコンソールはアルマイト加工のアルミニウムプレートタイプ。センターモニターも見やすくなっている。HMIは大いに進化したと言っていい。個人的にはドアインナートリムのデザインが気に入った。機能をインテグレートし、マテリアル選びも楽しめそうだ。
パワートレーンをみてみよう。新開発のV6プラグインハイブリッド搭載の噂もあったが、フロントミドV8ツインターボ+トランスアクスル式8DCTは変わらなかった。もちろんF154B系の3855ccフラットプレーン・ウェットサンプエンジンだ(ちなみにA系はマセラティ用、C系は488&F8用、F系はSF90用で、排気量が全て異なる)。エンジンブロックデザインを改め、カムやクランクも軽量新設計とし、タービンの最高回転数も引き上げた結果、ローマ時代に比べて+20cvの最高出力640cv /7500rpmを謳う。最大トルクは変わらず760Nm。最高許容回転数を100rpmあげて7600rpmとした点もポイント。よりシャープなフケと高回転域での余裕ある回転フィールが期待できそう。乾燥重量はローマと変わらず。馬力アップ分、パワーウェイトレシオは改善され、0-100km/h加速も3.3秒と、コンマ1秒、ローマより早い。最高速は変わらず320km/h。
パワートレーンのスペックアップよりも、期待したいのは電子制御システムが軒並み最新モデルと同じになったこと。V8GTシリーズ初となるブレーキbyワイア、ABSエヴォ、SSC6.1、そしてEPSとこれらの統合制御によるドライビングファンの向上が大いに期待できる。顧客の要望が多かったADASのシステムグレードアップも図られた。
とりあえずはクーペのみの登場となった。早晩、スパイダーが追加されるだろう。デリバリーの開始は26年の第1四半期から。イタリアでのベースモデルの乗り出し価格は24万ユーロとのことだった。
文:西川 淳 写真:フェラーリ
Words: Jun NISHIKAWA Photography: Ferrari