身近な存在である「母親」。しかし、だからこそ母親と性格が合わなかったり相性が悪かったりすると、強いストレスや孤独感を抱くようになるものです。「母親と合わない」と感じてしまう背景にはさまざまな理由があり、無理に仲良くしようとすることでかえって苦しくなってしまうことも。
本記事では、母親と合わない原因と対処法を解説します。
母親と合わないと感じる理由
母親と合わないと感じる背景には、以下のような要因があります。
愛情を感じられない
「無視をされた」「スキンシップが少なかった」「褒めてもらえなかった」といった、幼少期に母親に愛情を注いでもらえなかった記憶から、大人になっても母親に嫌悪感を抱いているケースは少なくありません。
それが要因となって、「自分は母親に必要とされていないのでは」「愛されていないのでは」というネガティブな感情が湧き上がるのは想像に難くないでしょう。
過干渉・コントロール
母親の愛情が強すぎるあまり、子どもの行動を細かく管理しようとするケースもあります。習い事の強制や、進路・人間関係への干渉が続いた結果、自分の意思が尊重されず、反発心やストレスを抱えるというのは珍しくありません。
「親が絶対」の価値観
「親の言うことは絶対」といった価値観を押し付ける母親と接する中で、子どもは「管理されている」「親には逆らえない」と感じてしまいます。こうした支配的な関係は、成人後もわだかまりとして残りやすい傾向にあります。
悪口や愚痴が多い
ネガティブな発言ばかり聞かされると、子どもは安心感や信頼感を持てません。母親の視線が外ばかりに向いているように感じ、疎外感や無力感を抱きやすくなります。
自分の夢や理想を押しつける
「こう育ってほしい」「あの子のようになってほしい」など、母親の理想を子どもに重ねることで、本人の意思や夢が軽視されることがあります。結果として、母親に対する反発や距離が生まれることに。
ほめてくれない・評価が厳しい
子どもをほめる文化が希薄な家庭では、子どもの成功体験が積み重ならず、自己肯定感が育ちにくくなります。母親から認められないまま大人になると、たとえ小さなミスでも深刻に捉えてしまい、母親の存在そのものがプレッシャーになることもあります。
都合のいいときだけ頼ってくる
心細いときだけ甘えてきたり、金銭面や感情面で依存してきたりする母親もいます。こうした「便利屋扱い」は境界線のあいまいさを生み、子ども側の負担感や不信感を強めます。
きょうだいや友人と比較される
他人と比べられ続けると、劣等感や自己否定感が強化されます。「あなたは○○と違って…」という言葉は、母親の期待を背負うことになり、対等な親子関係を築く妨げになります。
母親と合わない! イライラ解消法
母親と合わないと感じるのは、何もおかしなことではありません。ここからは合わないことを前提に、イライラを解消する方法について紹介します。
母親を一人の人間として見る
母親を特別な存在として見ていませんか? 確かに自分を産み育ててくれた母親は、もちろん特別でないはずはありません。しかし、自分とは「合わない」言動をとる母親に対しては、過剰に特別視しないのもひとつの手。
自分とは異なる一個人として客観視することは、些細な言動に傷ついたり、いらだったりしないための防御策といえるでしょう。
自分を否定しない
母親に対してモヤモヤする感情があっても、それは当然のこと。自分の感情を「親に対してこんなふうに思ってはいけない」と抑え込むと、さらに苦しくなってしまいます。まずは「感じていい」と許可することが第一歩です。
無理に合わそうとしない
母親の価値観や言動がどうしても自分に合わないときは、無理に歩み寄ろうとする必要はありません。自分の気持ちを押し殺してまで相手をする必要はありません。しばらくの間、連絡を取らないようにしたり、あるいは物理的に距離を置いたりすることも、お互いが冷静になるうえでは大切なことです。
母親との関係が変化する3つのきっかけ
合わないと感じる母親との関係も、ある出来事を通して変わることがあります。
母親が病気にかかったとき
決して望ましいことではありませんが、母親が病気を患ったときはお互いに心境の変化をもたらします。
母親が大きな病気や入院などを経験すると、親子の立場が逆転しやすくなります。母親の弱さを見ることで、こちらの視点にも変化が生まれ、素直に感謝や気持ちを伝えられることがあります。
母親の介護が必要になったとき
母親の介護が必要になったとき、生活や価値観について改めて話す機会が増えます。その中で、これまで交わらなかった会話ができるようになる可能性もあります。
出産・育児を経験したとき
自分が親になったことで、母親の立場や苦労を理解できるようになるケースもあります。完璧ではなかった母親も、必死にやっていたのだと気づけたとき、関係に変化が生まれるかもしれません。
くわえて、孫の誕生は祖母になる母親にとっても大きな変化。孫と接することで、これまでの自分の子育てを見直すきっかけに。「あのとき、こうしておけば…」といった感情が芽生えて、あなたとの関係性を振り返るようになるかもしれません。
合わない母親とうまく付き合う方法
最後に、合わない母親とうまく付き合う方法を紹介します。
適度な距離を保つ
会う頻度や連絡頻度を自分のペースに合わせて調整することで、ストレスを減らせます。無理に親孝行をしようとせず、「自分が苦しくならない距離」を基準に考えましょう。会う頻度や連絡頻度は、母親のペースではなく自分のペースを大切に。
自分を大切にする
大切な肉親とはいっても、まず最初に守らなければならないのは自分自身。この前提を忘れてしまうと、どうしても自己否定の方向に走ってしまいがちです。母親といえど、別の人間だという点で他人であることは事実。自分を見つめる時間を大切にしましょう。
自分の感情を可視化する
イライラや悲しみをノートや日記に書き出すことで、客観的に自分の状態を把握できるようになります。感情を言語化することで整理が進み、冷静に対応しやすくなります。イライラや悲しみをノートや日記に書き出して、自分の本音を知りましょう。
割り切って波風を立てない
期待しすぎず、「母はこういう人」と受け入れることが心の安定につながります。共感や理解を求めすぎないことで、精神的な消耗を防ぐことができます。割り切ることで、衝突も避けやすくなるでしょう。
母親と合わない人も、自分を守ることを最優先に
「親だから」と自分を犠牲にする必要はありません。母親との関係で悩んでいる人こそ、自分の気持ちを大切にしてください。合わないことは、悪いことではありません。まずは「自分がどうしたいか」を軸に、心地よい関係を見つけていきましょう。