EXILE CUP 2025 東海大会オープンリーグを制したラピド鈴鹿フットサルクラブ[写真]=Kaz Photography

 準々決勝4試合のうち実に3試合がPK戦。『EXILE CUP 2025』東海大会オープンリーグは実力伯仲の戦いの末、ラピド鈴鹿フットサルクラブ(三重県鈴鹿市)が優勝。女子選手のみで構成されたガールズリーグも大接戦となり、福井丸岡RUCK A(福井県坂井市)が全国大会の切符をつかんだ。

『EXILE CUP』は小学4年生から6年生までを対象としたフットサル大会。EXILEを筆頭に多くのアーティストやタレントが在籍する株式会社LDH JAPANが〈Dreams For Children〉をテーマに開催している。全国10会場で予選大会が行われ、各大会の優勝チームは2025年9月14日、愛媛県今治市のアシックス里山スタジアムで行われる決勝大会に出場できる。東海大会は2025年6月22日、岐阜市の岐阜メモリアルセンター新日本ガス球技メドウで行われた。

 今年の大会で特筆すべきは、関東、関西、そしてここ東海の3会場で、女子選手のみで構成された「ガールズリーグ」が新設されたこと。男女関係なく構成される「オープンリーグ」と女子のみで構成される「ガールズリーグ」、2つのカテゴリーで優勝チームが決まる。開会式では、ガールズリーグについて株式会社LDH JAPAN Social Innovation Officerを務める橘ケンチさん(EXILE / EXILE THE SECOND)が、「大会のテーマである〈Dream For Children〉の言葉どおり、女子サッカー選手の夢もLDH JAPANとして応援していきたい」と設置の理由を述べ、「優勝チームは今治市で行われる大会のチケットを手にすることができるので、優勝めざして頑張ってください」と激励した。

 また、ゲストの堀夏喜さん(FANTASTICS)は「僕もみなさんと同じサッカー経験者です。なにより楽しんでください!」と選手たちに声をかけ、鶴屋美咲さん(Girls²)は「私もサッカー経験者。日頃の練習の成果を発揮して、全力で頑張ってください」。小田柚葉さん(Girls²)は「ガールズリーグの試合が楽しみです。体調に気をつけて頑張ってください」と参加選手全員に呼びかけた。

 試合に先立って行われたのは、EXPG STUDIO NAGOYAのみなさんによるダンスパフォーマンス。華やかなダンスで会場を盛り上げると、EXILE TETUYAさん監修のもと日本サッカー協会が開発した「クラッキ!ダンス」を選手全員で踊った。笑顔でウォーミングアップを済ませ、いよいよ試合がスタートする。

 オープンリーグに参加したのは欠場した2チームを除く42チーム。4チームずつの11ブロックに分かれて予選リーグを行い、各ブロックの1位と、2位の中で成績上位の5チーム、計16チームが決勝トーナメントに進出できる。ガールズリーグは参加8チームの総当たり戦で優勝チームを決める。

 三重県松阪市から参加した山室山フットボールクラブは、昨年初出場で優勝したチーム。昨年同様に攻守のバランスがよく、スペースをうまく使ったフットボールIQの高さを感じさせる試合運びで、予選リーグは3戦全勝と順調に決勝トーナメントに駒を進めた。山本拓哉監督は「LDHさん主催の楽しい企画なので、全力で楽しみながら全国大会をめざしたい」と意気込みを語った。ちなみに、チームがガールズリーグにもエントリーしていたため、山本監督はオープンリーグの試合が終わるやいなや、急いでガールズチームの応援に駆けつけていた。

 正確なボール回しと、GK大内颯馬(そうま)くんの積極的なコーチングが際立っていたのはLAvitaFC(三重県松阪市)だ。大内くんは「フットサルの大会では優勝したことがないので、絶対に優勝したい」とコメント。監督によると、ガンバ大阪に所属するGK荒木琉偉選手が、このチームの1期生として『EXILE CUP 2019』東海大会で優勝したことがあるという。尊敬する先輩に続けとばかり、LAvitaFCは危なげなく予選リーグを突破した。

 地元岐阜県の下呂市から参戦した金山フットボールクラブには、男子選手に混じってプレーする女子選手の活躍が目を引いた。ゴールを決めた5年生の阿部紬希(つむぎ)さんは「ゴールを決めてうれしかった。次の試合も絶対勝ちたい」と額に汗を浮かべながら元気に答えてくれた。同じく5年生の中島叶愛(かのあ)さんは「パスを正確に、相手にボールを取られないよう体をうまく使う」と今日の試合の目標を語った。金山フットボールクラブは残念ながら1勝2敗で決勝に進めなかったが、来年の大会に期待したい。

 予選リーグを終えて決勝トーナメントに進出する16チームが決定。ボールを使った抽選を行い対戦相手が決まると、子どもたちのギアも1段上がる。特に白熱したのは準々決勝で、4試合のうち3試合がPK戦、残り1試合も2-1という僅差という拮抗した戦いになった。激戦を勝ち上がって決勝に進出したのは、長島中部サッカースポーツ少年団(三重県桑名市)と、ラピド鈴鹿フットサルクラブ(三重県鈴鹿市)。三重県勢同士が優勝を争うことになった。

 長島中部サッカースポーツ少年団は「ここまで来たら、勝って笑って帰ろう」、ラピド鈴鹿フットサルクラブは「絶対勝つぞー」と、ともに士気を高めてピッチに入る。決勝戦は互いに序盤からチャンスを作り合うものの、ともに粘り強い守備でシュートを防ぎ、試合を動かす先制点が生まれない。このままスコアレスで折り返すかと思われた前半終了間際、キックインからラピド鈴鹿フットサルクラブの10番・大井蓮士(れんと)くんが走り込みながらダイレクトで強烈なシュートを放ち、豪快にネットを揺らして先制に成功した。

 先取点を奪ったラピド鈴鹿フットサルクラブは後半、さらに攻勢を強める。セットプレーとカウンターで立て続けに2点を加えると、再び大井くんが鋭いドリブルから2人を交わしてミドルシュートを決め4点目をゲット。その後も個人の高い技術と体の強さを生かして2点を重ねた。一方、大差を付けられてしまった長島中部サッカースポーツ少年団もあきらめない。インターセプトから1点を返し、終了間際にも追加点を挙げて意地を見せたが、試合はそこで決着。6-2でラピド鈴鹿フットサルクラブが優勝を果たした。

 ラピド鈴鹿フットサルクラブを率いる澤田恭宏監督は就任して3カ月。「僕はこの子たちのそれぞれの良さを引き出すだけでよかったので、前任の監督の力が大きかったと感じています。全国大会に行くからには経験だけで終わらせるのではなくて、優勝を目標に全力で楽しみたい。そして全国から集まってくるチームのみなさんと、今後のフットサルの普及につながるような交流ができたらと思います」と意気込みを語った。

 決勝戦で2ゴールを奪った大井くんは「絶対優勝するぞという気持ちで臨んだけど、試合の最初はすごく緊張した」と、優勝してほっとした表情に。2点目と3点目を決めた丸山拓真(たくま)くんは「ダイレクトシュートが決まってめちゃくちゃうれしかった。優勝する自信はめちゃくちゃありました」と、こちらも笑顔で力強く答えてくれた。

 一方、ガールズリーグもオープンリーグに負けない技術と体力で、迫力満点のゲームが展開された。優勝は福井県坂井市から参加した福井丸岡RUCK A。最終戦で6点以上の勝利が必要という難しい状況をゴールラッシュでひっくり返し、6勝1分で並んだ西濃女子Reviale(岐阜県大垣市)を得失点差で上回った。

 福井丸岡RUCK Aは、過去に女子だけのチームで『EXILE CUP 2010』大阪大会に参加し準優勝、2013年の北信越大会でもベスト4に残るなど好成績を残してきた強豪チーム。東海大会のガールズリーグ初代チャンピオンという称号を手にしたキャプテンの田中愛美花(あみか)さんは、「決勝大会でも全員で協力して優勝したい」と、チーム一丸になってさらに大きな星をめざす。

 表彰式の後、子どもたちとの写真撮影に応じた橘ケンチさんは、「サッカーは個人の技術だけでなく、戦略を立てたり意思疎通をしたりしてチーム力を上げないと勝てません。そういうことを小学生のうちから感覚的に分かっていることは、社会に出たときに大事になってくる要素だと思います。いま必死にサッカーを楽しんでいるみなさんにとって、この大会を通じて将来の成長のきっかけになってくれればと思います」と、この『EXILE CUP』の意義を強調した。

 堀夏喜さんは、「ピッチの外ではフランクに話しかけてきたりして子どもらしいのに、ピッチに入ると真剣にプレーしていて、プロ意識みたいなものを感じた」と、全力で頑張ることの素晴らしさを、子どもたちに教えてもらったという。また、ガールズリーグを含めて試合を熱心に見ていた鶴屋美咲さんは「ピッチで走り回る姿や勝ちにこだわる気持ちがキラキラしていてとても感動した」。小田柚葉さんは「好きという気持ちは素晴らしいこと。努力を続けることで未来は変わると信じて、好きなことを大切にしてほしい」と熱いエールを送った。

 「“子どもたちが夢を叶える場所”を作ろう」という思いのもと、今年で13回目を迎えた『EXILE CUP』。東海大会は例年以上に白熱した試合が多かった。優勝したラピド鈴鹿フットサルクラブと福井丸岡RUCK Aの、決勝大会での活躍を期待したい。
取材・文=斎藤孝一 写真=Kaz Photography